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胃ガンの概要は? |
早期ガンのおもな症状ほとんど自覚症状なし 進行ガンのおもな症状食欲不振 早期ガンに似ている病気びらん 進行ガンに似ている病気起こりやすい合併症通過障害(嘔吐) |
胃ガンってどんな病気? |
死亡率の高い癌 胃には、良性から悪性まで、多様な腫瘍が発生します。問題となる悪性腫瘍の約95%は胃ガンです。その他では、リンパ腫や消化管間質腫瘍(GIST)などが代表的な胃の腫瘍です。 早期発見されやすい ガンの深達度(深さ、胃ガンでは漿膜側への広がり)によって、早期ガンと、進行ガンとに分類されます。胃壁の外に向かって徐々に深く、大きくなり、それにともなって転移しやすくなります。 高齢者の場合胃ガンは男性に多くみられ、胃の出口付近にできる隆起型の高分化腺ガンで、ゆっくり進行するタイプのガンです。胃の表面にある粘膜が薄くなる萎縮性胃炎(いしゅくせいいえん)を母地として発症します。 |
胃ガンの原因は? |
環境的な原因胃ガンの発生原因は、環境因子の影響が強いと考えられています。 犯人はピロリ菌 最近になって、ピロリ菌(リコバクター・ピロリ、HP)と呼ばれる細菌が胃の中に住み付いて、胃ガンの原因になっていることが判明しました。 多くの保菌者がいるピロリ菌ピロリ菌は、50歳以上の日本人の約80%が保有しています。 Hp陽性の患者さんで、粘膜の萎縮の強い人は、委縮のない人に比べて5倍も胃ガンを発症しやすくなります。Hp陽性の患者さんで腸上皮化生の見られる人は、腸上皮化生のない人に比べて6倍も胃ガンを発症しやすくなります。 Hp陽性の人は胃ガンになる確率は、0.4%しかありません。 ピロリ菌感染だけで胃ガンになるわけではなく、ピロリ菌によって萎縮性胃炎が進行した頃に、様々な発ガン因子が積み重なり、胃ガンが発症すると考えられています。 遺伝子の活動ガンに進行する過程で、ガン細胞を作る方向に働くガン遺伝子の活性化、ガンを抑えるガン抑制遺伝子の不活性化が起こっています。 食生活 胃ガンの発生は、食生活と関係していると考えられています。 胃潰瘍やポリープとの関係 胃ガンと胃潰瘍は、まったく別の病気だと考えられています。 |
胃ガンの症状は? |
自覚症状がない 胃ガンには、特有の自覚症状はありません。 進行ガンの場合 進行ガンになると、体重減少、下血や吐血などの消化管の出血(タール便)などが見られます。 転移している場合肝臓、肺、骨、脳などの臓器に転移すると、転移した臓器や程度によって、さまざまな症状が現れます。 |
スキルス性胃ガンってどんな病気? |
女性に多く発症年齢が低い 胃ガンは病理学的には、大部分が腺管構造をとって胃の内壁に現れる分化型腺ガンに分類されます。 初期では診断が難しい 進行したスキルス性胃ガンは、エックス線造影検査、内視鏡検査で容易に診断することができます。 進行が早く有効な治療法がない エックス線検査や内視鏡検査で早期診断が困難なこと、進行が早く高い確率で腹膜へ転移するため、切除で治る可能性が低く、有効な抗ガン剤も開発されていないなどの問題があります。 |
胃ガンの診断は? |
バリウム検査から内視鏡検査へ 胃ガンの検査といえば、バリウムが有名です。バリウムによる胃の二重造影法は、日本で開発された診断方法です。胃ガンの診断の確立に大きな貢献をしてきました。 内視鏡による生検 良性、悪性の最終診断は、内視鏡によって組織を採取して生検し、病理医による組織診断によって決定されます。 病期、ステージ あらゆるガンの治療方法は、病期(ステージ)によって決まります。 腫瘍マーカー 血液検査による胃ガン検診では、血清ペプシノゲン値を測定し、分化型ガンの高危険群である萎縮性胃炎の患者さんを見付け、精密検査する方法があります。 その他の検査 胃ガンの広がりを調べる検査としては、腹部超音波検査、胸部・腹部CT、注腸検査などがあります。 |
胃ガンの進行度に応じた治療法(胃ガン治療ガイドライン) |
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胃ガンの治療法は? |
