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ブルセラ症・波状熱


ブルセラ症・波状熱ってどんな病気?

ブルセラ症とは?

 

イメージ画像 ブルセラ症とは、ブルマーやセーラー服など女子が着用した後の衣類とは関係ありません。
 正しいブルセラ症とは、ブルセラと命名されたグラム陰性球桿菌(いんせいきゅうかんきん)を病原体とする感染症です。感染症法によって、4類感染症に分類されています。

人獣共通感染症

 

 ブルセラ症は、本来ではヤギ、ヒツジ、ウシ、ブタ、イヌなどの家畜などの動物の感染症です。しかし、ヒトにも伝播する人獣共通感染症(人畜共通感染症)の一種です。
 動物にとっては、終生持続する慢性疾患で、感染動物からは、乳汁、尿、胎盤などから、濃厚なブルセラ菌属が検出されます。
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世界中に分布

 

 ブルセラ菌は世界中に広く分布しています。ヒトに感染を起こすものは、4種類が知られています。地中海沿岸地方、アラビア半島、インド亜大陸などに多く存在します。しかし、現在の日本での発病者は極めてまれな病気です。
 ヒトへの感染は、感染動物との濃厚な接触、さらに低温殺菌されていない乳製品の摂食、汚染エアロゾールの吸引、実験室内での感染事故などによって感染します。


人獣共通感染症・人畜共通感染症とは?

ヒトと動物とに感染する病気

 

イメージ画像 自然な状況下で、ヒトと脊椎動物のと間で伝播する病気、あるいは感染症のことです。
 人獣共通感染症、人畜共通感染症、動物由来感染症などと呼ばれています。

200種以上

 

 病気の種類は、全世界で200種以上、日本国内でも60種以上あるとされています。
 ヒトに感染する病原体は1415種あると報告されています。そのうち61%にあたる868種が、ヒトだけではなく他の動物にも感染することが知られています。
 人獣共通感染症の33%は、ヒトとヒトとの間で伝播することが知られています。多くの人獣共通感染症は、ヒトに感染したあと、ヒトの間で流行するようなことはありません。

感染経路

 

 動物に咬まれたり、動物の排泄物や体液に触れる・吸い込むなどして感染します。汚染された肉や乳製品、水や土壌を介して経口的に感染することもあります。
 蚊、ダニ、ノミなど、節足動物に刺されて感染する場合もあります。

新興感染症

 

 これまでに知られていなかった感染症は、新興感染症と呼ばれます。そのうちの75%は、人獣共通感染症だといわれています。
 新興感染症の多くは、ごく限られた地域で、病原体とその自然宿主の動物との間で感染のサイクルが形成されていたものです。それが、森林伐採などによる土地利用の変化、発展途上国の都市化、人口急増、航空輸送の発展、食料流通の変化、気候変動などが絡み合い、新興感染症が突然出現します。場合によっては、全世界へと拡大することもあります。

今後も警戒が必要

 

 新たに出現した感染症が、ヒトとヒトとの間で大きな流行を起こすことが警戒されています。有名なものでは、種の壁を超えてヒトに感染するようになった感染症はエイズです。エイズの病原体は、現在では自然条件下では動物に伝播しなくなっています。
 食品を介する人獣共通感染症は、被害規模が大きくなるので対策が必要です。
 重症化することもなく、ヒトからヒトへと伝播することのない人獣共通感染症では、個人レベルでの常識的な衛生管理を行えば問題になることはありません。


ブルセラ症・波状熱の症状は?

おもな症状

 

イメージ画像 ヒトの体内にブルセラ属菌が侵入してから、2週間〜4週間の潜伏期間ののち、発病します。
 急性と慢性とがあります。
 全身症状があらわれ、あらゆる臓器に感染を起こすことで知られています。おもな症状としては、発熱、発汗、全身倦怠感、食欲不振、頭痛、背部痛、うつ状態などがあります。

特徴的な発熱

 

 長期間にわたって治療を行わなかった場合、特徴的な繰り返す発熱があらわれます。これが「波状熱」と呼ばれる病名の由来となっています。


ブルセラ症・波状熱の診断は?

診断の難しい病気

 

イメージ画像 ブルセラ症の診断は、患者さんの血液や組織液などの検体から、ブルセラ属菌を検出することによります。
 通常の血液検査では、特異的な所見はみられません。
 ブルセラ菌はグラム陰性の球形に近い小桿菌で、莢膜、芽胞、鞭毛を持たず、発育は非常に遅いです。そのため、通常の培養では、少なくとも4週間の経過観察が必要です。そのため、検出が難しく、症状が多様なので、診断は困難となる場合が多いです。

動物との接触など

 

 流行地域での動物との濃厚な接触、流行国から輸入された乳製品の摂食、生活歴なども、診断の参考となります。

似ている症状の病気が多い

 

 発熱をおもな症状をするマラリア、腸チフス、結核野兎病、悪性腫瘍、膠原病などとの、鑑別が必要となります。


ブルセラ症・波状熱の治療法は?

薬物療法

 

イメージ画像 もっとも基本的な治療法は、抗菌薬・抗生物質の投与です。

難しい薬の選択

 

 抗生物質の中には、ブルセラ症に効果のないものも多く存在します。また、複数の抗生物質を通常は6週間、長期的かつ計画的に使い続ける必要があります。
 抗生物質の投与期間が短かったり、外科的処置が適切にされなかった場合、再発するケースも多いです。治療開始前にブルセラ症であることをしっかりと診断した上で、抗生物質の投与を開始する必要があります。

合併症は治療困難

 

 もし万が一、髄膜脳炎や心内膜炎など、中枢神経や心臓にブルセラ感染が合併すると、治療はさらに困難となります。


ブルセラ症・波状熱かなと思ったら?

総合病院へ

 

イメージ画像 もし自分自身で、ブルセラ症かもしれないと考えたときは、総合病院の内科、もしくは感染症科、総合内科を受診し、検査を受けましょう。


ブルセラ症・波状熱の予防法は?

ワクチンは開発中

 

イメージ画像 現在、弱毒変異株を用いたワクチンの開発が行われています。

感染動物の根絶

 

 感染動物の根絶、乳製品の適切な加熱処理、予防接種、検査で陽性が出た動物の殺処分などの対策が有効です。これらの方法によって、ヒトへのブルセラ症の感染が激減しました。

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