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 腎臓結石

腎臓結石の概要は?
おもな症状
  無症状
腰背部の重苦しい感じや鈍痛
肉眼的血尿(目で見てわかるような血尿)
起こりやすい合併症
  細菌感染
急性腎盂腎炎
慢性腎盂腎炎
水腎症
腎膿瘍
敗血症

腎臓結石ってどんな病気?
腎杯結石と腎盂結石
  イメージ画像 結石が、腎杯・腎盂に存在する場合を腎臓結石といいます。
 腎杯に存在するものを腎杯結石、腎盂に存在するものを腎盂結石と分類することができます。
サンゴ状結石
   腎杯、腎盂にはまり込んだような形(鋳型)になっている大きな結石は、その形からサンゴ状結石といいます。

腎臓結石の症状は?
結石の場所と大きさにより症状が違う
   尿路結石の症状といえば、痛みと血尿が考えられます。ですが、結石のある部位や、結石の大きさなどによって症状は大きく異なります。
痛みがなく検査で見付かることが多い
  イメージ画像 腎盂結石の場合は、痛みはほとんどありません。腎盂から尿管へ移る部分を腎盂尿管移行部といいますが、急にはまり込んでいない限りは痛みはほとんどありません。
 サンゴ状結石でも、ほとんど痛みがないか、あったとしても腰背部(背骨の両側で肋骨の下の部分)に重苦しい感じがあったり、鈍い痛みがある程度です。
 胃腸の検査、人間ドックの超音波検査などによって偶然発見されることも少なくありません。
血尿のほとんど出ないことも
   肉眼的血尿(目で見てわかるような血尿)の場合もありますが、顕微鏡的血尿(検査をしなければわからない微量の血尿)のことも多いです。
腎杯結石では無症状のことも
   腎杯結石の場合には、顕微鏡的血尿や痛みもなく、まったくの無症状のこともあります。

腎臓結石の合併症は?
細菌に感染しやすい
  イメージ画像 結石は、もともとは体にとっては異物なので、細菌感染を起こしやすくなります。
 また、細菌の種類によっては、細菌感染自体が結石を作る原因になることもあります。
急性腎盂腎炎から慢性腎盂腎炎へ
   急性腎盂腎炎になると、背部の鈍痛と、38度〜40度の高熱に悩まされます。
 早めに抗生剤などの服用をはじめ治療をすれば、一時的には抑えることができますが、結石を除去しないかぎり、完全に治すことはまず不可能です。ほとんどの場合、慢性化してしまいます。
慢性腎盂腎炎
   慢性腎盂腎炎になると、急性期のようなはっきりとした症状は現れず、尿の中に白血球が出ている膿尿が続く程度です。
 膿尿が続いているため精密検査をしてみると、腎臓結石が見付かるということもあります。
結石が腎盂尿管移行部に移動
   結石が腎盂から、尿管への移行部(腎盂尿管移行部)に長い間はまり込んでしまうと、尿が流れなくなり、腎盂・腎杯が次第に広がってしまいます。
 このような状態を水腎症(すいじんしょう)と呼びます。腎臓の働きはだんだんと障害されていきます。
 この場合でも、症状はときどき背中が重苦しい感じがあるだけで、知らないうちに腎臓の機能がほとんどなくなってしまうことがよくあります。
合併症により命に危険も
   水腎症に細菌感染が合併すると、腎臓の化膿を起こして膿腎症(のうじんしょう)になり、腎臓の働きは一度にダメになってしまったり、敗血症を起こして生命の危険にさらされることもあります。

腎臓結石の治療法は?
小さければ自然に排出される
   5mmx5mmまでの結石であれば、とくに尿路に問題がない限り、半年以内にほとんど自然に尿と一緒に排出されます。一般的には、5mmx10mmまでの結石であれば、自然排出が可能とされています。
 治療法が進歩した現在でも、5mmx5mmまでの結石は、自然排出を待つのが良いでしょう。
水分を多く摂ること
  イメージ画像 自然排出を待つ場合には、水分摂取量を多くして、尿量を増やします。目安としては、1日2リットル以上が理想です。また、適度な運動をして結石排出を促進します。
 生活は通常通り行い、腎臓の働きに問題がなければ、食事もとくに制限はありません。
 痛みが起こった場合は、鎮痛剤を服用します。痛みは結石が下がってきている証拠でもあります。
大きな結石の場合は定期的に受診を
   5mmx5mm以上の結石の場合には、3ヶ月〜6ヶ月ごとに受診をして、水腎症などの合併症の有無をみながら、治療法を決めていきます。
薬で結石を溶かすことも可能
   尿酸や、シスチン結石の場合は、薬で結石を溶かすことが可能です。
 カルシウム結石など、その他の成分の結石の場合は、薬だけで完全に溶かすことはできません。
現在では開腹手術はほとんどしません
   十数年前までは、開腹手術がメインでしたが、現在では治療法が進歩し、開腹手術を行うことはほとんどなくなりました。
 内視鏡による尿路結石手術や、体外衝撃派結石破砕術などの治療法を行います。

