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筋ジストロフィー


筋ジストロフィーってどんな病気?

筋肉病

 

イメージ画像 筋ジストロフィーの定義は、遺伝性で進行性の筋力低下を示すミオパチー(筋肉病)です。
 筋ジストロフィーにはさまざまな疾患が含まれ、最近では遺伝子異常が明らかにされ、研究が急速に進歩している分野です。遺伝形式によって、いくつかに分類されます。

病型

 

 性染色体劣性遺伝病(せいせんしょくたいれっせいいでんびょう)のデュシェンヌ型は、小児期に発症し、20歳代で死亡してしまう悲惨な疾患として有名です。一般的に筋ジストロフィーといえば、デュシェンヌ型を指します。ふくらはぎが異常に太くなりますが、力は弱いことから、仮性肥大型とも呼ばれています。
 デュシェンヌ型は男性にのみかかる疾患ですが、常染色体性疾患(じょうせんしょくたいせいしっかん)である肢帯型(したいがた)、筋強直型(きんきょうちょくがた)は両性に発症します。
 筋強直性ジストロフィーは、筋ジストロフィーに位置づけられていますが、内分泌異常、心伝導障害、白内障などをともなう多臓器疾患です。

病型 発症年齢 性別 障害分布 特徴
デュシェンヌ型 5歳以下 体幹 仮性肥大
ベッカー型 5歳〜25歳 体幹 仮性肥大
肢帯型 5歳〜25歳 両性 体幹 30歳以下で発症
先天性(福山型) 生下時 両性 体幹 知能低下
顔面肩甲上腕型   両性 顔面肩甲上腕  
緊張型 30歳頃 両性 末梢 ミオトニー

筋ジストロフィーの原因は?

遺伝子異常の発見

 

イメージ画像 1986年、デュシェンヌ型の遺伝子異常が見付かり、この遺伝子が作るジストロフィンと呼ばれる蛋白質も明らかにされました。
 この蛋白質は、正常では筋肉細胞の膜の内側に存在しています。
 さらなる研究によって、ジストロフィンと関連している膜蛋白質がたくさん見付かり、それらのうちのいくつかが、蛋白質の異常や欠損によって筋細胞中のさまざまな筋ジストロフィーが発症することがわかりました。
 他の場所にある蛋白質の異常でも、筋ジストロフィーを発症することもわかってきました。

デュシェンヌ型とベッカー型

 

 デュシェンヌ型と良性型のベッカー型とでは、同じ遺伝子の異常で発生します。
 ベッカー型では、遺伝子の障害の性質が違うため、軽症となります。

顔面肩甲上腕型

 

 遺伝子の異常は、筋強直型を除けば、遺伝子の一部が欠ける欠失、遺伝子が余分にある重複、一部が置き換えられるなどの異常がみられます。
 顔面肩甲上腕型(がんめんけんこうじょうわんがた)は、違うメカニズムで発症すると考えられています。

肢帯型

 

 肢帯型は、常染色体劣性遺伝疾患(じょうせんしょくたいれっせいいでんしっかん)と考えられてきましたが、常染色体優性型(じょうせんしょくたいゆうせいがた)も発見されました。
 近年では、先天型の遺伝子異常の研究がさかんに行われています。

筋強直性ジストロフィー

 

 第19染色体のMPTK遺伝子の中で、3つの核酸(CTG)の繰り返しが異常に延長して起こる病気です。動物実験でこの遺伝子に異常を起こしたマウスでは、軽い異常しかみられません。MPTK遺伝子周囲の遺伝子のスプライシング異常を引き起こすことにより発症するのではないかと考えられています。
 常染色体優性遺伝疾患(じょうせんしょくたいゆうせいいでんしっかん)なので、男女共に発病します。通常は30歳くらいで発病しますが、小児期や生後すぐに発病することもあります。
 とくに生後すぐに発病するタイプは先天型と呼ばれ、生後まもなく人工呼吸器の装着を必要とすることもある重症な病気です。


筋ジストロフィーの症状は?

病型ごとに違う

 

イメージ画像 症状は病型ごとに異なります。共通の症状は、進行性の筋力低下です。
 病型ごとに障害される筋群が異なります。

筋強直性ジストロフィー

 

 進行性の筋力低下とともに、運動したあとに自分の意思で筋肉が弛緩(しかん)できないミオトニー症状があらわれます。熱いヤカンの取っ手を掴んで熱いと感じても、手を放すことができないといったような症状です。
 筋力低下は、一般の筋ジストロフィーが体幹筋、肩・腰周辺筋に障害があらわれるのに対して、筋強直性ジストロフィーでは手足の先端にあらわれます。


筋ジストロフィーの治療法は?

再生治療に期待

 

イメージ画像 根本的治療法は、遺伝子治療、幹細胞(かんさいぼう)を使う再生治療になりますが、まだ実用化されていません。
 デュシェンヌ型では、副腎皮質ステロイド薬(プレドニゾロン)が有効です。投与量に関しては、専門医と相談します。
 リハビリテーションも有効な治療法です。

注意すべき合併症

 

 合併症としては、心不全呼吸不全があります。
 とくに呼吸不全は頻度が多く、デュシェンヌ型では約80%の患者さんに人工呼吸器治療が必要となります。
 左心不全(さしんふぜん)の治療も進歩してきたので、専門医を定期的に受診し、全身状態の検査を受け、早めの治療を開始するように心がけましょう。

筋強直性ジストロフィーの場合

 

 白内障を合併している患者さんが90%以上になります。眼科的手術によって治療を行います。
 糖尿病の合併が多いのも特徴です。重症化はしないものの、治療に対して抵抗性があるという特徴を持っています。
 また、心伝導障害のために心臓ペースメーカーの装着が必要になることも多々あります。

子供の場合

 

 子供の場合は、教育の面での問題もあるため、専門医の診察を受けるようにしましょう。

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