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皮膚炎を起こす植物


皮膚炎を起こす植物を知っておこう

貴重な自然

 

イメージ画像 都会での生活では、自然の草木に触れ合うことのできる機会が減少してきました。
 屋外に出て、四季折々の自然の空気、風景や景色に肌で触れ合うことは、心身のリフレッシュに欠かすことができません。

恐がる必要はありません

 

 楽しいアウトドアや野外活動の時、用心しておきたいのは、植物によるかぶれです。
 ウルシによるかぶれは有名ですが、その他にもさまざまな植物がかぶれの原因になります。
 あまり神経質になる必要はありませんが、自然の中で遭遇すると意外と厄介な代物です。
 そうした植物によるかぶれから、身を守る方法を身に付けておきましょう。


植物かぶれはアレルギー性接触皮膚炎

かぶれは接触皮膚炎

 

イメージ画像 かぶれは、接触皮膚炎と呼ばれ、触れた物の刺激によって起こる皮膚の炎症です。
 ウルシなどによるかぶれは、皮膚に赤い斑点ができ、強い痒みをともないます。
 接触皮膚炎といっても、さまざまな種類があります。

 

刺激性接触皮膚炎

   

 洗剤の原液のように、強い刺激のある成分に触れて起こる皮膚炎があります。
 また、主婦湿疹のように、一度の接触では何も起こりませんが、水仕事で弱い刺激を繰り返して受けることによって炎症を起こす皮膚炎があります。

 

アレルギー性接触皮膚炎

   

 特定の物質に対してアレルギーのある人だけが、過敏反応を起こして皮膚炎を起こします。
 植物による皮膚炎のほとんどは、アレルギー性接触性皮膚炎です。そのため、同じ植物に触っても、かぶれる人と、かぶれない人がいます。

アレルギーの仕組み

 

 同じ植物に触っても、かぶれる人と、何も起こらない人がいるというのは、不思議な気がしませんか?これは、アレルギーによるためです。
 アレルギーとは、元々は「普通と違う」、「変わっている」といった意味で、一般的には普通とは異なる体質を持った人に起こる現象だとされています。
 アレルギーを起こす物質である抗原と、抗原に対して体内で作られる物質の抗体の反応から起こります。免疫反応と同じメカニズムですが、アレルギーは過敏反応によって自分自身の身体に良くない作用を与えてしまいます。
 接触皮膚炎の場合、リンパ球の表面に抗体に相当するTリンパ球受容体と呼ばれる抗原受容体があり、抗原と反応します。このようなリンパ球を持っている人に現れる皮膚炎が、アレルギーです。


野外で皮膚炎を起こす植物

意外と少ないウルシかぶれ

 

イメージ画像 かぶれの代表的存在は、ウルシです。しかし実際には、野生のウルシはあまり生えていません。
 野性の植物でもっとも注意したいのは、毒性の強いツタウルシです。
 イチョウでは、種子の周りの悪臭を放つ果肉部分で、かぶれを起こします。
 イラクサ、マムシグサ、センニンソウなどでは、アレルギー性皮膚炎ではなく、刺毛や液汁に刺激物質を含んでいるため、かぶれを起こします。

 

ウルシ(ウルシ科)

   

 枝や樹皮から出てくる乳液を漆器に使用するため、栽培されていました。
 かぶれを起こす植物の、代名詞的存在でが、それほど多く生えているわけではありません。

 

ツタウルシ(ウルシ科)

   

 つる性の植物で、秋には紅葉します。
 野外に生えていることが多く、毒性が強いので注意が必要な植物です。

 

ハゼノキ(ウルシ科)

   

 暖地に自生する樹木です。かつては、ロウソクの原料として盛んに栽培されました。
 紅葉を楽しむために栽培もされ、身近な場所に生えていることの多い樹木です。
身近な植物図鑑:ハゼノキ

 

イチョウ(イチョウ科)

   

 種子のギンナンの周りにある、悪臭を放つ果肉部分でかぶれを起こします。
ベランダ園芸:イチョウの育て方

 

カクレミノ(ウコギ科)

   

 庭木として栽培されます。
 切る時には、おがくずが身体に付かないように注意してください。
身近な植物図鑑:カクレミノ

 

イラクサ(イラクサ科)

   

 植物全体の表面に、毒のある毛が生えています。触ると、かぶれてしまいます。

 

マムシグサ(サトイモ科)

   

 林の下などに生える植物です。口に含むと、粘膜に激しく作用します。

 

センニンソウ(キンポウゲ科)

   

 山野にごく普通に生える、つる性の植物です。汁液が皮膚に付着すると、水疱ができます。
身近な植物図鑑:センニンソウ

 

ウマノアシガタ(キンポウゲ科)

   

 道端に生える植物。センニンソウと同じく、乳液に触れると水疱ができます。

 

ナツトウダイ(トウダイグサ科)

   

 山野に生える植物です。切り口から出てくる乳液に触れると、かぶれてしまいます。


園芸で皮膚炎を起こす植物

園芸植物にも注意が必要

 

