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開頭手術 |
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血腫の大きさと症状の程度によって、緊急の開頭血腫除去術(かいとうけっしゅじょきょじゅつ)が行なわれます。全身麻酔下で、血腫を完全に除去し、出血源を確認して止血します。
術後の脳圧を軽減するために、開頭した骨片をもとの部位に戻さずに、皮下組織と皮膚のみで閉頭し、1ヶ月〜2ヶ月後に状態が落ち着いた時点で、保存しておいた骨片を戻して整復するという方法がとられることもあります。
日本のガイドラインでは、血腫の厚さが1cm以上の場合を手術の目安としています。 |
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薬物療法 |
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血腫が少量の場合は手術の効果が低いので、重症でも薬物療法が行なわれます。頭蓋内圧亢進に対する脳圧降下薬として、グリセオールやマンニトールの点滴注射が行なわれます。
頭蓋内圧亢進に対する特殊な治療法として、バルビツレート療法、低体温療法がありますが、副作用も大きいために適応は慎重に判断されます。 |
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穿頭血腫ドレナージ術 |
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脳ヘルニアが進行し、呼吸停止など脳幹の機能が失われた場合、手術での危険性が高く、開頭手術を行えないこともあります。
重症例では、局所麻酔で頭蓋骨に小さな孔を開け血腫を抜くという、穿頭血腫ドレナージ術(せんとうけっしゅどれなーじじゅつ)が行なわれることもあります。
状況によって救急処置室などで穿頭や小開頭である程度血腫を除去し、その後状態をみて全身麻酔下の開頭手術に移行することもあります。 |
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予後 |
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予後は一般的に入院時の意識障害の程度に比例します。昏睡状態の重症急性硬膜下血腫では、死亡率は約70%、社会復帰率は約15%と報告されています。またたとえ日常生活や社会生活へ復帰しても、ほとんどの症例で高次脳機能障害が残るため、満足な生活を送ることができないのが実情です。
まれに手術の準備中に意識障害が改善に向かう症例があります。このような症例では血腫が自然消退していくものもありますが、例外的な症例と考えられます。 |