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慢性胃炎


慢性胃炎の概要は?

おもな症状

空腹時の腹痛
胸やけ
げっぷ
食欲不振
もたれ
吐き気
上腹部の不快感

症状が似ている病気

胃・十二指腸潰瘍
胃がん


慢性胃炎ってどんな病気?

これまで考えられていた慢性胃炎

吐き気 胃の中には0.1規定の塩酸(胃の壁細胞で作られる純度の高い塩酸)が常時存在しています。食べたもの自体も物理化学的に胃粘膜を傷害する可能性があります。
 このため、年齢が増すにしたがって胃粘膜は荒れていくというのが、これまでの通説でした。
 慢性胃炎は加齢に伴う現象だというのが、これまでの主流となる考えでした。

原因はピロリ菌

 しかし、1982年にピロリ菌が発見されて以降、これまでの考え方を一変することになりました。
 ピロリ菌の長期感染によって引き起こされることが判明しました。

一般的な慢性胃炎

 医学の分野による慢性胃炎と、世間一般で広まっている慢性胃炎は、必ずしも一致しません。
 一般の人が捉える慢性胃炎は、「非潰瘍性消化不良」といえます。
 このため、医師が患者に説明する慢性胃炎も、慢性の胃症状をきたす状態の総称として使われることが多いです。

慢性胃炎の原因は?

完全治癒はまれ

ピロリ菌 慢性胃炎は、急性胃炎のように完全に治癒することはまれだと考えられています。

慢性胃炎のタイプ

 病理学的にみると、表層性胃炎(ひょうそうせいいえん)と呼ばれるリンパ球を中心とする炎症細胞浸潤がみられます。表層性胃炎とは、内視鏡で胃の粘膜を観察すると、粘膜が赤くなり、表面がやや弱くなっている状態です。不規則な生活や不摂生をしている人に多くみられます。
 胃炎が長期化してくると、胃粘膜は次第に委縮し、胃酸や粘液を分泌しない状態になり、萎縮性胃炎(いしゅくせいいえん)と診断されます。これは高齢者に多くみられます。
 胃の粘膜が膨れる肥厚性胃炎もあります。

ピロリ菌

 慢性胃炎の原因のほとんどがピロリ菌だということがわかってきました。
 ピロリ菌感染がなければ、70歳以上の高齢者でも萎縮のない綺麗な胃粘膜をみることができます。


慢性胃炎の症状は?

代表的な症状

吐き気 比較的多くみられる症状は、上腹部不快感、膨満感(ぼうまんかん)、食欲不振などの不定愁訴と呼ばれるものです。このため、症状だけから慢性胃炎を診断することはできません。
 胃の炎症症状が強いときは、吐き気、上腹部痛などの急性胃炎症状が現れます。
 腹痛などの症状が急に強く出ると、慢性胃炎の急性増悪期と呼びます。

わかっていない部分も多い

 慢性胃炎では、胃粘膜の萎縮の状態と自覚症状の程度が相関しません。胃の蠕動運動の低下との関係が考えられており、胃の働きが悪いために起こるという解釈もあります。
 なぜ慢性胃炎によって症状が現れるのか、実のところはまだわかっていません。


慢性胃炎の診断は?

内視鏡検査

内視鏡 内視鏡検査で胃粘膜所見を認めれば、診断は容易です。
 診断でもっとも大切になることは、胃がんを見逃さないことになります。
 萎縮のある胃粘膜は、表面がなだらかではなく、血管が透けて見える所見がみられます。
 正確な診断には、組織の一部を採取して調べる生検による病理学的検査が必要になります。

シドニー分類

 慢性胃炎はピロリ菌の有無、炎症細胞浸潤の程度、萎縮の程度などから、シドニー分類と呼ばれる国際的な胃炎分類法に基づいてスコア化していきます。

慢性胃炎の治療法は?

根本的な治療法はない

除菌 慢性胃炎の本態は萎縮性の変化なので、根本的な治療法はありません。
 胃がんや大きな潰瘍などがないことが確認されたら、症状に合わせた対症療法が行われます。

対症療法

 軽い症状の場合、市販の胃薬で様子を見ます。
 もたれ感、不快感などの胃の不定愁訴には、胃の運動を改善する薬剤や、胃の粘膜を保護する薬剤が処方されます。
 吐き気、上腹部痛などが強いときは、急性胃炎の治療と同等に制酸剤やH2ブロッカーなどが処方されます。
 慢性的な胃の重苦しさや不快感には、急性胃炎に用いられる薬はあまり効果がありません。最近では、胃の運動を調律する薬が効果的なこともあります。

ピロリ菌の除菌

 最近では、ピロリ菌の除菌が注目を集めています。
 国立がんセンターを中心とする日本の臨床試験によって胃粘膜の萎縮の改善が認められたことから、日本ヘリコバクター学会のガイドラインでは除菌をすることが推奨されています。


慢性胃炎のかなと思ったら?

それほど心配する必要はありません

薬 慢性胃炎自体は心配する必要のない病気で、症状があれば治療を受けるといった程度で十分です。
 ただし、自覚症状だけでは診断ができないので、胃がんなどの他の病気も考えられるため、1年〜2年に1回の内視鏡検査は受けておく必要があるでしょう。

ストレスを溜めないように

 たまには香辛料の入った食事を楽しんだり、アルコールも適量であればストレスが発散され気分転換にもなります。
 あれもダメ、これもダメというような禁欲生活ではストレスが溜まってしまい、かえって逆効果になってしまいます。

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