イメージ画像 園芸で栽培する植物の中にも、注意が必要な植物があります。
 代表的なものは、サクラソウ皮膚炎の原因となる、鉢花のトキワザクラ(プリムラ・オブコニカ)です。
 キク、アネモネ、スイセンなどの身近な植物でも、かぶれの原因になることがあります。
 観葉植物のディフェンパキアなど、サトイモ科の植物には、粘膜に対する刺激性の強い物質が含まれているので、口に入れたりしないように気を付けてください。大人は大丈夫でも、ペットや子供は要注意です。

 

トキワザクラ(サクラソウ科)

   

 プリムラ・オブコニカという名前で流通していることが多いです。手入れをする時は、素手で植物に触らないようにしましょう。
 ベランダ園芸:プリムラの育て方

 

キク(キク科)

   

 栽培者、農家、花屋などの従業員に、職業性皮膚炎が起こります。
身近な植物図鑑:キク

 

アルストロメリア(ユリズイセン科)

   

 別名、ユリズイセン。ヒガンバナ科、ユリ科に分類されていましたが、最新のAPG分類体系ではユリズイセン科に分類されています。ブーケや花束などに人気のある植物です。職業性皮膚炎の原因になります。

 

スイセン(ヒガンバナ科)

   

 沿岸部では野性のスイセンもありますが、園芸種として普通に栽培されています。皮膚炎を起こすことがあります。
ベランダ園芸:スイセンの育て方

 

アネモネ(キンポウゲ科)

   

 センニンソウと同じキンポウゲ科の植物で、同じ成分を含んでいます。汁が皮膚に付くと、水疱ができます。

 

ハツユキソウ(トウダイグサ科)

   

 白色の葉が美しい植物です。切り口から出てくる乳液に触れると、かぶれてしまいます。
身近な植物図鑑:ハツユキソウ

 

ハナキリン(トウダイグサ科)

   

 サボテンのように棘が密生していますが、花が綺麗なため、温室などで栽培される植物。ハツユキソウと同じ成分を含んでおり、切り口から出る乳液に触れると、かぶれます。

 

ディフェンバキア(サトイモ科)

   

 観葉植物です。茎を口に入れると、口腔内で激しい炎症を起こします。

 

キダチアロエ(ユリ科)

   

 庭や鉢植えなどで栽培される、多肉植物。医者いらずの別名があるにもかかわらず、葉の汁や、キダチアロエを使った製品で皮膚炎を起こすこともあります。
身近な植物図鑑:キダチアロエ

 

サボテン(サボテン科)

   

 ウチワサボテンなどが含まれるオプンティア属には、抜けやすい微細な棘と持っています。
ベランダ園芸:サボテンの育て方


食卓で皮膚炎を起こす植物

皮膚炎を起こす食べ物

 

イメージ画像 植物によるかぶれは、屋外や、園芸だけではありません。発生頻度は低いものの、食べ物にも存在します。
 マンゴー、パイナップル、キウイフルーツなどの果物、ミツバ、レタス、シソ、ニンニクなどの野菜が、皮膚炎の原因になることもあります。
 多くの場合、仕事で大量に取り扱う人に発生します。一般の家庭ではとても少ないので、洗剤によるかぶれと間違えられるケースがあります。
 腐ったセロリは、皮膚に付けないように気を付けてください。

 

マンゴー(ウルシ科)

   

 あまり知られていませんが、マンゴーはウルシの仲間です。ウルシでかぶれる人は、要注意です。
 口の周りに、果汁を付けないようにして食べてください。
 ベランダ園芸:マンゴーの育て方

 

パイナップル(パイナップル科)

   

 果実の中に、蛋白分解酵素と、多数の針状結晶があります。口腔内に炎症が起こります。

 

キウイフルーツ(マタタビ科)

   

 果実の中に、多数の針状結晶があります。指や口唇に、炎症が起こります。
身近な植物図鑑:キウイフルーツ

 

セロリ(セリ科)

   

 腐った部分が皮膚に付いた後、日光に当たると炎症を起こします。

 

ミツバ(セリ科)

   

 家庭菜園としても栽培される野菜です。選別、包装従事者に、皮膚炎が起こります。

 

レタス(キク科)

   

 切り口から出る乳液に触れると、職業性の皮膚炎を起こします。
身近な植物図鑑:レタス

 

シソ(シソ科)

   

 栽培地で、職業性皮膚炎を起こします。シソ特有の香りの成分が、皮膚炎の原因です。
身近な植物図鑑:アカジソ

 

ニンニク(ユリ科)

   

 液汁によって、栽培農家や主婦に、皮膚炎が起こります。

 

タマネギ(ユリ科)

   

 ニンニクと同様に、液汁によって皮膚炎が起こります。皮膚炎を起こす成分が、ニンニクと同じかどうかは、わかっていません。
身近な植物図鑑:タマネギ

 

ナガイモ(ヤマノイモ科)

   

