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アキレス腱断裂

アキレス腱断裂の概要は？

おもな症状

運動中に突然アキレス腱部に強い疼痛を感じ、つま先立ちができなくなる

似ている病気

足関節捻挫
アキレス腱炎
肉離れ

アキレス腱断裂ってどんな病気？

アキレス腱の場所

　アキレス腱は下腿三頭筋（かたいさんとうきん、ふくらはぎの筋肉のコト）の腱の部分で、踵骨（しょうこつ）というかかとの骨に付着しています。
　触ると硬く感じることができます。足首を足底側に曲げる（底屈）働きがあります。全速力で走るときには、体重の10倍以上の力が加わると言われています。
　そのため、アキレス腱が断裂すると足関節を強く底屈できなくなります。

アキレス腱断裂の原因は？

ふくらはぎの筋肉の収縮

　アキレス腱断裂はほとんどの場合、下腿三頭筋が強く収縮することによって発生します。
　下腿三頭筋が急激に収縮すると、アキレス腱を経由して足部を底屈する力が伝えられますが、この時に足関節に半方向の力（足首を背側に曲げる）が加えられると、アキレス腱の力学的限界を超えて断裂してしまいます。
　直達外力（ちょくたつがいりょく、直接加わった外部からの力のコト）、過伸展（伸ばし過ぎ）による断裂もあります。

ジャンプの着地など

　20歳代のスポーツ選手、40歳以上の人が急にスポーツをしたとき、発症することが多いです。
　踏み込み動作、ジャンプの着地の瞬間、急に方向を変えようとした時に発生することが多いです。断裂時には、「パチッ」という音がすることもあります。

アキレス腱断裂の症状は？

急激な痛み

　アキレス腱部に激痛を感じ、同時に歩けなくなります。
　受傷時に、「バチッ」と音がして、他人に蹴られたような痛み、あるいは殴られたような痛みを感じます。

歩くことは可能

　足関節の底屈力が著しく減少するので、つま先立ちができなくなります。
　痛くて足が付けなくなり、足が付けても踏み返しができなくなります。べた足歩行な、可能です。
　完全断裂の場合、皮膚の上から断裂部の陥没を触れることができます。

アキレス腱断裂の診断は？

患部の触診

　皮膚の上から断裂した部分に腱の陥凹が見られたり、触れることができます。
　トンプソンテストと言われ。うつ伏せに寝かせたまま膝を直角に曲げた状態でふくらはぎを鷲掴みにすると、健康な人なら足首が低屈します。アキレス腱断裂の患者さんの場合、まったく低屈しません。

画像診断

　画像診断は必ずしも必要な検査ではありませんが、超音波検査、ＭＲＩ、エックス線軟線撮影などが行われます。

アキレス腱断裂の治療法は？

保存療法と手術療法

　治療には、保存療法と手術療法があります。
　断裂の程度、性別、生活様式などを考慮して治療法を決めます。

保存療法

　足関節を自然に下に垂らした形で、膝の下から足指の付け根までをギプスで固定します。
　ギプスは約8週間ほど使用します。ギプスを巻いている間は、体重をかけても大丈夫です。
　ギプス除去後、約4週間ほど2.5cmくらいかかとの高い履き物を使用します。

手術療法

　アキレス腱縫合をおこなったあと、3週間〜4週間ほどギプス固定します。

再発率

　再断裂確率は、手術療法で1.7%〜2.8%、保存療法で10.7%〜20.8%です。
　手術療法の方が再断裂の可能性が低く、早期回復も可能と言われています。そのため、スポーツ選手は手術療法を選択することが多いです。

治療法の進化

　手術には感染や皮膚の縫合不全などの合併症も、皆無ではありません。
　近年では保存療法にさまざまな工夫を取り入れ、早期復帰を可能にして、スポーツ選手にも適応を広げている施設もあります。

アキレス腱断裂の応急処置は？

アイシングと固定

　皮下血腫（ひかけっしゅ）を軽減させるためのアイシングします。
　うつぶせに寝かせて足首や膝を伸ばした状態で固定します。足首から大腿部に届く長さの副木を当てて固定しますが、なければガムテープを貼り付けて固定します。
　受傷当日に受信する必要はありませんが、なるべく早く整形外科を受診するようにしてください。

予防法

　運動前にはしっかりとストレッチを行い、ウォーミングアップを十分にしてください。
　普段、あまり運動をしていない人が運動会や草野球で受傷してしまうことが多いので、十分なストレッチを行ってください。