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 メニエール病

メニエール病の概要は?
おもな症状
  繰り返すめまい
難聴
耳鳴り
めまいが激しい時には悪心(おしん)
嘔吐
冷や汗
動悸
症状が似ている病気
  めまいを起こす、その他のさまざまな病気
メニエール病の呼び名
   かつては、メニエール症候群、またはメニエル症候群と呼ばれていました。現在では、メニエール病という呼び名が一般的です。
 1861年にフランスの耳鼻科医メニエール氏が報告。

メニエール病ってどんな病気?
こんな病気です
  イメージ画像 めまいと言えば、メニエール病と言われるほどに有名な病気ですが、実際にはそれほど多い病気ではありません。
 メニエール病は内耳(聴覚と平衡感覚のセンサー)の病気で、繰り返すめまいに、難聴や耳鳴りをともないます。繰り返す間隔は人によって違い、数日の場合もあれば、数週間、数ヶ月、あるいは1年に1回など、さまざまです。
 一般的に、メニエール病は片側の内耳の障害が原因ですが、15%〜30%は両方とも障害されることもあります。

メニエール病の原因は?
どうして病気が起こるのか
  イメージ画像 内耳を満たしている内リンパ液が過剰になると、内リンパ水腫になりますが、この状態によってメニエール病が起こると考えられています。
 しかし、リンパ水腫がなぜ反復して起こるのかについては、現在のところわかっていません。リンパ水腫自体の原因も不明です。
 文明社会に生活する人に多く、未開発の国の人に少ないことから、ストレスによる自律神経失調が発症に関係しているとも考えられています。他にも、内リンパの吸収障害説、過剰産生説、内耳の循環障害説、ウイルス感染説、ホルモン異常説などがあります。ウイルス感染説ではヘルペスウイルスが関係していると考えられています。

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耳石器・半規管とは?
平衡感覚を感知する器官
  イメージ画像 耳には音を聞くはたらきのほかに、体のバランスをとる「平衡感覚」の役割があります。
 耳の平衡感覚を感知する器官として、耳石器(じせきき)、半規管(はんきかん)があります。
耳石器
   耳石器は2つあり、卵形嚢(らんけいのう)は水平、球形嚢(きゅうけいのう)は垂直に位置しており、この2つの袋の中に、リンパ液と炭酸カルシウムでできている耳石という小さな石が入っています。
 耳石器の内部は薄い膜で覆われていて、その奥に有毛細胞という細かい毛の生えた感覚細胞があります。耳石がリンパ液の中を動くと、有毛細胞の毛が刺激されて位置を感知することができます。卵形嚢は水平方向の動き、球形嚢は垂直方向の動きを感知します。
半規管
   半規管は、前半規管、後半規管、外側半規管の3つからなり、まとめて三半規管(さんはんきかん)と呼ばれます。
 半規管は3つの中空のリングから構成されており、内部は内リンパ液で満たされています。前庭の近くに膨大部(ぼうだいぶ)と呼ばれるふくらみがあり、そこには感覚毛を持った受容細胞があります。感覚毛の上にはクプラと呼ばれるゼラチン状のものが載っています。内リンパ液が動くことで、クプラが押され、感覚毛が曲がり、受容細胞が興奮します。頭部が回転すると、内リンパ液はしばらく静止したままなので、感覚毛が逆に曲がります。この情報と、視覚情報から、体が回転したと認識します。
 三半規管はそれぞれ別の面にあるため、あらゆる回転方向を認識することができます。これらの半規管はそれぞれ直角に交わっていて、X軸、Y軸、Z軸のように3次元空間の回転運動の位置感覚を感知します。

メニエール病の症状は?
どんなあらわれ方をするか
  イメージ画像 何の誘引もなく、突然、回転性のめまいが起こり、めまいと同時、あるいはめまいの少し前から、片耳に耳鳴りや難聴が起こります。「ブーン」というような低音の耳鳴りや低音域の難聴が特徴です。
 回転性の激しいめまいでは、じっとしていても自分の体やまわりの景色がグルグルと回転する感覚をともないます。軽い場合は回転感ではなくふらつきとして自覚します。
 めまいは、普通は30分〜数時間続き、めまいの軽快とともに、耳鳴りや難聴も軽くなったり、消失したりします。しかし、めまいを何回も繰り返しているうちに、めまいが治まっても、耳鳴りや難聴が軽快しないようになります。
 めまいが激しい時には、悪心、嘔吐、冷汗、動悸などが起こり、かえってこれらの症状の方が苦しいこともしばしばあります。

