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うつ病の治療法


うつ病の検査は?

血液検査やCTなど

 

イメージ画像 長期間うつ症状が続く患者さんが心療内科や精神科を受診したとき、医師による問診と共に、血液検査・CTなどによる画像診断検査・その他さまざまな検査が行われます。この理由は、うつ症状がホルモンの異常や脳内疾患などに伴うものなのか、『うつ病』による症状なのかを正しく見極めるためです。
 多くはうつ病以外の身体病を除外するためのものですが、検査の結果、うつ病と診断された場合は、薬の副作用などをチェックする検査が加わることもあります。


うつ病の治療法は?

さまざまな治療法があります

 

イメージ画像 うつ病は休養・薬物療法・精神療法・環境調整など、総合的に組み合わせて治療が行われます。
 まず大切なのはゆっくりと休養することですが、軽症ないし中程度のうつ病の場合であれば、休養+薬物療法で十分に症状が改善します。
 重症の場合は『電気けいれん療法(ECT)』が行われることがあり、『精神療法(認知療法)』は多くの場合症状が改善した段階で再発予防のために行われます。


うつ病の薬物療法は?

薬物療法

 

イメージ画像 うつ病の治療は、抗うつ薬による薬物療法を中心に行われます。
 抗うつ薬はうつ状態やうつ病に効果のある薬です。脳内のセロトニンとノルアドレナリンという物質の働きが低下していると考えられており、抗うつ薬には、セロトニンとノルアドレナリンのどちらか、あるいは両方の働きを回復させる働きがあります。
 従来の抗うつ薬は、『三環系抗うつ薬』、『四環系抗うつ薬』と呼ばれる薬剤が用いられてきましたが、現在では同様の効果が得られ、しかも副作用の少ない『SSRI』や『SNRI』が主流になりつつあります。
 しかし、重症の患者さんの場合は、従来からの『三環系抗うつ薬』や『抗不安薬』が併用されることもあります。

 

三環系抗うつ薬

   

 第一世代の抗うつ薬と言われています。
 薬剤の化学構造式に化学環(電子が環状に結合しているもの)が3個含まれているところから三環系と名付けられています。
 塩酸イミプラミン製剤(トフラニール、クリテミンなど)、塩酸クロミプラミン製剤(アナフラニール)、など色々な種類があり、いずれもうつ症状によく効果がありますが、頻脈、口渇、肝障害、その他多くの副作用を伴うのが難点とされています。

 

四環系抗うつ薬

   

 第二世代の抗うつ薬と言われています。
 薬剤の化学構造式に化学環(電子が環状に結合しているもの)が4個含まれているところから四環系と名付けられています。
 塩酸マプロチリン製剤(ルジオミール、クロンモリンなど)、塩酸ミアンセリン製剤(テトラミド)、など数種類があります。三環系抗うつ薬に比べ、作用はやや劣りますが、抗コリン作用などによる副作用が軽減されています。効果の発現は早いほうです。

 

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)

   

 第三世代の抗うつ薬と言われています。世界的に良く使われている薬です。
 うつ病の発病原因と考えられているセロトニン(神経伝達物質)の受容体への再取り込みを阻止して、うつ状態を改善させる作用を持っています。
 通常、服用後2〜4週間あたりで効果が得られますが、減量したり中止した場合は再発しやすいため、最低6か月から1年間服用を続ける必要があります。
 服用の初期に下痢や悪心(吐き気)などの消化器症状が出ることがありますこの理由は、この薬剤が消化管の近くにあるセロトニン受容体に作用するためです。また、まれに睡眠障害(不眠)を伴うことがあります。いずれも一過性の副作用ですが、防止のために少量の吐き気止め薬(制酸剤・制吐剤)や抗不安薬などが併用されることがあります。

 

SNRI(選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)

   

 第四世代の抗うつ薬と言われています。
 セロトニンとノルアドレナリンの2つの物質に作用する薬剤です。うつ病に対する効果はSSRIとほぼ同程度とされています。
 副作用に関しては、SSRIと同様です。
 なお、SSRIやSNRIだけで不安症状が軽減しないケースでは鎮静剤や抗不安薬、また不眠症状の強い場合は睡眠薬などが処方されることがあります。

