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 角膜ヘルペス・単純ヘルペス角膜炎
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角膜ヘルペス・単純ヘルペス角膜炎ってどんな病気?
単純ヘルペスの感染
  イメージ画像 皮膚の単純疱疹(たんじゅんほうしん)や唇の「熱の花」の原因となるウイルスでもある単純ヘルペスウイルスによって、角膜の感染と、角膜感染に対する免疫反応によって起こる病気です。

角膜ヘルペス・単純ヘルペス角膜炎の原因は?
発症の数年前に感染
  イメージ画像 単純ヘルペスウイルスは、角膜ヘルペスを発症する時に外から感染するものではなく、何年も前にすでに感染を起こしています。
 知らない間に感染していることが多く、70代〜80代の人では、ほとんどの人が身体のどこかの神経節に単純ヘルペスウイルスを持っています。
ストレスなどを引き金にウイルスが活動
   眼の奥にあり、角膜の知覚を担当している三叉神経節(さんさしんけいせつ)にも、単純ヘルペスウイルスが潜伏感染していることがあります。休眠状態のウイルスが、ストレス、風邪などの体調不良、発熱、紫外線、気温の低下などが誘因となって、ウイルスが活性化され、神経を下降してきて角膜の表面に出てくることで、角膜ヘルペスが発症します。
上皮型と実質型
   上皮型角膜ヘルペスでは、ウイルスが角膜の表面の上皮で増殖します。
 実質型角膜ヘルペスでは、角膜の実質でウイルスに対する身体の免疫反応が生じ、角膜の混濁を起こします。

角膜ヘルペス・単純ヘルペス角膜炎の症状は?
ころつきや涙
  イメージ画像 発病初期は、まぶたの裏がゴロゴロする、涙が出て止まらない、まぶしい、物が見えにくいなどの症状が現れます。
 角膜の表面には、樹木の枝のような樹枝状潰瘍(じゅしじょうかいよう)が見られます。樹枝状潰瘍によって、角膜ヘルペスと診断することができます。
上皮型の症状
   上皮型では、充血、軽いころつき、時に痛みが現れることもあります。
 視力の低下は経度です。
実質型の症状
   実質型では、充血、視界のぼやけ、視力の低下が現れます。
再発を繰り返す
   角膜ヘルペスは、通常は片眼性で、再発を起こすのが大きな特徴です。
 完全には治りにくく、いったん軽快しても再発しやすい傾向があります。再発を繰り返していると、角膜に濁りが残って、視力が低下してしまいます。

角膜ヘルペス・単純ヘルペス角膜炎の診断は?
細隙灯顕微鏡検査
  イメージ画像 細隙灯顕微鏡検査(さいげきとうけんびきょうけんさ)による特徴的な所見が診断に役立ちます。上皮型では、樹枝状角膜炎(じゅしじょうかくまくえん)、実質型では円板状角膜炎が診断に役立ちます。
 特徴的な所見を示さない症例も多くみられます。
ウイルスの検査
   角膜の悪い部分を擦り取ったり、涙を採取するなどして、その中にウイルスがいないかどうか検査します。
 ウイルスを分離するのはごく一部の専門施設でないと行うことができません。
 ウイルスの持っている蛋白に反応する抗体を使った蛍光抗体法(けいこうこうたいほう)、ウイルスのDNAを検出するPCR法が使用されます。
角膜の知覚を検査
   角膜ヘルペスでは角膜の知覚が低下する特徴があるため、角膜の表面を綿花の先やナイロン糸の先で触れ、触れたことがわかるかどうか検査します。

角膜ヘルペス・単純ヘルペス角膜炎の治療法は?
軟膏と目薬
  イメージ画像 単純ヘルペスウイルスに対する特効薬としては、アシクロビル(ゾビラックス)という抗ウイルス薬があります。アシクロビルを眼軟膏(がんなんこう)として使用します。
 IDU点眼薬も有効です。
 実質型では身体の免疫反応を抑えないと混濁が改善されないため、副腎皮質ステロイド系の点眼薬を併用します。
角膜移植手術
   角膜炎を何度も再発して視力が著しく低下しても、角膜移植手術を受けることで治る可能性があります。
 角膜移植手術を検討する場合、眼科専門医に相談してください。

