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胆道感染症・胆嚢炎・胆管炎


胆道感染症・胆嚢炎・胆管炎の概要は?
おもな症状
  腹痛(右季肋部痛が主ですが、心窩部痛、背部痛として出現する)
胆石症による腹痛は多かれ少なかれ、胆嚢炎を合併し、胆管炎ではより激しい痛みがあります
発熱(胆石症と同様に、胆管炎では38℃を超える発熱が持続)
黄疸は胆嚢炎よりも胆管炎の方が強く現れる(炎症による狭窄や胆石が胆道を閉塞するため)
症状が似ている病気
  胆石症(胆嚢内胆石、胆管胆石)
胃・十二指腸潰瘍
肝膿瘍(かんのうよう)
膵炎(すいえん)
起こりやすい合併症
  急性化膿性閉塞性胆管炎(きゅうせいかのうせいへいそくたんかんえん)
急性膵炎(きゅうせいすいえん)

胆道感染症・胆嚢炎・胆管炎ってどんな病気?
細菌感染する場所によって名前が変わる
  イメージ画像 肝臓で作られた胆汁は、胆嚢という袋に蓄えられます。必要に応じて胆管と呼ばれる管を通って、十二指腸の中に排出されます。
 胆道感染症は、胆石や悪性腫瘍で胆道が閉塞したり、胆嚢・胆管の障害によって、胆汁の停滞に細菌感染が加わって起こります。細菌の多くは、大腸菌などの腸内雑菌が原因となります。
 感染の場所が胆嚢なら急性胆嚢炎、感染の場所が胆管なら急性胆管炎と呼びますが、両者を合併していることもしばしばあります。
症状によっては命の危険も
   胆嚢は、炎症を繰り返すと、胆嚢の壁が厚くなります。収縮機能は低下し、慢性胆嚢炎になってしまいます。
 胆管の閉塞に感染が加わると、感染した胆汁の中の細菌の毒素が、肝臓内の血液やリンパ管を介して全身に広がります。死にいたる急性閉塞性化膿性胆管炎(きゅうせいへいそくせいかのうせいたんかんえん)を引き起こすこともあります。

胆道感染症・胆嚢炎・胆管炎の原因は?
急性胆嚢炎の原因
  イメージ画像 約90%が、胆嚢から胆汁を導く管(胆嚢頸部や胆嚢管)が、胆石で塞がれたことが原因で起こります。
 流れをさえぎられた胆汁は、胆嚢の中で濃縮され、胆汁の中の化学物質が刺激や圧力を作り出します。この状態に細菌の感染が加わって、炎症がひどくなっていきます。
 暴飲暴食、脂分の多い食事で、胆汁の排泄が盛んになって発症することもあります。
 外傷や胃の手術のあとにも起こることがあります。
急性胆管炎の原因
   約80%が、胆管の胆石によるものです。
 手術後の胆管狭窄(たんかんきょうさく)、膵ガン(膵頭部ガン)・胆管ガンなどの腫瘍による胆管狭窄、膵炎なども胆管炎の原因となります。
 胆管の出口の乳頭括約筋(にゅうとうかつやくきん)の機能が不十分な高齢者の場合、細菌が侵入して感染が起こりやすいといわれています。

胆道感染症・胆嚢炎・胆管炎の症状は?
急性胆嚢炎の症状
  イメージ画像 発熱と食後の上腹部通で、しばしば痛みは右の肩、背中に響き、吐き気や黄色い液を吐いたりします。
 腹痛の持続時間は、胆石発作では2時間〜3時間程度ですが、4時間〜6時間以上も続く場合は急性胆嚢炎の可能性があります。
 また、腹部全体が硬くなっている時は、胆嚢が破れて腹膜炎を起こしている可能性があります。
急性胆管炎の症状
   急性胆管炎は、寒気をともなう発熱、黄疸(おうだん)、右上腹部痛が典型例です。
 急性化膿性閉塞性胆管炎では、発熱、黄疸、右上腹部痛、意識障害、ショック症状が現れます。
悪化すると大変なことに
   胆嚢炎、胆管炎が進むと、炎症が腹膜にも波及して腹膜炎を起こしたり、血液を介して全身に細菌感染が広がる敗血症(はいけつしょう)に進行して命取りとなることがあります。
 とくに高齢者では、胆管炎が急激に悪化することがあるので注意が必要です。