 

抗不安薬

   

 穏和精神安定薬(マイナー・トランキライザー)とも呼ばれる心身のくつろぎを促進する薬剤です。
 一般的に持続時間の短い不安・緊張に効果があります。強力精神安定剤と違い、意識や行動をコントロールしている大脳や脳幹には作用しないので、正常な意識や行動を乱すことはありません。
 ベンゾジアゼピン系製剤、チエノジアゼピン系製剤、ヒドロキシジン系製剤があり、主に使用されるのがベンゾジアゼピン系製剤です。
 長期間の使用による薬物依存薬物依存症がありますので、使用には医師の指示を正しく守る事が大切です。

 

催眠鎮静剤

   

 眠りに導き、不眠症を改善する薬が睡眠剤で、たいていの場合、興奮を鎮める鎮静剤の効果も持っているので、催眠鎮静剤と呼ばれています。
 バルビツール酸系睡眠鎮静剤は、大脳皮質、脳幹などの中枢神経系全体の働きを抑えて眠りに導く薬です。睡眠効果は協力ですが、呼吸機能を低下させる副作用があります。また、長期間の使用を続けると、効果の低下、使用中止による禁断症状などが起こり、薬をやめられなくなってしまうので、医師の指示を守る事が大切です。
 非バルビツール酸系睡眠鎮静剤は、眠りに導く作用は弱いのですが、薬物依存薬物依存症に陥る危険性が少ない薬です。中でもベンゾジアゼピン系睡眠鎮静剤は自然な眠りに導くので、使用される事が多い薬です。

うつ病の電気けいれん療法は?

重症の時の治療法

 

 頭部に少量の電流を流し、けいれんを引き起こすことにより、うつ病を改善する治療法で、放置すれば自殺する危険のある患者さんや、薬物療法だけでは改善効果が得られない重症患者さんに適応されています。
 事前に血圧、脈拍、心電図、脳波などに異常のないことが確認したあと、麻酔下で数秒間両側のこめかみ辺りに通電します。けいれん発作が起こったあとマスクから酸素が投与され、呼吸が回復することが確かめられれば1回の治療は終了します。治療回数は最初は週に2〜3回、あとは月に1回程度の間隔で合計6〜10回ほど行われます。
 人工的にけいれん発作を誘発させる治療法なので、この方法が実施される患者さんには、血液検査、胸部X線検査、頭部CT検査、脳波検査など安全性を確認するため慎重な検査が行われることになります。
 この治療では、頭痛や一時的な記憶障害を伴いますが、通常治療終了後1か月ほどで元に戻ります。
 近年は麻酔科医の監視の元に、静脈麻酔と筋弛緩薬を用い、呼吸管理下で行われる無けいれん電気療法がより安全で主流になりつつあります。


うつ病の高照度光療法は?

季節性うつ病に

 

 うつ病患者さんの中には、秋から冬にかけてうつ状態に陥りやすい『季節性うつ病』と呼ばれるタイプがあります。なお、このタイプの患者さんでは、一般のうつ病患者さんとは異なって、過眠(眠りすぎ=夜間だけでなく昼間もウトウトする)傾向や、食欲が亢進して体重が増加することが指摘されています。このような患者さんに対する治療法として有効とされています。
 通常は2,500ルクス〜3,000ルクス(最近では10,000ルクスもある)の人工光を、毎日早朝または夕方に2時間(10,000ルクスの場合は30分)程度照射します。これを数日間続けるだけで半数以上の患者さんの症状が軽くなることが報告されています。
 なぜ、光療法が効くのかに関しては、『セロトニン仮説』が関わってきます。季節性うつ病の患者さんでは、セロトニンの欠乏による受容体の感受性が亢進して、うつ症状をきたすと考えられます。そこで、この光療法は脳内のセロトニン量を増やすことにより受容体の感受性を低下させて、うつ症状の発現を抑えようというものです。


うつ病のその他の治療法は?