角膜移植手術とアイバンクとは?
角膜移植手術
  イメージ画像 角膜移植は、視力障害の原因となっている濁った角膜(黒目のこと)の中央部を円形に取り除き、ほぼ同じ大きさの綺麗な他の人の角膜を移植して、視力を回復させるものです。角膜の表面(上皮)だけ、裏面(内皮)だけを移植する方法など、病気に応じて様々な手術を使い分けます。
 角膜移植が有効な病気は角膜だけの異常で、視神経や網膜などに重い障害のある視力低下は、角膜移植を行っても回復しません。苛性ソーダなど強いアルカリ性の薬物、花火などの高熱による混濁では、移植しても再び角膜が混濁してしまい、上手くいかないことがあります。
 手術手技の発達、縫合糸の改良、角膜保存液の開発により、手術の安全度は向上しています。拒絶反応を抑えるための薬物の開発も進み、角膜移植の成績も向上しています。手術後1年たっても、約90%の患者さんの角膜は透明なままです。
角膜移植を受けたい人
  誰の角膜を移植するの?
     移植に使われる角膜は、死亡した人の角膜です。
 1958年(昭和33年)、「角膜移植に関する法律」が制定され、本人の意思と遺族の同意が得られれば、死亡した人から角膜の提供が受けられるようになりました。
  角膜移植の申し込みは?
     角膜移植を希望する人は、角膜移植を実施している医療機関で診察を受けます。専門医による診断で、角膜移植を受けられるかどうか判定します。
 可能になれば、登録して順番を待つことになります。
  費用と入院期間は?
     角膜移植は医療保険が適用されるため、医療費の支払いは自己負担分のみです。
 生活保護や身体障害者手帳の交付を受けている人は、自己負担分も公費で賄われます。
 角膜移植手術の入院期間は、7日間〜10日間です。
  拒絶反応は?
     腎臓や心臓の移植では拒絶反応が問題になりますが、角膜には血管がなく、血液が流れていないため、拒絶反応は起こりにくいです。
 血管がないはずの角膜に多数の血管が入り込んでいる病気の場合、拒絶反応が起こりやすいため、角膜移植が受けられるかどうかは慎重に判断されます。
角膜移植を提供したい人
  アイバンクに連絡
     自身の死後、角膜の提供を希望する人は、近くのアイバンク(眼球銀行)に連絡をします。登録や、そのほか、詳しいことを教えてもらえます。
 生前に登録していなくても、遺族が提供を希望する場合、アイバンクに連絡すれば提供することができます。
 アイバンクは全国各地に設立されています。
  提供希望者が死亡したとき
     眼球は死後6時間〜12時間以内に摘出する必要があります。死亡した場合、アイバンクへの連絡はできるだけ早く行います。
 連絡があると医師が出向いて眼球を摘出し、その後はプラスチック製の義眼を入れるので外見は摘出前と変わりません。
 摘出された眼球は、眼球保存液内で4℃に保たれ、1週間〜2週間以内に移植されます。一部の角膜は緊急用に使用するため、冷凍保存されます。

角膜ヘルペス・単純ヘルペス角膜炎かなと思ったら?
再発する角膜ヘルペス
  イメージ画像 角膜ヘルペスは、身体の中から起こってくる病気です。治療によって一度改善しても、三叉神経にはウイルスが残っています。
 しばらくするとまた、角膜にウイルスが出てくるため、再発を繰り返すことが大きな特徴です。
悪化を防ぐために必ず眼科へ
   一度良くなっても、油断しないようにしてください。体調を整え、もしも再発した場合は、早めに眼科を受診することが重要になります。
 極端に悪くなる症例の多くは、再発した時に適切な治療が行われなかったことが原因となります。
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