ガイドラインの制定 2004年、日本胃癌学会から病期に応じた標準治療のガイドラインが作成され、一般公開されています。 内視鏡手術の進歩 現在では、ESDと呼ばれる内視鏡的粘膜下層剥離術(ないしきょうてきねんまくかそうはくりじゅつ)という手術が広く行われるようになっています。 腹腔鏡手術最近では、小さな傷から腹部に内視鏡(腹腔鏡)を挿入し、胃切除・リンパ節郭清を行う腹腔鏡手術も普及しています。 外科手術 胃の2/3から、場合によっては胃のすべてを切除する手術が標準とされてきましたが、最近では治療後の生活の質(QOL)を保つため、切除範囲をなるべく小さくする努力がされています。 症状改善のための手術 根治不可能な状態でも、症状を改善するための手術が行われることがあります。 手術後の療養 手術直後は、口から飲食物を摂ることができません。点滴で栄養を補います。 抗ガン剤の効果 広い範囲に転移を起こしているなど、手術不可能な胃ガンに対しては、抗ガン剤治療が行われます。新規抗ガン剤の林床導入によって、抗ガン剤を使用しない対症療法との比較試験の結果、明らかな延命効果が証明されています。 放射線治療 欧米では胃ガンの標準治療とされている放射線治療は、日本では有用性が疑問視されています。 セカンドオピニオンの活用 セカンドオピニオンを積極的に聞くことも大切です。 治療成績の改善 胃ガン全体の5年生存率は、1963年〜1969年の統計では44%でした。 治療法ごとの治療成績 治癒切除例の5年生存率は88%、非治癒切除例の5年生存率は11%です。 ピロリ菌との関係 胃潰瘍、十二指腸潰瘍に対しては、ピロリ菌の除菌療法が標準治療となっています。 |
内視鏡的粘膜切除術(EMR)と内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD) |
内視鏡的粘膜切除術の開発 1980年代に登場した内視鏡的粘膜切除術(EMR)は、診断のための切除から、根治のための切除へと、内視鏡治療の分野に大きな変革をもたらしました。 内視鏡的粘膜下層剥離術の開発 1998年、ITナイフ(絶縁チップ)を用いた内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が林床応用されるようになりました。一括切除率が飛躍的に上昇したことから、早期胃ガンの約50%は内視鏡での切除による根治が可能になりました。 治療法の選択 内視鏡的切除が外科手術と大きく異なるのは、リンパ節郭清が不可能なため、根治できる病変はリンパ節転移がないことです。手術前に早期胃ガンのリンパ節転移の有無を正確に診断することはできません。 リスク 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を行う医師は、手術中の穿孔や出血などの偶発症の頻度は、内視鏡的粘膜切除術(EMR)に比べて高くなるため、知識と対策も含め、内視鏡技術の習得が不可欠となります。内視鏡的粘膜下層剥離術は、技術的な煩雑さもあり、完成された手術ではなく、今後もより安全で簡便な手技の開発が望まれます。 |
胃ガンかなと思ったら? |
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消化器専門医へ受診を 体重の減少、消化管の出血がみられたら、すぐに近くの消化器専門医を受診するようにしてください。 40歳を過ぎたら定期健診を 無症状の場合でも、40歳を超えたら、内視鏡検査やエックス線検査による健康診断を定期的に行うことが、早期発見に繋がります。 胃ガンと告知されたら
手術後の後遺症 胃を切除すると、小胃症状(腹部膨満、摂食不良、消化吸収障害、下痢)、胸やけを起こす逆流性食道炎、ダンピング症候群(めまい、頻脈、発汗など)などの術後後遺症がみられます。 |
胃ガンの予防法は? |
食生活の改善 胃ガンは食生活の改善によって、ある程度予防できる病気です。バランスの取れた食生活を心がけることが大切です。 ピロリ菌の除去 ピロリ菌感染者が胃ガンを発症する頻度は、約0.5%です。 |
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