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アトピー性皮膚炎を支える家族の方へ


皮膚とは?

皮膚の役割

 

イメージ画像 身体の表面にある皮膚。皮膚は大人ではおよそ畳一畳分の広さと言われています。心臓が血液を送るポンプの役割をしているように、皮膚にもいくつかの役割があります。
 ひとつは、外界のばい菌や異物が身体に侵入するのを防ぐ役割があります。もうひとつは、身体の中の水分を過剰に蒸発してしまうのを防ぐ役割があります。このおかげで、人間は陸上で生活することができます。
 他にも、身体が熱くなったら熱を放出し、逆に寒くなったら熱を抑えるという体温調節機能もあります。

皮膚の構造

 

 皮膚は外側から順番に、表皮(角質層と表皮細胞に分類できます)、真皮、皮下組織と呼ばれています。
 角質の細胞は、古くなると垢(アカ)となって皮膚から剥がれ落ちます。常に新しい細胞が表皮の一番奥の基底層から移動してきます。
 これは皮膚の新陳代謝、ターンオーバーと呼びます。


アトピー性皮膚炎の症状は?

かゆみが問題

 

イメージ画像 アトピー性皮膚炎では、何らかの原因によって皮膚がアレルギー反応を起こし、炎症となって皮膚のバリアが壊れてしまいます。皮膚も乾燥してしまうため、かゆみ、皮膚が赤くなる発赤などの症状が現れます。
 特にアトピー性皮膚炎では痒みが厄介な症状です。痒みで皮膚を掻いてしまうとさらに悪化し、かゆみが増してしまいまい、悪循環が生じてしまいます。
 目の周りを掻いたり、叩いたりすると、白内障などを起こしてしまい、ひどい場合には視覚障害に至る危険性もあります。
 このため、痒みを抑える治療がとても重要になります。

アトピー性皮膚炎の原因

 

 アトピー性皮膚炎の原因には、遺伝や体質が関係していると言われています。しかしこれは、珍しいことではなく、誰にでも起こり得るものなのです。
 食物やダニなど、アトピー性皮膚炎を悪化させるものが知られています。これらのものを、悪化因子、アレルゲンなどと呼びます。
 悪化因子は人それぞれ異なるので、悪化因子を見付けて除去することも、とても大切となります。


アトピー性皮膚炎の治療方針は?

症状のコントロールを目指す

 

イメージ画像 遺伝や体質が原因になるので、病気そのものを治療することは不可能です。しかし、痒みなどの症状はコントロールすることができます。
 つまり、痒みなどの症状がない状態、または症状があっても軽い状態を長期間維持することを治療の目標とします。

症状を抑え悪化させない

 

 症状をコントロールするために大切なのは、痒みなどの症状を和らげることと、悪化因子を減らして症状を出にくくすることの2つです。このどちらが欠けていても、十分に症状をコントロールすることができません。

 アトピー性皮膚炎     治療 
痒みなどの症状
ステロイド外用薬などの薬物療法による症状を和らげる治療
   
悪化因子
悪化因子を減らす

 また、保湿剤などでスキンケアをして皮膚の乾燥を抑えたり、皮膚に刺激を与えない衣服を着るなど、日常生活に気を付けることも大切です。

治療はずっと続けるの?

 

 体質は年齢と共に変化していきますので、多くの場合、年齢を重ねるにつれて症状が現れにくくなります。
 しかし、生活環境が変わったり、ストレスを受けたりすると、再び症状が現れることがあります。そのような場合、一時的に治療が必要になります。


アトピー性皮膚炎の薬物療法は?

ステロイド外用薬がメイン

 

イメージ画像 症状を和らげる治療には、おもにステロイド外用薬が用いられます。
 そのほかにも、ステロイド以外の塗り薬、飲み薬が使われることもあります。
 治療について不安や不明な点があれば、医師、看護師、薬剤師に相談するようにしましょう。

ステロイド外用薬

 

 痒みなどを起こす原因となる炎症を抑えるための薬です。
 ステロイド外用薬には、効果の強さが5段階に分かれています。薬によって、べとつきにくいタイプ、液状タイプなどもあります。医師は症状の強さや皮膚の状態に応じて、最適の薬を選択して処方します。
 ステロイド外用薬と聞くと「副作用が怖い」というイメージが強いかもしれません。しかし、きちんとした量を塗っている限り、重い副作用はほとんど生じることはありません。副作用を心配しすぎることなく、安心してステロイド外用薬を使用するようにしましょう。
 身体の部位によっては使用する薬の種類や量が異なることがあります。どの薬を、どの部位に、どれくらいの量を、1日何回塗るのか、必ず確認するようにしましょう。きちんと用法、用量を守って使用するようにしてください。

その他の薬物療法

 

 ステロイド外用薬以外にも、炎症を抑えるタクロリムスなどの塗り薬があります。保湿剤などのスキンケアも有効です。
 また、症状の強い場合には、痒み止めの飲み薬、ステロイドの飲み薬を使う場合もあります。


アトピー性皮膚炎のステロイド外用薬は?

