 |
耐性の獲得 |
| |
黄色ブドウ球菌は、1940年代に量産化したペニシリンGが有効で、化膿傷や肺炎 などの治療に効果がありました。しかし、同じころにプラスミド依存性にペニシリナーゼを産生するペニシリン耐性株が出現し、ペニシリンの普及にともなって世界各地に広がりました。
これに対抗するためメチシリンが開発され、1960年代から欧米で使用されるようになりました。しかし間もなくメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が出現しました。ペニシリン耐性株と同じように世界各地に広がり、1970年代後半から海外の医療現場で大きな問題となってきました。
国内では1980年代の後半から、各地の医療施設でMRSAが問題となり始めました。当時の黄色ブドウ球菌は1割程度が耐性を持つと考えられていましたが、現在では、黄色ブドウ球菌の約6割がMRSAと判定されています。 |
 |
減らない院内感染 |
| |
最近ではMRSA感染症がマスコミなどで話題になることはまれになりましたが、医療現場でのMRSAによる院内感染症は減少していません。
2001年のMRSA感染症の報告件数は、1定点施設あたり約40件です。VRE感染症、PRSP感染症、薬剤耐性緑膿菌感染症などと比べると、格段に高いといえます。年間の報告総数は約18000件で、毎月平均1500件以上が報告されいます。2003年11月に施行された感染症法一部改正により、5類感染症の起因菌の中にMRSA株が指定され、定点施設においてMRSA感染症例が発生した場合には報告を求められるようになりました。
内科系より外科系の疾患のある患者さんで問題となる場合が多いです。骨折後の骨髄炎、開腹、開胸手術後の術後感染などでは治療困難な例も多いくあります。血液疾患、ガンなどの悪性消耗性疾患を持つ患者さんの場合、リスクが高くなります。
新生児や高齢者などもハイリスクグループとなります。新生児室などでMRSAが蔓延し問題となることもありますが、手袋の使用、手洗いなど、適切な対策でMRSAの感染は改善することができます。 |
 |
まとめると・・・ |
| |
つまりMRSAは、多くのペニシリン系やセフェム系薬に耐性を示す黄色ブドウ球菌株です。栄養の少ない乾燥した周囲環境でも長期間強い感染力を保つことができます。医療従事者の手指、医療器具を介して院内感染の原因となりやすいです。保菌部位からの内因性感染もあります。医療従事者、市中健常者の持続性鼻腔保菌も問題となります。
MRSAは、入院患者が感染するか、保菌する黄色ブドウ球菌の約60%を占めます。 |