腎臓結石かなと思ったら?
まずは泌尿器科へ
   まずは泌尿器科を受診し、詳しい検査を受けましょう。
 まずは、問診と尿検査を行います。
さまざまな検査を行います
  イメージ画像 おもな検査方法は、レントゲン検査です。腹部単純撮影で、結石の大きさ、位置がわかります。
 尿酸結石、シスチン結石などはレントゲンに写りにくいので、超音波検査を行います。同時に腎臓の腫れ具合を確かめることもできます。
 造影剤を注射して、静脈性腎盂造影により、腎臓の腫れ具合、尿路の状態、腎臓の働きの程度などを検査します。
 場合によっては、CT(コンピューター断層撮影)や、腎カメラ(腎臓の形と働きを同時に調べることができる)を行うこともあります。
 また、結石ができる原因を調べるために、血液や尿の中のカルシウム、リン、尿酸、マグネシウムなどを測定します。たくさんの結石があったり、再発を繰り返す場合には副甲状腺ホルモンも検査します。
検査結果から治療方法を選びます
   これらの検査結果により、結石の大きさ、位置、尿路の状態、水腎症の程度、尿路感染の有無、腎臓の働きなどを検討し、もっとも適している治療方法を選択します。

腎臓結石の予防法は?
再発が多い
  イメージ画像 再発することが非常に多いので、結石がなくなったからといって安心はできません。
 結石の分析をして原因を調べ、定期的に受診することが大切です。
食事、水分、運動
   結石の再発予防には、偏りのない食事、十分な水分の摂取、適度な運動が重要になります。

内視鏡操作による尿路結石除去術とは?
PNLとTUL
  イメージ画像 経皮的腎瘻(けいひてきじんろう)造設後に、経皮的に内視鏡、または腎盂鏡(じんうきょう)を挿入して、腎盂内の結石を観察しながら破砕する経皮的腎砕石術(PNL)と、尿道・尿管に内視鏡(尿管鏡)を挿入して尿管結石を破砕する経尿道的尿管砕石術(TUL)があります。
現在のPNLの役割
   PNLは、体外衝撃波砕石術(ESWL)に先駆けて施行されました。現在ではESWLの普及によって、PNLは限定された治療法になりました。
 しかし、ESWLにも限界があるため、大きな結石に関しては、依然としてPNLは有効です。
TUL
   中部尿管以下の結石で一般的に行われるのは、TULです。
 腰椎麻酔(ようついますい)、または硬膜外麻酔(こうまくがいますい)によって、両足を開いて軽く上に上げた砕石位と呼ばれる体位で行います。
TULの手順1
   膀胱鏡を挿入し、尿管口から尿管・腎盂までガイドワイヤーを挿入します。膀胱鏡を抜いてから、尿道から尿管鏡をガイドワイヤーに沿って尿管内に挿入します。熟練していれば、ガイドワイヤーは必ずしも必要ではありませんが、目安になるので安全な方法です。
 尿道口が狭い場合には、尿管バルーンダイレーターで拡張してから、尿管鏡を尿管内に挿入します。
TULの手順2
   通常は、尿管鏡は硬性尿管鏡を使用します。結石が衝撃などで腎盂内に戻ってしまった場合は、軟性尿管鏡を使用して砕石するか、尿管ステントを留置して、ESWLに切り替える必要があります。
 内視鏡下、およびX線透視下で、尿管鏡を進めて結石まで到達させます。結石を観察しながら、砕石装置で砕石します。
 砕石装置は4種類に大別できます。超音波、レーザー、小型のドリルのような圧搾空気電気衝撃、電気水圧衝撃の4種類です。
 排石可能な大きさになるまで砕石して、尿管ステントを留置して手術は終了となります。
PNLの手順1
   PNLは、硬膜外麻酔、または全身麻酔で、腹ばいの伏臥位(ふくがい)で行います。
 超音波ガイド下、およびX線透視下で腎杯を穿刺し、腎瘻を造設します。サンゴ状結石、大きな腎結石の場合は、腎瘻を造設するスペースがなく、困難な場合もあります。
 腎瘻が造設されたあとは、腎盂鏡が挿入できるまで腎瘻を拡張して腎盂鏡を挿入します。
PNLの手順2
   TULと同様、内視鏡観察下に、砕石装置で破砕します。
 大きな結石の場合は、結石を直接体外につまみ出すこともあります。
 砕石後は、腎瘻を留置して手術は終了となります。

体外衝撃波砕石術(ESWL)とは?
新しい医療機器の開発
  イメージ画像 ESWLは、上部尿路結石治療の中心を占めています。最近では、第3世代砕石装置が開発され、医療機器も進歩しています。
 衝撃波発生装置は大別すると、水中放電方式、電圧方式、電磁波変換方式があります。衝撃波の伝播方式には、患者さんを水中に入れる湿式と、水槽を使用しない乾式とがあります。
X線透視か超音波
   結石に照準を合わせる方法には、X線透視、または超音波を使用します。
 X線透視照準法は、カルシウムを含有した結石のX線非透過性結石に対しては、結石に簡単に照準を合わせることが可能です。しかし、尿酸結石、シスチン結石などのX線透過結石や、腸管ガスが多い場合には、照準を合わせることができません。
 超音波照準法は、X線被爆がないのが利点ですが、尿管結石の場合には照準を合わせにくい欠点があります。
1泊入院や日帰り手術も可能
   麻酔は、初期の頃は全身麻酔を行っていました。現在では、硬膜外麻酔、局所麻酔、ペンタゾシンなどの鎮痛薬を用いて治療できるようになりました。これにより、入院日数も短縮できました。
 一般的には、経過観察のために数日間の入院をしますが、1泊入院、日帰り手術も可能になりました。
ESWLの欠点
   破砕された結石の小片が尿管内に詰まる、ストーン・ストリート。血尿、腎周囲・腎被膜下血腫(じんひまくかけっしゅ)などがあります。このため、抗凝固薬投与時など、出血しやすい状態でのESWLは好ましくありません。
 結石の近くに腹部大動脈瘤、腎動脈瘤などの動脈瘤がある場合、症例によってはESWLを行えない場合もあります。
 腎臓の位置異常で骨盤内にある骨盤腎、小児では、あまり推奨されていない治療法です。
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