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 嗅覚障害

嗅覚障害ってどんな病気?
さまざまなタイプ
  イメージ画像 嗅覚障害の症状と原因は、さまざまあります。
においを感じるメカニズム
   鼻中隔(びちゅうかく)と中鼻甲介(ちゅうびこうかい)の間の嗅裂(きゅうれつ)という部分に、においを感じる嗅細胞(きゅうさいぼう)が存在する嗅粘膜(きゅうねんまく)があります。
 嗅細胞は、嗅神経(きゅうしんけい)を介して脳と繋がっています。
 においの素となる嗅素(きゅうそ)という物質が空気中から鼻腔内に入り、嗅細胞に到達すると、その刺激が脳に伝えられ、においとして感じます。
 これらの嗅覚の仕組みのどこかに異常が起こることが、嗅覚障害です。

嗅覚障害の症状は?
症状による分類
  イメージ画像 嗅覚障害の症状は、大きく5つに分類することができます。
 まず、においがまったくわからなくなる嗅覚脱失(きゅうかくだっしつ)。においをかぐ能力が低下する嗅覚減退。においにひどく敏感になる嗅覚過敏。どんなにおいも悪臭として感じる嗅覚錯誤(きゅうかくさくご)、異臭症(いしゅうしょう)。においがしないのに、においを感じる嗅覚幻覚(きゅうかくげんかく)。
 嗅覚脱失と嗅覚減退の患者さんが、大半を占めます。
原因による分類
   嗅覚機能の低下は原因によって、呼吸性嗅覚障害、末梢神経性嗅覚障害、中枢神経性嗅覚障害に分類できます。

嗅覚障害の原因は?
呼吸性嗅覚障害
  イメージ画像 呼吸性嗅覚障害は、鼻中隔弯曲症、術後の粘膜癒着などの鼻腔形態異常(びくうけいたいいじょう)があります。鼻粘膜が厚くなる肥厚性鼻炎、慢性副鼻腔炎(まんせいふくびくうえん)、アレルギー性鼻炎にともなう粘膜の腫れやポリープが原因になる場合もあります。
 におい分子が両側鼻腔で、嗅上皮(きゅうじょうひ)まで到達できないことが原因です。
 治りやすい嗅覚障害です。
末梢神経性嗅覚障害
   末梢神経性嗅覚障害では、嗅上皮の障害と、嗅糸断裂(きゅうしだんれつ)による場合があります。
 嗅上皮の障害では嗅上皮の委縮や炎症が原因で、感冒・風邪などのウイルス性のことが多くを占めます。
 嗅糸断裂では、頭を打ったことが最も多い原因です。頭を打った場合の嗅覚障害は、難治性となります。
 抗腫瘍薬のテガフールの長期投与でも、副作用により嗅覚が損なわれます。
 慢性副鼻腔炎通年性アレルギー性鼻炎は、呼吸性嗅覚障害と末梢神経性嗅覚障害の混合型になります。
中枢神経性嗅覚障害
   中枢神経性嗅覚障害では、頭部外傷、脳腫瘍が原因です。パーキンソン病アルツハイマー病の病気の初期症状として現れる場合もあります。
 嗅粘膜から嗅神経を介して脳と繋がっている嗅覚伝導路が障害されたことが原因です。
その他の原因
   加齢による嗅覚障害があります。65歳以上の高齢者では、嗅粘膜に変性がみられ、嗅覚障害が生じるとされています。
 妊娠時、興奮(ヒステリー)では、嗅覚が過敏になる嗅覚過敏が起こります。統合失調症薬物中毒では、においがしないのににおいを感じる嗅覚幻覚がみられたりもします。

嗅覚障害の診断は?
鼻内の診察と画像検査
  イメージ画像 鼻内を診察し、鼻腔内の形態異常や副鼻腔炎の有無などを調べます。場合によっては、内視鏡を用いて詳細に観察します。
 画像検査ではエックス線検査で副鼻腔炎の状態などがわかりますが、詳細な情報はCT検査方が優れています。
 中枢真意性嗅覚障害が疑われる場合には、頭部のMRI検査が有用です。
嗅覚検査
   嗅覚の検査としては、基準嗅覚検査法と、静脈性嗅覚検査法があります。

嗅覚障害の治療法は?
重症度により異なる治療法
  イメージ画像 重症度と原因疾患によって、治療法は異なります。
 鼻茸(はなたけ)、鼻中湾曲症、慢性副鼻腔炎をともなう嗅覚障害では、内視鏡下手術(ないしきょうかしゅじゅつ)が有効です。薬物療法で嗅覚障害が改善しない場合も、手術療法が検討されます。
 嗅覚を失ってから2年以内なら手術での嗅覚回復の可能性が高いです。抗生物質の一種である14員環形マクロライドの長期投与では、45%の患者さんに有効だと報告されています。
経口ステロイド薬
   ステロイド薬の点鼻、および経口投与は、ただひとつ確立された嗅覚障害に対する薬物治療です。
 経口ステロイド薬は、アレルギー性鼻炎にともなう呼吸性嗅覚障害、および末梢神経性嗅覚障害にもっとも有効ですが、副作用に注意しなければいけません。
 診断的治療として短期間の投与を行いますが、致死的な障害ではないため、料理人やソムリエなどの職業を除けば、長期投与はしないのが一般的です。
ステロイド薬の点鼻薬
   ステロイド薬の点鼻は、呼吸性嗅覚障害、末梢神経性嗅覚障害を問わず、広く行われている治療法です。医師の指示に従って点鼻薬の使用量を守り、1日2回の点鼻を約3ヶ月行います。
 頭を後ろに倒した懸垂頭位(けんすいとうい)での点鼻では、大半の薬液は嗅神経まで到達せず、咽頭(いんとう)へ落下してしまいます。四つん這いになって自分のヘソを見るような頭位をとり、鼻の裏面を薬液が伝わるように点鼻することで、効率よく嗅裂に薬液が到達します。
 ステロイド薬の使用に先立って、血管収縮薬を点鼻しておくと、より効率よく点鼻できます。
その他の治療法
   鼻中隔上方で粘膜下に効果が長続きする製剤であるステロイドデポ製剤を注射する方法もあります。
 血清亜鉛が低下している場合には、硫酸亜鉛の内服が有効な場合もあります。
中枢神経性嗅覚障害の治療法
   中枢神経性嗅覚障害の治療には、原因疾患の治療しかありません。
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