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 頭蓋骨陥没骨折

頭蓋骨陥没骨折ってどんな病気?
頭蓋骨が内側に陥没
  イメージ画像 ピンポン玉を押した時に凹んでしまうように、頭蓋骨が内側に陥没した骨折です。
 頭蓋骨線状骨折と同様に、骨折にともなう頭蓋骨内の損傷の有無が問題となります。
脳の圧迫と損傷
   頭蓋骨陥没骨折では、頭蓋骨のすぐ内側には髄膜(ずいまく)に包まれた脳があるため、陥没の程度によって脳が圧迫や損傷を受けます。
開放性陥没骨折
   外傷により頭部表面に傷ができ、骨折部と外界が繋がっている開放性陥没骨折では、12時間〜24時間以内に適切な処置をしないと、感染の危険性があるので早急な治療が必要です。

頭部の解剖図
頭蓋骨は脳の入れ物
  イメージ画像 頭部の構造は、脳が頭蓋骨という入れ物に入っている状態と言えます。
 頭蓋骨よりも外側を頭蓋外(ずがいがい)と呼び、頭部軟部組織が覆っています。頭蓋骨よりも内側を頭蓋内(ずがいない)と呼び、脳が髄膜に包まれた状態で存在します。
 脳に対して影響を及ぼす頭蓋内の損傷の有無が、頭部外傷では問題になります。
3層構造の髄膜
   髄膜は外側から、硬膜(こうまく)、くも膜、軟膜(なんまく)の3層構造になっています。
 硬膜は頭蓋骨の内側にピッタリと張り付いていて、厚紙のようにしっかりとした膜です。くも膜は薄くて弱い膜で、ピンセットでつまむだけで破れてしまいます。軟膜は脳の表面そのもので、剥がすことはできません。
 くも膜よりも内側は、無色透明の脳脊髄液(のうせきずいえき)で満たされています。

頭蓋骨陥没骨折の原因は?
頭部への衝撃
  イメージ画像 頭蓋骨線状骨折と同様に、骨折部位への外部からの直接の衝撃が原因です。
 頭蓋骨が軟らかい乳児・幼児の方が、大人に比べて起こりやすいとされています。
 成人でも、野球の硬球が直撃するような小範囲に限られた鈍的外力の加わり方で、頭蓋骨陥没骨折がみられます。

頭蓋骨陥没骨折の症状は?
痛みと脳の損傷
  イメージ画像 骨折部位に、打撲による疼痛、頭部軟部組織損傷(コブ・腫脹)がみられます。
 このほか、陥没骨折によって圧迫や損傷を受けた脳の部位に応じた症状が現れることがあります。現れやすい症状は、半身の麻痺(片麻痺)、半身の感覚障害、言語障害、痙攣発作(けいれんほっさ)などです。
頭蓋内圧亢進
   頭蓋骨陥没による圧迫のため、頭蓋骨の内側の圧が高まる頭蓋内圧亢進、激しい頭痛、嘔吐、意識障害などがみられることもあります。
 腫脹(コブ)のため、頭蓋骨の陥没を触れることはほとんどありません。
頭部外傷後の危険な症状
 
激しい頭痛
繰り返す嘔吐
(1回〜2回の嘔吐なら、その後元気であれば問題ない)
元気がなく、ウトウトしてしまう
(泣き疲れて寝てしまうような子供は、15分〜30分毎に起こして変事があれば問題ない)
手足の動きや話し方の異常
痙攣発作
(手足をガクガク動かす、手足をピーンと突っ張る、話しかけても反応がない)

頭蓋骨陥没骨折の診断は?
画像検査
  イメージ画像 頭蓋骨単純エックス線検査で診断することができます。
 頭蓋骨の陥没の状態と頭蓋内損傷の有無を診断するために、頭部CT検査が行われます。
 陥没部を手で触れると凹んで感じることがありますが、皮下血腫(コブ)も同様に中心部が軟らかいため、陥没骨折と間違えられる場合があります。

頭蓋骨陥没骨折の治療法は?
経過観察
  イメージ画像 陥没が軽度のものは、経過観察しますが、定期的な検査と専門医の診察が必要です。
手術
   内側に陥没した頭蓋骨が、脳に圧迫や損傷を与え障害を及ぼしている場合、陥没骨折整復術が行われます。
 手術の必要性は、陥没の程度に比例して、日本のガイドラインを手術適用の目安としています。
@ 1cm以上の陥没
A 前額部など美容上問題になる場合
B 硬膜の静脈・静脈洞を圧迫する場合
 開放性頭蓋骨骨折の場合、受傷後12時間〜24時間以内に整復手術を行わないと感染の恐れがあります。24時間以上経過した場合、まず陥没した骨片を除去して傷口を縫合し、傷が完全に治癒してから二次的に頭蓋骨形成術を行います。
脳挫傷の併発
   外からの圧力で脳に断裂、浮腫、小出血などが起きている場合、脳圧下降薬による頭蓋内圧降下療法、輸液などによる全身管理、気管挿管を用いた呼吸管理、低体温療法などで治療します。
 手術によって、脳の減圧を行うこともあります。
予後
   頭蓋骨陥没骨折の予後は、合併する頭蓋内損傷の程度によって決まります。

頭蓋骨陥没骨折かなと思ったら?
救急搬送
  イメージ画像 意識障害が強く、バイタルサインに異常がみられる場合は重症です。気道確保、人工呼吸などの救命処置を行い、病院に搬送します。
 バイタルサインとは生命の危険さを判断するために、意識、血圧、脈拍、呼吸、体温の状態を指標とします。意識状態が悪い、血圧が低下する、脈が乱れる、呼吸が速い、体温が低下する状態では、生命の危機が迫っていることを示します。
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