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 アルコール依存症・薬物依存症

アルコール依存症・薬物依存症の概要は?
おもなな症状
  精神依存
    アルコール・薬物の渇望
アルコール・薬物探索行動
軽度の離脱症状
回避行動など
  耐性の上昇
  身体依存
    離脱症状の出現
 せん妄
 振戦(しんせん)
 不眠
 痙攣(けいれん)
 不安
 恐怖
 幻覚
 妄想(もうそう)妄想
随伴症状の出現
 意欲低下
 感情鈍麻(かんじょうどんま)
 社会的・職業的不適応
症状が似ている病気
  急性中毒
意識障害、呼吸障害、幻覚妄想
薬物乱用、娯楽的薬物使用、流行性乱用
起こりやすい合併症
  外傷
感染症
肝機能障害
腎機能障害
呼吸器障害
心障害
高血圧、または低血圧
睡眠障害

アルコール依存症・薬物依存症とは?
依存症とは
  イメージ画像 『依存症』とは、アルコール、覚せい剤、シンナー、麻薬などの依存性薬物を、医療などの目的以外の方法、用量で使用するうちに、やめられなくなったり、精神や身体に異常が現れ、治療を必要とする状態に陥った患者さんのことを指します。
辞められなくなってしまう
   依存性薬物の代表は麻薬です。医療用に使う場合は、医師の調整下にあるため依存症になることはありません。
 これを勝手に入手して用いると、習慣性が生じてしまい、辞められなくなってしまい、薬を求める枯渇感が強まります。次第に耐性が高まり、使用量が増え、薬なしでは精神も身体も普通に機能しなくなってしまいます。
アルコールやタバコも
   アルコール類、タバコなど、嗜好品に類するものも、用量を超えて乱用しているうちに、依存症になってしまいます。
中毒と依存症との違い
   かつては、『依存症』は『中毒』と呼ばれていました。『麻薬中毒』、『アルコール中毒』などと呼ばれていました。
 しかし現在では、『中毒』という言葉を用いる場合は、一度に大量に薬物を誤用したときの急性の精神・身体異常を指すことになりました。
 慢性の薬物乱用の異常は『依存症』と呼ばれます。

アルコール依存症・薬物依存症ってどんな病気?
依存症のきっかけ
  イメージ画像 アルコール飲料は容易に手に入り、元々が嗜好品であるために、乱用されやすいものです。一方で、麻薬や覚せい剤などの薬物は、厳しい法的規制を犯してまで乱用するようになり、依存症を引き起こします。
 最初は、精神的苦痛や、身体的苦痛から逃れるため、あるいは遊び半分などで依存性薬物を使い始めます。多くの場合、そこから受ける酩酊感(めいていかん)が忘れられなくなり、繰り返し使用するうちに自制できなくなります。そして薬物に溺れるようになってしまいます。
 もともと、人や物に依存しがちな性格の人が、依存症になりやすいとされています。
依存症の悪化
   まず、『精神依存』と呼ばれ、その薬物がないと我慢できないほどに薬物を求める『薬物探索行動』状態になります。
 やがて、『身体依存』と呼ばれ、その薬物がないといろいろな身体的な障害が起きてくる状態になります。自律神経症状と呼ばれ、頻脈、発汗、呼吸障害、振戦(しんせん)、痙攣(けいれん)、幻覚、意識障害が現れます。これらの症状激しい場合には、死に至ります。
 この状態から逃れるために薬物を求めますが、以前の量では効果が薄れ、さらに多量の薬物を求めるようになります。これを『耐性上昇』といいます。
二次的な影響・病気
   アルコールや薬物の依存症になると、労働意欲は低下し、感情も不安定になり、社交性を失っていきます。
 怠業からやがて失業したり、他人に暴力を振るったり、犯罪を犯したりするようになります。
 場合によっては、不安、抑うつ、幻覚、妄想、せん妄などの精神症状が出現し、アルコール精神病や、薬物精神病になることもあります。
再発しやすい体質になってしまう
   覚せい剤、シンナー・トルエンなどの有機溶剤などの依存症では、精神病様状態になると、薬物を中止しても、再度少量使用するだけで、容易に症状が再現されてしまう『逆耐性現象』が起こることがあります。
 また、まったく別の心理的刺激を受けただけで、一時的に症状が再燃する『フラッシュバック現象』が起こります。
 依存症が再発しやすい体質に変化してしまうということです。
 なかには、痴呆状態(ちほうじょうたい)になってしまう人もいます。