 針状結晶と、その他の成分が皮膚炎を起こします。


製品加工された皮膚炎を起こす植物

皮膚炎を起こす製品

 

イメージ画像 加工食品の漬け物は、葉緑素の分解物によって日光皮膚炎を起こすことがあります。
 香辛料、生薬、エッセンシャルオイル・精油など、植物からの加工品にも注意が必要です。漆細工では、漆を塗ってから1年以上経過していれば、かぶれる心配はありません。
 木材による皮膚炎は、製材所、木工所、工務店など、大量のおがくずや削りかすによって起こります。一般家庭では、ほとんど問題になることはありません。

 

ケヤキ(ニレ科)

   

 製材業者、木材加工業者で、皮膚炎が起こります。一般家庭では、問題になることはほとんどありません。
身近な植物図鑑:ケヤキ

 

ベイスギ(ヒノキ科)

   

 アメリカ産のスギのことで、ウェスタンレッドシダーとも呼ばれます。北米から輸入される木材で、皮膚炎を起こします。

 

チーク(クマツヅラ科)

   

 船舶や家具などに使用される高級木材、チーク材。アジアの熱帯地方から輸入され、木材の加工業者に皮膚炎を起こします。

 

その他、皮膚炎を起こす木材

   

 皮膚炎を起こす木材としては、カキノキ科の黒檀、マメ科のローズウッド、センダン科のマホガニー、ジャケツイバラ科のサティンウッドなどがあります。

 

漬け物

   

 葉緑素の分解物によって、日光皮膚炎を起こすことがあります。

 

香辛料

   

 フトモモ科のクローブ、クスノキ科のシナモン・肉桂、クスノキ科のゲッケイジュ(月桂樹)などの香り成分が原因で、皮膚炎を起こします。
 シナモンパウダーの一気飲みは、危険なのでやめましょう。

 

生薬・漢方薬

   

 十薬(ドクダミ科のドクダミ)は、日光皮膚炎を起こします。マオウ科の麻黄は、薬疹を起こします。半夏(サトイモ科のカラスビシャク)は、粘膜刺激を起こします。
身近な植物図鑑:ドクダミ
身近な植物図鑑:カラスビシャク

 

エッセンシャルオイル・精油

   

 濃厚なエッセンシャルオイルを使用する時は、直接皮膚に付けないように注意してください。

 

漆細工・漆器

   

 漆を塗ってから、1年以上経過したものは皮膚炎を起こさないので安心して使ってください。

 

松脂

   

 松脂の樹脂を見かける機会は少ないかもしれませんが、複写機のトナー、スポーツの滑り止めなどに使用されています。

アレルギーの原因を見付ける

原因を見付けるのは大変

 

イメージ画像 植物に触れて、当日や翌日に症状が現れたという場合は、その植物が皮膚炎の原因と考えて、ほぼ間違いありません。しかし野外では、皮膚に付けた香水、化粧品が日光に当たり、皮膚炎を起こすこともあります。
 皮膚炎には、他のもさまざまな原因が考えられます。

パッチテスト

 

 同じ症状が何度も繰り返される場合、正確な原因を見付けることが大切になります。
 皮膚科の診察を受けると、パッチテストと呼ばれるアレルギーを引き起こす原因を特定するための検査が行われます。
 パッチテストは、原因と考えられる物質を付けた専用の絆創膏を背中などに貼り付け、2日後に判定する検査法です。

植物以外の原因

 

 かぶれを起こすのは、植物だけに限られているわけではありません。皮膚に接触するすべての物が、かぶれの原因となります。
 時計、ブレスレット、ネックレス、指輪などのアクセサリー類。下着、手袋、靴下、靴などの衣類。洗剤、石鹸、シャンプー。外用薬や化粧品も、皮膚炎の原因になります。


皮膚炎を起こしたら?

予防が大切

 

イメージ画像 暑い季節だからと言って、草むらに分け入るような時は、手足を露出しないようにしましょう。長袖・長ズボンの服装は、野外活動のベテランたちにとっては常識です。皮膚炎だけでなく、虫刺されも防ぐことができます。
 初めて目にすると思っていた植物でも、アレルギーを起こすことがあります。
 できれば、手袋の着用もオススメします。

石鹸できれいに洗い流す

 

 かぶれの原因になりそうな植物に触った場合、石鹸で綺麗に洗ってから、水で良く洗い流すようにしてください。
 ちなみに私の予防法は、石鹸で洗った後にたっぷりとハンドクリームを塗るようにしています。炎症を起こす前なら、この方法でほとんど予防できます。
 もし炎症を起こしていたら、患部を清潔にします。赤く腫れて熱を持っているようなら、保冷剤や氷嚢などで冷やしてください。

早めに皮膚科へ

 

 痒いからといって、かきむしったりすると、さらに悪化してしまいます。自己判断で、手元にある塗り薬で済ませようとするのも良くありません。
 なるべく早めに皮膚科の専門医の診察を受け、かぶれの原因を見付けて、適切な治療を受けるようにしてください。

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