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尿管結石


尿管結石の概要は?

おもな症状

 

激しい下腹部痛
疝痛発作(せんつうほっさ)
放散痛
顔面蒼白
冷や汗
吐き気
嘔吐
血尿


尿管結石ってどんな病気?

腎臓の結石が尿管に移動

 

イメージ画像 尿管結石は、腎臓で形成された結石が尿管に落ちてきた場合の結石です。

尿管の狭い部位は結石が通過できない

 

 尿管には、腎盂尿管移動部(じんうにょうかんいどうぶ)、血管(総腸骨動脈)交差部、尿管膀胱移動部の3ヶ所に、生理的狭窄部(せいりてききょうさくぶ)と呼ばれる狭い部位があります。
 直径8mm以下の結石は、尿管と通過して自然排出が期待できますが、生理的狭窄部位では結石の通過は簡単ではありません。このため、尿流の停滞を起こして水腎症を起こすことがあります。

七転八倒するほどの激痛

 

 結石が尿管で通過障害を起こすと、激痛が生じます。
 患者さんは七転八倒するような激しい痛みに襲われ、冷や汗が出たり、不安に襲われます。


尿管結石の診断は?

腎臓結石の検査と基本は同じ

 

イメージ画像 尿路結石の診断も、腎臓結石の診断と同様です。身体所見、尿検査、腹部超音波、静脈性腎盂造影、CT検査を行います。
 MRI検査は、結石の診断には適していません。
 静脈性腎盂造影は、腎盂腎杯・尿管の拡張(水腎・水尿管症)がみられます。拡張した尿管と、正常な尿管の境界部に単純X線画像で白く見える結石様陰影が見られれば、診断可能となります。

結石を見付けづらいケース

 

 結石が腸管ガス像、仙腸関節(せんちょうかんせつ)などの骨と重なっている場合には、わかりにくい場合があります。
 この場合は、左右の差を見て診断します。
 骨と重なっている場合は、CTが診断に有効な場合があります。しかし、CTは断層画像のため、スライス面によっては結石が現れないこともあるので、注意が必要です。

尿酸結石・シスチン結石はX線に写らない

 

 尿酸結石、シスチン結石はカルシウムを含んでいないため、X線像では白く見えないX線透過結石です。そのため、単純X線検査では診断ができません。
 そのため、静脈性腎盂造影により、尿管の拡張・狭窄が認められ、その部位に超音波やCT像で結石様陰影が確認できれば診断可能です。

尿路結石と区別が必要なもの

 

 尿路結石と区別が必要なものには、背部・腹部・骨盤内にある石灰化像があります。

 

静脈石

   

 中心部分が淡く見えます。結石の場合は球形をしているので、中心部分が濃く見えます。
 静脈性腎盂造影による尿管の走行で、最終的には区別をします。

 

消化器系石灰化

   

 胆石慢性膵炎による腎臓の石灰化、腸間膜リンパ節の石灰化、虫垂・結腸憩室内のバリウム残存などがあります。

 

その他

   

 腹部大動脈の石灰化。特に動脈瘤(どうみゃくりゅう)がある場合、精管・精嚢(せいのう)の石灰化、子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)・卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)・類皮嚢腫(るいひのうしゅ)などがあります。

ガンの検査

 

 壮年期以降の場合、膀胱ガン・腎盂ガン・尿管ガンなどの尿路上皮悪性腫瘍の合併症がないかどうかを検査するため、尿細胞診を行うこともあります。


尿管結石の治療法は?

薬による治療

 

イメージ画像 腎臓結石と同様、疼痛がある場合には、インドメタシン坐薬やペンタゾシンの注射などの鎮痛薬、鎮けい薬、結石形成抑制薬などを投与します。同時に、水分摂取・補液を行います。
 縄跳びなどの適度な運動も有効です。
 尿路感染症をともなっている場合には、抗生剤の投与も行います。

手術が必要なことも

 

 腎臓結石と同様、尿管ステントや、腎瘻増設(じんろうぞうせつ)が必要なこともあります。
 両側尿管結石嵌頓(りょうがわにょうかんけっせきかんとん)の場合には、尿管の両側が完全閉塞されることによる腎後性腎不全(じんごせいじんふぜん)となり、緊急で両側、または片側の尿管ステント留置か腎瘻増設が必要となります。
 自然排出が期待できない場合、水腎症が進行している場合、手術を行います。

最近の手術

 

 結石が中部尿管よりも、腎臓に近い位置にある場合、体外衝撃波砕石術(ESWL)を行います。
 これよりも膀胱側に近い下部尿管結石の場合、経尿道的尿管砕石術(TUL)を行います。これは、尿道から内視鏡(尿管鏡)を挿入して、尿管口から尿管内へ進めて結石を直視下に観察しながら結石破砕を行う手術です。

従来の手術

 

イメージ画像 従来行ってきた手術療法の、腎盂切石術、尿管切石術は、開腹して腎盂・尿管を切開し、結石を壊さないようにして採石することが基本でした。
 体外衝撃波砕石術(ESWL)、経尿道的尿管砕石術(TUL)は皮膚に傷はできないものの、完全に採石できるとは限らず、残石の問題があります。しかし従来の観血的手術の場合は再手術は難しいのですが、体外衝撃波砕石術(ESWL)、経尿道的尿管砕石術(TUL)は再手術も可能です。

入院は3日〜4日

 

 ESWL、TULを行ったあとは、尿流を保つために、円周6mm〜7mmの尿管ステントを留置します。
 ESWLは、ペンタゾシンなどの鎮痛薬、または硬膜外麻酔(こうまくがいますい)で行います。TULは、腰椎麻酔、または硬膜外麻酔で行います。
 入院日数は3日〜4日です。


内視鏡操作による尿路結石除去術とは?

