眼球破裂

眼球破裂ってどんな病気？

角膜や強膜の破裂

　眼球破裂は、眼球に強い鈍的、あるいは鋭的な外力が働いて、角膜や強膜が破裂した状態です。

眼球突出は？

　眼球突出（がんきゅうとっしゅつ）とは、眼球を囲む骨に囲まれた眼窩（がんか）の内容物が、さまざまな原因によって増加し、眼球が前方へ突出した状態をいいます。
　眼窩内の腫瘍、炎症・感染、血管の異常、出血、甲状腺機能亢進症によって起こり、眼球破裂とは関係ありません。

眼球の構造は？

角膜（かくまく）

　眼の前の方から順番に、まず角膜と呼ばれる透明な膜があります。
　角膜は外界と接しているため、外傷の影響を受けやすい部位です。

前房（せんぼう）

　角膜の奥には、前房（ぜんぼう）と呼ばれる房水（ぼうすい）という水のたまった部位があります。
　鈍的外傷が原因で起こる前房出血とは、この部位に起こる出血のことです。

虹彩（こうさい）

　前房の奥には、虹彩（こうさい）と呼ばれる、カメラに例えると絞りの役割を果たす構造があります。
　血管、色素が豊富で、鈍的外傷を受けた眼の炎症の主要部位になります。

水晶体（すいしょうたい）

　虹彩の奥には、水晶体（すいしょうたい）と呼ばれる、カメラに例えるとレンズの役割を果たす部位があります。
　水晶体はチン小帯（ちんしょうたい）と呼ばれる組織によって、支えられています。

硝子体（しょうしたい）

　硝子体は、ゲル状の物質で満たされた透明な組織です。
　光が眼の中に入り、水晶体、硝子体を経て、カメラに例えるとフィルムの役割を果たす網膜（もうまく）に像を結びます。視神経（ししんけい）を介して大脳に伝わり、物が見えるようになります。

眼球破裂の原因は？

交通事故や喧嘩など

　交通外傷、労働災害、喧嘩、スポーツなど、外傷時に強い外力が眼球に加わった際に生じます。

意外と多い転倒

　飲酒時の転倒や、室内での転倒による眼球破裂は意外と多いものです。飲酒による酩酊状態で、転倒時に顔面から地面に激突してしまったり、室内では転倒時に家具に顔面をぶつけてしまったときに多く発生します。喧嘩でも直接殴られるよりも、殴られて転倒した時に負傷してしまうことが多いようです。
　夏季に限って言えば、ロケット花火による受傷も多くみられます。

眼球破裂の症状は？

受傷直後から現れる症状

　受傷直後から生じる視力の低下、充血、浮腫、眼痛などがあります。受傷した本人はあまりにも突然のことなので、何があったのかわからないこともあります。
　孔が開いた眼ではない、反対側の眼に影響が出ることもあるので、注意が必要です。

眼球破裂の診断は？

問診後にはさまざまな検査

　問診によって、受傷した際の状況や原因を詳しく説明してもらいます。
　視力検査、眼圧検査、細隙灯顕微鏡検査（さいげきとうけんびきょうけんさ）を行います。また、超音波検査、CT検査などで眼球破裂の場所、合併症の有無を確認し、手術方法を検討します。

眼球破裂の治療法は？

軽症の場合

　孔のあいた傷口が小さいようなら、治療用コンタクトレンズで治療可能な場合もあります。

手術療法

　抗生物質の点滴を行いながら、局所麻酔か全身麻酔を使用し、強膜、角膜縫合術を行います。
　外傷の程度、手術の難易度、感染の有無、視機能の有無などのよって、白内障手術（はくないしょうしゅじゅつ）、硝子体手術（しょうしたいしゅじゅつ）などを同時に行う場合と、時期をずらして行う場合とがあります。

予後は？

　穿孔創（せんこうそう）から、ぶどう膜、水晶体、硝子体などの眼内組織が脱出し、眼内炎や眼内の諸器官の障害が強い場合、失明することも多くなります。眼球の損傷の程度によって視力回復の可能性は変わりますが、良好な視力はあまり期待できません。
　できるだけ早く、傷口を閉じて感染予防に注意し、同時に外傷性白内障、硝子体出血、網膜剥離を合併する場合は、それぞれに対する手術も加えて行わなければなりません。時期を逃すと、視力の回復は望めなくなってしまいます。
　場合によっては眼球をすべて摘出しなければならないこともあります。

眼球破裂かなと思ったら？

救急車の要請を

　眼球破裂は緊急手術の対象になります。眼球内容が脱出した状態を早急に修復しなければならないので、すぐに救急車を呼びましょう。