断眠療法や磁気刺激療法

 

 最近では、うつ病患者さんにもっとも多い悩みである不眠を逆手にとり、真夜中を過ぎてから強制的に眠らせない『断眠療法(および睡眠操作による治療法)』や、脳内の神経細胞に対し一定の磁気を与えて刺激する『磁気刺激療法』などの試みも行われています。
 いずれの治療法も、どこの施設でも治療が受けられるものではありませんが、治療に制約の多い電気けいれん療法に替わりうる可能性を持つ治療法として注目されています。

私のサイトの評判では・・・

 

 最近では磁気刺激療法によってうつ病が軽快したということを耳にすることが多いようです。


薬物療法での抗うつ剤の飲み方は?

効果があらわれるまでに時間がかかります

 

イメージ画像 抗うつ薬は、効果があらわれるまでには、2週間〜4週間かかる場合が多いです。また、抗うつ薬の副作用で一時的にうつ状態が悪化することもあります。
 効果があらわれないからといって、あせる必要はありません。

少量から始め、少しずつ増やしていきます

 

 抗うつ薬は、基本的に少量から始めて、徐々に増やしていきます。これは、患者さんに必要な量を調整するために必要なことで、副作用を避けることにもつながります。
 途中で薬の量が増えていくのは、症状が悪化したためではないかと不安になる必要はありません。

症状が良くなっても、服用は続けましょう

 

 うつ病は再発・慢性化しやすいため、症状が良くなっても、しばらくは薬を飲みつづけることが重要です。抗うつ薬には依存性や習慣性はないので、安心して服用してください。

副作用が出たら、相談しましょう

 

 抗うつ薬は飲み始めに、吐き気やめまいなどの副作用があらわれる場合があります。しかし、しばらく我慢して飲んでいると、自然になくなっていきます。そのため、薬を勝手にやめないで、副作用があらわれたら医師に相談しましょう。


うつ病の日常管理と注意事項は?

地道に治療を続けていくこと

 

イメージ画像 うつ病の治療で最も重要なことは、主治医が治療終結と判断するまでの間、絶対に抗うつ薬の服用を勝手に中断しないことです。
 抗うつ薬によるうつ病治療は、よく季節の『三寒四温』に例えられるように、症状の一進一退を繰り返しながら回復していきます。自分だけの判断から服用を中止したとき、主治医には患者さんがどの段階にあるのかがわからなくなってしまいます。また、一時的な治療の中断が病状の悪化や再発につながる可能性もあります。

十分に休息できる環境を作る

 

 うつ病患者さんを支えてあげる中心は家族です。
 介護者に望まれることは「本人のこころの負担をかけないこと」です。患者さんに対し『腫れもの』に触るような態度や、『過剰な気配り』は禁物です。あくまでも他の家族と同様の態度で接してあげることが大切です。
 患者さんと家族では気晴らしにズレのあることも理解しましょう。気晴らしのためといって、家族の判断だけであちこちに連れ出すことも避けてください。

『つらさ』に対する理解を持つこと

 

 うつ病患者さんの多くは真面目な性格で責任感が強い傾向があります。このため、仕事を休んで家族に迷惑をかけていることに、実は人一倍自責の念を感じています。一見、体に異常のないところから家でゴロゴロしていると、周りの人からは『ズル休み』や『怠け病』に見えます。しかし、それは本人の怠け心からではなくて、苦しんだあげくの病状なのです。
 このような、うつ病固有の病状をよく理解してあげてください。とくに『がんばろう』、『しっかりしよう』などと言う励ましは、かえって病状を悪化させることもあるため禁句です。

自殺の兆候を感じたら、すぐに主治医に相談しましょう

 

 うつ病患者さんの場合、もっとも注意を要することは『自殺企図』です。病気の再発などで「自分の病気は一生治らないのではないか」と、そんな自分のふがいなさに悲観して自殺の衝動に走る患者さんは少なくありません。
 異常を感じたときは、ただちに主治医に連絡しましょう。入院治療に切り換わることがあります。

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