PNLとTUL

 

イメージ画像 経皮的腎瘻(けいひてきじんろう)造設後に、経皮的に内視鏡、または腎盂鏡(じんうきょう)を挿入して、腎盂内の結石を観察しながら破砕する経皮的腎砕石術(PNL)と、尿道・尿管に内視鏡(尿管鏡)を挿入して尿管結石を破砕する経尿道的尿管砕石術(TUL)があります。

現在のPNLの役割

 

 PNLは、体外衝撃波砕石術(ESWL)に先駆けて施行されました。現在ではESWLの普及によって、PNLは限定された治療法になりました。
 しかし、ESWLにも限界があるため、大きな結石に関しては、依然としてPNLは有効です。

TUL

 

 中部尿管以下の結石で一般的に行われるのは、TULです。
 腰椎麻酔(ようついますい)、または硬膜外麻酔(こうまくがいますい)によって、両足を開いて軽く上に上げた砕石位と呼ばれる体位で行います。

TULの手順1

 

 膀胱鏡を挿入し、尿管口から尿管・腎盂までガイドワイヤーを挿入します。膀胱鏡を抜いてから、尿道から尿管鏡をガイドワイヤーに沿って尿管内に挿入します。熟練していれば、ガイドワイヤーは必ずしも必要ではありませんが、目安になるので安全な方法です。
 尿道口が狭い場合には、尿管バルーンダイレーターで拡張してから、尿管鏡を尿管内に挿入します。

TULの手順2

 

 通常は、尿管鏡は硬性尿管鏡を使用します。結石が衝撃などで腎盂内に戻ってしまった場合は、軟性尿管鏡を使用して砕石するか、尿管ステントを留置して、ESWLに切り替える必要があります。
 内視鏡下、およびX線透視下で、尿管鏡を進めて結石まで到達させます。結石を観察しながら、砕石装置で砕石します。
 砕石装置は4種類に大別できます。超音波、レーザー、小型のドリルのような圧搾空気電気衝撃、電気水圧衝撃の4種類です。
 排石可能な大きさになるまで砕石して、尿管ステントを留置して手術は終了となります。

PNLの手順1

 

 PNLは、硬膜外麻酔、または全身麻酔で、腹ばいの伏臥位(ふくがい)で行います。
 超音波ガイド下、およびX線透視下で腎杯を穿刺し、腎瘻を造設します。サンゴ状結石、大きな腎結石の場合は、腎瘻を造設するスペースがなく、困難な場合もあります。
 腎瘻が造設されたあとは、腎盂鏡が挿入できるまで腎瘻を拡張して腎盂鏡を挿入します。

PNLの手順2

 

 TULと同様、内視鏡観察下に、砕石装置で破砕します。
 大きな結石の場合は、結石を直接体外につまみ出すこともあります。
 砕石後は、腎瘻を留置して手術は終了となります。


体外衝撃波砕石術(ESWL)とは?

新しい医療機器の開発

 

イメージ画像 ESWLは、上部尿路結石治療の中心を占めています。最近では、第3世代砕石装置が開発され、医療機器も進歩しています。
 衝撃波発生装置は大別すると、水中放電方式、電圧方式、電磁波変換方式があります。衝撃波の伝播方式には、患者さんを水中に入れる湿式と、水槽を使用しない乾式とがあります。

X線透視か超音波

 

 結石に照準を合わせる方法には、X線透視、または超音波を使用します。
 X線透視照準法は、カルシウムを含有した結石のX線非透過性結石に対しては、結石に簡単に照準を合わせることが可能です。しかし、尿酸結石、シスチン結石などのX線透過結石や、腸管ガスが多い場合には、照準を合わせることができません。
 超音波照準法は、X線被爆がないのが利点ですが、尿管結石の場合には照準を合わせにくい欠点があります。

1泊入院や日帰り手術も可能

 

 麻酔は、初期の頃は全身麻酔を行っていました。現在では、硬膜外麻酔、局所麻酔、ペンタゾシンなどの鎮痛薬を用いて治療できるようになりました。これにより、入院日数も短縮できました。
 一般的には、経過観察のために数日間の入院をしますが、1泊入院、日帰り手術も可能になりました。

ESWLの欠点

 

 破砕された結石の小片が尿管内に詰まる、ストーン・ストリート。血尿、腎周囲・腎被膜下血腫(じんひまくかけっしゅ)などがあります。このため、抗凝固薬投与時など、出血しやすい状態でのESWLは好ましくありません。
 結石の近くに腹部大動脈瘤、腎動脈瘤などの動脈瘤がある場合、症例によってはESWLを行えない場合もあります。
 腎臓の位置異常で骨盤内にある骨盤腎、小児では、あまり推奨されていない治療法です。

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