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腸管出血性大腸菌

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腸管出血性大腸菌ってどんな病気?

大腸菌の分類

 

イメージ画像 下痢の原因になる大腸菌は病原性の特徴から、腸管病原性大腸菌、腸管侵入性大腸菌、腸管出血性大腸菌、毒素原性大腸菌、腸管凝集接着性大腸菌などに分類できます。

有名なO157

 

 O157を始めとした、腸管出血性大腸菌はヒトに下痢を起こす大腸菌のひとつです。この大腸菌は、ヒトの腸内でベロ毒素という毒素を産生します。ベロ毒素は腸管上皮細胞を破壊したり、血液中に入りさまざまな症状を引き起こします。
 毒素を作る大腸菌のほとんどがO157ですが、この他にもO26、O111などがあります。
 日本国内では、1996年、大阪府堺市で学校給食が原因となって5000人を超す大規模な食中毒が発生しました。
 日本国内で監視が必要な3類感染症に指定され、医師による届け出が必要で、かつ学校伝染病にも指定されており、出席停止の措置がとられます。
 年間3000例〜4000例の届け出があります。集団発生は、保育園、高齢者介護施設などで続いています。

もっとも注意が必要な腸炎

   小児や高齢者では、腸炎の他にも、溶血性尿毒症症候群、脳症を合併します。最悪の場合、死に至ることもあります。
 腸炎の中では、もっとも注意が必要な疾患のひとつです。

腸管出血性大腸菌の原因は?

ウシから

 

イメージ画像 大腸菌はウシの大腸に生息しており、その腸の内容物に汚染された食べ物、水、手指を介して、口から感染します。代表的な食べ物としては、生または加熱不十分な牛肉、内臓、サラダなどがあります。
 この他にも、生焼けの挽き肉、殺菌処理されていない牛乳やチーズ、汚染された水・井戸水などを介して感染します。
身近な生き物図鑑:ウシ

接触感染も

 

 少ない細菌数で感染するため、ヒトからヒトへ接触感染します。
 1滴の下痢便からでも感染するので、便に触れないようにし、もし触れたら石鹸で十分に洗います。


腸管出血性大腸菌の症状は?

典型例

 

イメージ画像 典型的な症状は、平均3日〜4日の潜伏期間があります。
 潜伏期間後、水様性の下痢、激しい腹痛で発症します。1日間〜2日間は、便成分がほとんど含まれない血性下痢が現れます。血液そのもののような血便となるため、出血性大腸炎とも呼ばれます。
 38℃以上になる高熱は、あまり出ません。この他、吐き気、嘔吐などの症状がみられることもあります。
 順調に回復すれば7日〜10日で治癒します。
 下痢発症後1週間前後に溶血性尿毒症症候群、脳症などの重い合併症を起こすことがあります。大腸菌が作る毒素が、腎臓や脳へ伝わるためです。

尿毒症

 

 腸管外症状としては、腎障害を起こすことがあります。この場合、顔色不良、黄疸、出血斑、浮腫、血尿、尿量減少、頭痛、不眠などの症状が現れます。
 溶血性貧血、血小板減少、急性腎不全などを併発する溶血性尿毒症症候群が起こります。尿毒症の発症率は、小児と高齢者で高くなります。発症率は、5%〜10%とされています。
 2006年〜2007年の報告例によると、10歳未満で7.2%、全体では4.1%です。

生命の危険

 

 毎年、死者が出ている病気です。
 特に、小児や高齢者では、危険な合併症を起こす可能性が高くなるので、注意が必要です。

軽度の場合も

 

 腸管出血性大腸菌に感染すると、すべての症例で激しい血性下痢や、生命に関わるわけではありません。
 ほとんど症状のみられない無症候性、軽度の下痢で治まることもあります。


腸管出血性大腸菌の診断は?

迅速診断キット

 

イメージ画像 便から大腸菌を検出します。ベロ毒素を持っていることが確認されたら、腸管出血性大腸菌感染症と診断します。
 最終確認までは数日かかってしまうので、症状から腸管出血性大腸菌感染症が疑われた場合、便から直接、ベロ毒素やO157を検出する迅速診断キットを使って検査を行います。
 発症から時間が経過している場合、血中から大腸菌の抗体を検出する検査を行うこともあります。
 溶血性尿毒症症候群、脳症は、症状と血液や尿の検査などから診断を行います。

届出が必要

 

 診断が確定したら、医師は保健所に届け出を行います。


腸管出血性大腸菌の治療法は?

対症療法

 

イメージ画像 治療の基本は、安静を保ったうえでの、腸炎に対する対症療法です。症状、季節、年齢などを考慮して、治療を行います。
 脱水があれば、経口的、あるいは点滴で捕液をします。
 腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)を抑える下痢止めは、菌や毒素が身体から排泄されるのを遅くする可能性があるため、推奨されていません。
 尿毒症が起これば、人工透析が必要になります。

抗菌薬の使用

 

 抗菌薬の使用については、意見が分かれています。
 強力に大腸菌を殺菌すると、ベロ毒素の放出が促進される可能性があるためです。
 海外では使うべきではないとされています。
 日本国内では、発症から3日以内であれば、ホスホマイシン、ミノサイクリン、ニューキノロン系の抗菌薬の使用が推奨されています。


腸管出血性大腸菌の予防法は?

子供や高齢者は注意

 

イメージ画像 小児や高齢者は、生の牛肉、加熱不十分な牛肉、牛肉の内臓を食べるのは、避けることです。
 十分な手洗いを行うことも、予防には大切です。

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