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 野兎病(やとびょう)

野兎病の概要は?
おもな症状
  発熱(38℃〜40℃)
悪寒
頭痛
関節痛
リンパ節の腫脹(しゅちょう)
似ている病気
  ペスト
起こりやすい合併症
  肺炎
敗血症
髄膜炎

野兎病ってどんな病気?
「やとびょう」と呼んでください
   ついつい「のうさぎびょう」と呼んでしまいそうえすが、「やとびょう」と呼んでください。
 名前にあるとおり、ウサギに起因する感染症の一種です。
動物由来感染症
   野兎病は、北半球のみに発生する動物由来感染症です。本来はウサギやネズミなどの、野生動物の病気です。
 病原菌は野兎病菌で、地リス、ウサギ、ハタネズミ、キツネ、クマなどの野生動物をはじめ、キジ、ウズラなどの鳥類、ウシ、ヒツジなどの家畜、イヌ、ネコなどのペットにも感染します。125種以上の動物種が、野兎病菌の宿主(しゅくしゅ)になるといわれています。
 ウサギ目、げっ歯目の動物に寄生するダニ、ノミ、カ、アブ、シラミなどにも感染します。

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強毒型と弱毒型
   北アメリカには、強毒型と弱毒型とが存在することが確認されています。日本、スカンジナビアでは、弱毒型といわれています。日本での死亡例は報告されていません。
 バイオテロに使用される可能性のある菌とされており、感染症法で4類感染症に位置づけられています。

野兎病の症状は?
細菌の侵入場所によって症状が違う
   2日〜10日の潜伏期間の後、発熱(38℃〜40℃)、悪寒(おかん)、頭痛、関節痛などの症状で発症します。
 細菌の侵入部位によって、異なる病型を示します。日本では感染動物の解体時、欧米では節足動物による媒介、食品や飲料水の摂取、エアロゾルの吸入による感染も報告されています。
潰瘍リンパ節型
   西半球では、約85%が潰瘍リンパ節型です。リンパ節の腫脹(はれ)をともなう、局所の壊死性(えしせい)の潰瘍があらわれます。
 この型で、初期病巣が認められないリンパ節型は日本では多く見られる病型です。感染動物を取り扱ったり、解体する時に手指から菌が侵入して感染します。
眼リンパ節型
   結膜から感染した場合、眼リンパ節型と呼ばれます。まぶたの浮腫(むくみ)、小潰瘍をともなう結膜炎とリンパ節の腫脹が生じます。
 ほかにも、リンパ節腫脹が生じるものには、鼻リンパ節型と、扁桃リンパ節型があります。
肺型
   リンパ節腫脹をともなわない、肺型は空気中に浮遊する微小な粒子によるエアロゾル感染によるものです。片方、あるいは両方の肺炎を起します。
チフス型
   汚染されたウサギの肉、あるいは汚染された水を飲食し、経口的に感染するチフス型はまれですが、診断が難しいです。胃腸炎、発熱、毒血症を生じます。肺炎症状をともなうこともあります。

野兎病の診断は?
細菌分離・血清学的検査
   確定診断には、遺伝子の有無、菌の分離培養、抗体の有無などを検査します。検査の種類や精度によって数時間以内に終わるものと、1週間以上必要とするものがあります。
 血清診断の場合には、ブルセラ症、エルシニア感染症との交差反応(抗体がそれらとも反応してしまうこと)があるので、注意が必要となります。
さまざまな感染症との区別が必要
   病型が多様なため、多くの感染症との区別が必要となります。
 リンパ節型、潰瘍リンパ節型では、連鎖球菌(れんさきゅうきん)、ブドウ球菌感染、伝染性単核球症トキソプラズマ症、鼠径リンパ肉芽腫、猫ひっかき病、パスツレラ症、ペストなどとの区別が必要です。
 チフス型では、Q熱、ブルセラ症、マラリア、サルモネラ症、結核、オウム病、レジオネラ症、チフスなどとの区別が必要です。

野兎病の治療法は?
ストレプトマイシンが第一選択薬
   抗生物質を用いた治療法が有効です。特に早期の治療開始が極めて有効です。治療は検査結果を待たずに開始されることもあります。
 使用される抗生物質は、テトラサイクリン剤や、フルオノキノロン剤、ストレプトマイシン、ゲンタマイシンがあります。ストレプトマイシンが第一選択薬となります。クロラムフェニコール、テトラサイクリンでは、再発しやすいとされています。ペニシリン系、セファロスポリン系薬剤は効果がありません。
ワクチン
   日本では、野兎病に対するワクチンは使用されません。

野兎病かなと思ったら?
診察を受けましょう
   山間部への立ち入り、野ウサギ・野ネズミとの接触後に該当する症状があらわれた場合は、すみやかに受診をしましょう。症状、および動物との接触の有無を、受診時に告げる必要があります。
 ヒトからヒトへの感染はありません。
2008年2月に日本で確認されました
   2008年2月、野ウサギを食べようと調理した千葉県横芝光町の男性が野兎病に感染しました。
 国立感染症研究所によれば、1994年頃まで東北・関東地方の山間や農村の一部で年間10人程度、累計1372件の感染報告がありました。1999年に千葉県で1件報告されて以降は確認されていませんでした。9年ぶりの感染報告となりました。
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