症状が改善しない場合

 

イメージ画像 ステロイド外用薬で治療を行う場合、いくつかのポイントがあります。
 症状に適したステロイド外用薬で治療すれば、次第に痒み、皮膚の赤みは治まっていきます。しかし、しばらく治療を続けても症状が治まらない場合、少し強い薬に変更したり、塗る回数を増やすなどが必要になります。
 きちんとした治療をしても症状が治まらない場合、医師に相談してください。

治療は医師の指示に従いましょう

 

 ステロイド外用薬で治療する時は、医師の指示に従うことが大切です。症状が治まってきたからといって勝手に薬をやめてしまうと、次第に症状が再発してしまいます。これは目に見える症状が治まっても、皮膚の中には炎症が残っているためです。
 医師は薬の塗る量、回数を少しずつ減らすように指示することがあります。これは、急に薬を中止してしまうと、症状が悪化してしまう可能性があるためです。治療の効果を高めるためにも、必ず医師の指示に従って治療を行うようにしましょう。

ステロイド外用薬の副作用

 

 ステロイド外用薬は、副作用の心配をしすぎる必要はありません。しかし、まったく副作用がないわけではありません。
 塗った部分の毛が増える、皮膚が赤くなる、皮膚が薄くなる、ニキビができるなど、ステロイド外用薬の副作用と思われる症状が現れた場合、医師に相談してください。

アトピー性皮膚炎の悪化因子は?

皮膚テスト

 

イメージ画像 悪化因子は人によってさまざまですが、ダニ、卵、ほこり、牛乳など、悪化因子になりやすいものがいくつか知られています。そのため、何が悪化因子なのかを探す皮膚テストを行います。
 皮膚テストでは、いくつかの悪化因子を腕や背中の皮膚につけて変化が起こるかどうかを検査し、もし変化があればそれが悪化因子である可能性があります。

悪化因子を避ける

 

 悪化因子が見付かったら、それらに触れないようにすることで症状が軽減することが期待できます。
 悪化因子がダニなどの身の周りの物であれば、部屋を掃除する回数を増やす、ペットを飼育しない、清潔な生活を心がけるなどで効果が期待できます。
 卵、牛乳などの食品が悪化因子であれば、それらを含む食品を避けるようにします。栄養が偏ってしまうおそれがあるため、代用の食品を摂るようにしましょう。また、栄養士に相談してみるのも良いでしょう。

悪化因子を避けても・・・

 

 悪化因子を減らせば症状は軽くなると考えられています。しかし、皮膚テストで判明した悪化因子を除去しても治るわけではありません。
 アトピー性皮膚炎には、その他にもさまざまな要因が絡んでいるためです。


アトピー性皮膚炎のスキンケアは?

お風呂やシャワー

 

イメージ画像 汗や汚れは症状を悪化させてしまいます。お風呂、特にシャワーを浴びることで、身体を綺麗にすることが大切です。この時、石鹸などを使って洗っても大丈夫です。ただし、ゴシゴシとこすらないようにし、丁寧に洗うようにしましょう。
 お風呂で体温が上がると症状が出ることがあるので、熱い湯船は避け、入浴剤の使用も控えるようにしましょう。

保湿剤で皮膚を保護

 

 皮膚が乾燥すると、症状が現れているようになります。このため、保湿剤などを塗って皮膚を乾燥から守ると、症状を抑える効果が期待できます。
 保湿剤は医師に処方してもらうものでも、市販されているものでも大丈夫です。

衣服・衣類

 

 チクチクするような衣服を着ると、その刺激が原因で痒くなってしまうことがあります。
 また、衣服を洗った後に残った洗剤が症状を悪化させることがあるので、洗濯物は十分に濯ぐようにしましょう。


アトピー性皮膚炎の日常生活は?

過剰に気にしすぎないように

 

イメージ画像 アトピー性皮膚炎は特別な病気ではないので、医師に指示されたことを守りながら、普通の生活を送ることができます。悪化因子の恐れがあるからといって、食物を過剰に制限したり、ほんのわずかな汚れを気にしたりと、過剰に気にする必要はありません。
 医師の指示を正しく守って症状をコントロールし、上手にアトピー性皮膚炎と付き合っていくようにしてください。不安なことがあったら、医師に相談しましょう。

どうしても掻いてしまう

 

 治療中、どうしても痒くて皮膚を掻いてしまうことがあると思います。できるだけ掻かない方が良いのは当然ですが、掻いてしまったからといって叱ってしまうと、かえってストレスになって良くありません。
 痒みを感じないようにするため、痒いところを氷で冷やす、おもちゃやゲームなど別のことで気を紛らわすなどを試してみてください。
 掻いてしまっても、なるべく刺激を減らすため、洋服は長袖と長ズボンを着て皮膚を直接掻かないようにします。爪は短く切り、皮膚を傷付けないようにしましょう。


参考ページ

アトピー性皮膚炎に役立つページ

 

子供のアトピー性皮膚炎の原因や治療法
 家庭の医学:子供のアトピー性皮膚炎とは?
アトピー性皮膚炎の原因や治療法
 家庭の医学:アトピー性皮膚炎とは?
アトピー性皮膚炎の合併症である白内障・網膜剥離
 家庭の医学:アトピー白内障・アトピー網膜剥離とは?
アトピー性皮膚炎とも関連の深い、食物アレルギーの食事療法
 家庭の医学:食物アレルギーの食事療法とは?

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