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 潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)の概要は?
おもな症状
  下痢をともなう血便
粘血便
腹痛
食欲不振
発熱
体重減少
似ている病気
  細菌性赤痢(さいきんせいせきり)
アメーバ赤痢(あめーばせきり)
日本住血吸虫症(にほんじゅうけつきゅうちゅうしょう)
大腸結核(だいちょうけっかく)
感染性大腸炎(かんせんせいだいちょうえん)
放射線照射性大腸炎(ほうしゃせんしょうしゃせいだいちょうえん)
虚血性大腸炎(きょけつせいだいちょうえん)
クローン病
起こりやすい合併症
  肝障害
皮膚障害
関節炎
大出血
中毒性巨大結腸
大腸穿孔(だいちょうせんこう)

潰瘍性大腸炎ってどんな病気?
代表的な症状
  イメージ画像 大腸粘膜が炎症を起してただれてしまい、びらんや潰瘍を形成します。代表的な症状は、粘血便(ねんけつべん)、下痢、腹痛などです。
 20歳代〜30歳代の若年層に多く発症しますが、10歳代の小児にも発症します。50歳代〜60歳代の人にも発症します。
 一度、良くなったように感じても、数ヵ月後〜数年後に悪化することがあります。
もともとは欧米人に多い病気
   もともと潰瘍性大腸炎は、欧米人に多く、日本人に少ない病気とされていました。しかし最近では、日本人にも急速に患者さんが増えています。
 厚生労働省の登録患者数は、1年で5000人ずつ増加し、2002年では約7万7000人になりました。
 ライフスタイルの欧米化に関係していると考えられています。
妊娠、出産、就職
   潰瘍性大腸炎は緩解と再燃を繰り返す慢性疾患のため、長期間の医療管理が必要となります。近年では、治療法の進歩により病状をコントロールし、通常の社会生活を送ることが可能となっています。生命予後も一般の人と変わりません。
 妊娠、出産にも、緩解期であれば健康な人と変わらないとされています。サラゾピリン、ペンタサ、プレドニゾロンの投与は妊娠や出産には影響がないとされていますが、事前に主治医と相談しておくのが良いでしょう。

潰瘍性大腸炎の原因は?
大腸粘膜に対する免疫反応
  イメージ画像 潰瘍性大腸炎の原因は、大腸粘膜に対する異常な免疫反応です。つまり、体内に異常な抗体ができ、これが自分の大腸粘膜を攻撃することが原因とされています。
 この他にも、遺伝的素因、食生活、腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)の変化などが複雑に絡み合い、すべての原因が明らかになったわけではありません。
ストレスが誘因する
   肉体的ストレス、精神的ストレスで症状が悪化することがあります。ストレスが原因ではなく、潰瘍性大腸炎の症状を引き起こす誘因と考えられています。

潰瘍性大腸炎の症状は?
おもな症状
   血便、粘血便、下痢、腹痛が代表的な症状です。ひどくなると、体重減少、貧血、発熱があらわれます。
再燃緩解型や慢性持続型
   治療によって症状が改善されても、数ヵ月後〜数年後に再び悪化し、それを繰り返す場合があります。これを再燃緩解型(さいねんかんかいがた)と呼びます。
 また、症状がダラダラと長く続く、慢性持続型などのタイプがあります。

潰瘍性大腸炎の診断は?
大腸内視鏡検査
  イメージ画像 潰瘍性大腸炎の診断のためには、大腸内視鏡検査が必要になります。
 炎症の特徴が、びまん性、連続性と表現されるように、大腸粘膜の全体にわたる炎症が直腸から連続してみられます。
 炎症が直腸だけに限られている直腸炎型、直腸から大腸の左半分の横行結腸の中央までに広がっている左側大腸炎型、大腸全体に炎症のある全大腸炎型に分類されます。
注腸造影検査など
   注腸造影検査でも、大腸の炎症や変形の広がりを診断することができます。
 血液検査では、炎症反応の程度を検査したり、貧血や栄養不良が起きていないかなどを調べることができます。

潰瘍性大腸炎の治療法は?
軽症の場合
  イメージ画像 多くの患者さんの場合、適切な治療により通常の社会生活を送ることが可能です。治療法は重症度によって変化します。
 比較的軽症の場合、5-アミノサリチル酸製剤(サラゾピリン、ペンタサ)の内服、ステロイド薬の内服を行います。さらにこれらの薬剤の坐薬、注腸製剤を肛門から入れて使用する場合もあります。
重症の場合
  イメージ画像 症状が重症の場合では、入院して治療を行います。
 5-アミノサリチル酸製剤(サラゾピリン、ペンタサ)の内服に加えて、ステロイド薬を静脈内投与します。腸管を安静にするため絶食し、中心静脈栄養が必要になります。
 炎症の原因となる白血球を血液から取り除く、白血球除去療法もあります。
 症状によっては、免疫抑制薬を使用することもあります。
白血球除去療法
   近年、注目されている治療法に白血球除去療法があります。血液をフィルターに通し、炎症の原因となる白血球を取り除いてから、体内に戻す治療法です。
 通常では、1回1時間の治療を1週間に1回、これを5回連続で行います。
 重症でステロイド治療で効果が得られない場合などに適用されます。副作用がほとんどないこともあり、2000年から保健適用され、広く行われるようになっています。
手術
  イメージ画像 治療をしても症状が改善されず、激しい症状が続く場合、繰り返し悪化して社会生活に支障が出るような場合には、大腸を摘出する手術が必要になります。
 潰瘍性大腸炎を発症して10年以上経過すると、大腸ガンが発生する危険性が高くなります。大腸ガンが発見されば場合も、大腸全摘手術が必要になります。

潰瘍性大腸炎かなと思ったら?
治療を続けること
   良くなったり(緩解)、悪くなったり(再燃)を繰り返すことが多いため、緩解期になっても、治療を中断しないことが大切です。
 緩解期には、厳しい食事制限は必要ありません。症状がある時は、高脂肪食、繊維質の多い食事、アルコール、香辛料を控えるようにします。
ストレスから身を守る
  イメージ画像 肉体的ストレス、精神的ストレスをきっかけに悪化することが多いため、ストレスを受けないようにすることも重要となります。
公的補助が受けられます
   潰瘍性大腸炎は厚生労働省の特定疾患に指定されているため、申請を行えば、医療費の補助を受けることができます。
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