アルコール依存症・薬物依存症の原因は?
薬物・人・環境によって成り立つ
  イメージ画像 依存症になるには、『依存性薬物』があり、それを使用する『人』がいて、橋渡しをする『環境』があってはじめて成立します。とくに流行性乱用が起こるのは、環境条件としての社会的背景が大きく関与します。
 日本で最初に覚せい剤依存症が流行したのは第二次大戦後で、虚脱、退廃といった当時の社会環境が影響していました。
原因となるもの
   依存症の原因薬物は、多くが中枢神経に作用して、抑制や刺激作用を起こさせます。
  モルヒネ類
     アヘンに含まれるアルカロイドで、チロシンから生合成される麻薬のひとつです。中枢鎮痛作用を示し、医療用や軍事用で痛み止めとして使用されています。
  アルコール類・睡眠薬
     市販されている酒類、医師の処方による睡眠薬、睡眠導入薬。
  コカイン
     コカノキに含まれるアルカロイドで、オルニチンより作られます。かつてはコーラに含まれていました。
  大麻類
     アサの花、茎、種子、葉などを乾燥して刻んで作られます。別名、マリファナ。タバコやアルコールより安全性が高いと考えられています。
  覚せい剤
     別名、ヒロポン、ポン、スピード、エス、シャブなど。数度の使用で強い嗜好性が生じ、依存状態になりやすいとされています。
  カート
     
  幻覚剤
     LSD、MDMA、エクスタシーなど。最近では自閉症注意欠陥・多動性障害の治療薬として研究されています。
  有機溶剤
     ベンゼン、トルエン、キシレンなど。脳を溶解させる作用があります。
  タバコ
     ニコチン、ニコチンパッチ。喫煙習慣がやめられない人は、ニコチン依存症と呼ばれています。ちなみにタバコの葉は、ナス科の植物です。
原因となるもの
   依存症となる原因は、薬物による快感という報酬があり、薬物接種要求が生まれます。
 やがて、自制できなくなると繰り返し接種することとなり、精神依存が形成されます。
 次に、離脱症状を伴う身体依存が形成されると、断薬による苦痛を回避するために、薬物を求めるようになる悪循環が成立し、依存症となってしまいます。

アルコール依存症・薬物依存症の症状は?
原因薬物によって症状もことなる
  イメージ画像 症状は、原因となる薬物の種類によって異なります。必ずしも同じ症状が出るわけではありません。
アルコール依存症の場合
  強い飲酒要求
     強い飲酒欲求があります。飲み始めると、止まらなくなります。
 連続飲酒で朝からでも飲酒し、つねに酒臭く、やめようとしても失敗を繰り返す状態となります。山型の飲酒サイクルを示します。
  さまざまな精神的・身体的症状
     1日〜2日の飲酒中断でも、睡眠障害、振戦(しんせん)、自律神経障害、情緒不安定となります。ときには、離脱痙攣発作、離脱せん妄状態(壁などに虫や手などが無数に見えたりする幻視を伴います)、アルコール幻覚症(たくさんの人の声が聞こえるなど)が起こることがあります。
 ひどい物忘れをし、場所や時間の見当がつかなくなり、忘れたことを取り繕うために作り話をするというコルサコフ症候群にもなります。
 また、ウェルニッケ脳症と呼ばれる急性脳炎になったり、アルコール性痴呆に移行したりします。
 内科的には、肝臓、すい臓の疾患が起こります。
覚せい剤依存症の場合
  約1ヶ月で依存症になります
     薬物はおもに注射が用いられます。最近では、吸煙されることもあります。
 1日量10ミリリットルから次第に増量され、早い人では1ヶ月くらいで依存症になります。
  約1ヶ月で依存症になります
     まず、症状は不安が強くなり、物事にこだわる傾向が現れる神経症様状態になる場合があります。
 また一方では、他人から悪口を言われる声が聞こえたりする幻聴や、誰かに追われているように思う追跡妄想・被害妄想が出る場合があります。後者の倍では、統合失調症(精神分裂病)統合失調症に似た状態となります。ときには、他人に対して暴行や傷害を起こし、殺人にまで及ぶこともあります。
 一度薬物を辞めても、フラッシュバック現象が出てくることがります。長期連用で、幻覚、妄想が固定化され、慢性分裂病者と同様になることもあります。

アルコール依存症・薬物依存症の治療法は?
治療はかなり難しい
   「依存症」の症状は治っても、「依存」は治らないといわれるほど、治療は困難を伴います。
まずは入院治療
   本人が治すという意志を示せば、精神科のアルコール依存症や、薬物治療専門病棟などへの入院治療が一番効果的です。
 薬物療法では、アルコール依存症には抗酒薬の服用、麻薬依存症には置換薬の服用治療を行います。
自助グループへの参加
   断酒、断薬のための薬物療法のみではなく、断酒会や断薬会などの自助グループに参加し、断酒、断薬の決意を固めることが大切です。
 管理人の知っている自助グループを掲載しておきます。
Big Love Crew ビッグラブクルー - Jetty home

アルコール依存症・薬物依存症かなと思ったら?
一致団結して治療へ
  イメージ画像 本人はもちろんのこと、家族の人も一丸となって治療することを考える必要があります。
 精神科医、保健所の精神保健福祉相談員、保健婦などに、早期に相談し、治療へと進めていくことが大切です。
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