伝音難聴と感音難聴とは?
伝音難聴と感音難聴
   音は外耳から鼓膜に達して、鼓膜の振動は3つの耳小骨(じしょうこつ)をへて内耳に伝えられます。ここまでの間に、なんらかの障害が生じていると、音がうまく内耳に伝わらなくなります。これを「伝音難聴」と呼びます。
 内耳に伝えられた音の振動は、内耳のコルチ器という部分にある有毛細胞を振動させ、細胞内の電気的信号に変換されます。電気的信号に変換され、聞こえの神経に伝達し、さらに脳へと送られて音を感じることができます。内耳以降のレベルに障害が起こって生じる難聴を「感音障害」と呼びます。
気導聴力と骨導聴力
   難聴が伝音難聴か感音難聴かは、聴力検査で診断できます。耳にあてた受話器から音を聞いた時の聴力を「気導聴力」と呼びます。
 耳の後に振動子(骨導受話器)をあて、直接頭蓋骨を振動させて測る聴力を「骨導聴力」といいます。
 骨導聴力が良いのに気導聴力が悪い場合、外耳〜内耳にかけて異常があると考えられ、伝音難聴と診断されます。骨導聴力と気導聴力が同程度に悪ければ、内耳以降に異常があると考えられ、感音難聴と診断されます。
伝音難聴の原因
   伝音難聴の原因は、耳垢(じこう)の詰まり、鼓膜の穿孔(穿孔)、中耳炎滲出性中耳炎急性中耳炎、慢性中耳炎、中耳真珠腫)、耳管狭窄症(じかんきょうさくしょう)、耳小骨連鎖離断(じしょうこつれんさりだん)、耳小骨奇形(じしょうこつきけい)、耳硬化症(じこうかしょう)などがあります。
 基本的には、処置や手術で改善可能な難聴です。
感音難聴の原因
   感音難聴の原因は、内耳性難聴と、それ以降に原因のある後迷路性難聴(こうめいろせいなんちょう)とに分類されます。
 内耳性難聴には、先天性難聴騒音性難聴、音響外傷、突発性難聴メニエール病、聴器毒性薬物中毒、老人性難聴、ウイルス感染症による難聴などがあります。
 後迷路性難聴には、聴神経腫瘍(ちょうしんけいしゅよう)、脳血管障害による難聴、脳炎などによる難聴、心因性難聴など、多彩な原因があります。
補聴器の使用
   難聴で補聴器を用いる場合は、伝音難聴では非常に有効です。しかし、感音難聴では言葉のわかりやすさに一定の限界があります。

メニエール病の診断は?
何科に行けばいいのか
  イメージ画像 専門の診療科は耳鼻咽喉科になります。重症度によっては、入院が必要な場合もあります。
 聴力検査を行い、ときにMRI検査も実施して、ほかの原因がないか調べます。

メニエール病の治療法は?
病気を治す
  イメージ画像 メニエール病は完治させることが困難な場合も少なくありません。薬物療法によって、めまい発作の回数を減らしたり、軽くしたりすることはできますが、難聴の進行は薬で阻止できないことがあります。
 食事療法や、運動療法などによる生活習慣改善による総合的な継続的治療で病状の安定化や進行抑制が可能です。病気の進行度などにより治癒の可能性があります。
 めまいがあまりにも頻繁に起こって仕事ができないような時や、難聴の進行が早い時には、手術が行われることもあります。

メニエール病の対処法は?
休暇と服薬、そして診断
  イメージ画像 メニエール病とはっきりわかっていれば、あわてる必要はありません。
 専門医でないと、診断が正確に行われないことがあります。めまい、耳鳴り、難聴の症状が反復していれば診断は比較的容易ですが、初回発作時の診断は必ずしも容易ではありません。
 初めてめまいに襲われると、パニックに陥ってしまうものですが、メニエール病で何回かめまい発作を経験した人は、めまいが起こっても慌てずに、もっとも楽な姿勢で休んだりしています。悪い耳を下に向けるとめまいがより強くなることもあります。
 いったん発症してしまったら寛解期もきちんと薬を飲み、両側化を防ぎましょう。
 ストレスが発症に関与していると考えられているので、ストレスを蓄積させないことも重要です。
 めまい発作はメニエール病とは限らず、他の生命に関わる病気かもしれませんので、至急、専門医に受診してください。

メニエール病の有名人?
意外と多いんです
  イメージ画像 最近では、タレントの加護亜依さんがメニエール病であると告白されています。
 また、ジャーナリストの鳥越俊太郎さん、歌手の久保田利伸さん、お笑いコンビ・ハイヒールのモモコさんがメニエール病を患っていることを公表しています。
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