胆道感染症・胆嚢炎・胆管炎の診断は?
まずは詳しい問診から
   最初に詳しく症状を聞き取り問診を行います。そして聴診、触診を行います。
 血液検査では、白血球の増加や、炎症反応、肝臓や胆道の酵素上昇を調べます。
画像診断
  イメージ画像 画像診断では、腹部超音波検査を最初に行います。胆嚢の腫大、胆嚢壁の肥厚、胆嚢内の胆泥、胆嚢の体液貯留を調べます。
 腹部CT検査でも、胆嚢の腫大、胆嚢壁の変化、胆嚢内や頸部・胆嚢管の結石、胆管拡張や胆嚢・胆管内のガス像を調べます。
内視鏡検査
   内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)や、経皮経肝胆道造影(PTC)は、結石や腫瘍の胆管炎の原因を調べると同時に、胆管の閉塞を解除する治療を行うことができます。
MRI
   磁気共鳴膵胆管j造影(MRCP)での胆管結石の診断率は80%〜90%です。リスクの高い場合でも、胆管炎の原因を調べることができます。
症状が似ている病気
   区別が必要な病気は、急性虫垂炎(きゅうせいちゅうすいえん)、腸閉塞(ちょうへいそく)、消化性潰瘍穿孔(しょうかせいかいようせんこう)、急性膵炎(きゅうせいすいえん)、右尿路感染症、急性肝炎、胸膜炎などがあります。
胆道感染症・胆嚢炎・胆管炎の治療法は?
急性胆嚢炎
  内科的治療法
     炎症の程度が軽ければ、絶食、輸液、抗生物質の投与などの内科的治療で治すことができます。
  ドレナージ療法
     炎症が強い時には、腹壁から細い針を刺して、胆嚢の中に溜まった胆汁を体外に排出する外科的処置が必要になります。一般的にドレナージ療法、経皮経管胆嚢ドレナージ術と呼ばれます。
 この処置によって炎症が治まれば、数週間後に開腹手術や、腹腔鏡下胆嚢摘出術を行います。
  早期手術法
     上記のような待機的手術ではなく、発症早期の手術を優先して行うこともあります。
 さらにもっとも重症の胆嚢炎で胆嚢壁が化膿して破れていたり、腹膜炎を起こしている場合には、緊急手術が必要となります。
急性胆管炎
  イメージ画像 ショック症状や、臓器障害に進展する危険性があるため、緊急に胆道の内圧を下げる胆道ドレナージ療法を行います。
 胆道ドレナージ療法は、内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(ENBD)、経皮経肝的胆道ドレナージ(PTBN)、開腹手術によるドレナージがあります。
 胆汁排泄量の確認や、胆管の洗浄ができる内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(ENBD)が標準的な治療法になります。
 内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(ENBD)ができない場合は、経皮経肝的胆道ドレナージ(PTBN)や、開腹手術による胆道のドレナージを行います。
 胆道の減圧処置によって全身状態の改善を図ったあとに、胆管炎の原因となった病気の治療を行います。急性胆管炎全体の死亡率は10%ですが、重症急性胆管炎の死亡率は23%と高率です。

胆道感染症・胆嚢炎・胆管炎のかなと思ったら?
一度は診察を受けましょう
  イメージ画像 発熱をともなった上腹部痛に気付いたら、内科や外科の診察を受けることが大切です。
 場合によっては、腹痛もなく、微熱だけが続く場合もありますので、一度は診察を受けることが重要です。
黄疸に気付いたら?
   黄疸に気付いたら、すぐに診察を受ける必要があります。
 とくに高齢者の急性胆管炎は重症化しやすいため、注意が必要です。
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