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ライ症候群

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ライ症候群ってどんな病気?

小児の急性脳症

 

イメージ画像 小児にみられる急性脳症のひとつです。ウイルス感染が先行する場合と、薬剤との関連が指摘される場合があります。とくにインフルエンザと水痘に続発する傾向がありますが、はっきりとした原因はわかっていません。
 非常にまれではありますが、成人にも発症がみられます。
 1963年、オーストラリアのライらによって報告された病気です。急性脳症に、肝臓などへの脂肪の沈着をともなう病気です。「らい病」と呼ばれていたハンセン病とは、まったく異なる病気です。

アスピリン

 

 インフルエンザ水痘・みずぼうそうにかかった小児に、解熱薬として内服したアスピリン(アセチルサリチル酸)が誘因になると指摘されています。
 インフルエンザや水痘の解熱には、昔から解熱薬として使用されてきたアスピリンを使用しないように勧告されています。
 乳幼児に多くみられますが、アスピリンの使用を禁じる警告が出てからは、発病数はかなり減少しました。 現在は子供の解熱薬として、アセトアミノフェンが第一選択薬となっています。

肝臓の生検

 

 アスピリンの投与を受けていない小児でも、ライ症候群は認められます。
 急性脳症の症状以外に特徴的なのは、肝臓の機能異常です。
 針で肝臓の一部を採取して調べる生検をすると、顕微鏡で見ると、脂肪滴、脂肪変性が認められます。
 脂肪酸の代謝異常が、病態に関係していると考えられています。

ミトコンドリア

 

 ミトコンドリアの機能に異常がみられます。電子顕微鏡で見ると、ミトコンドリアが膨化(ぼうか)しています。


ライ症候群の原因は?

原因不明

 

イメージ画像 アスピリンの使用を中止してから発生は減少しましたが、原因不明です。
 ウイルスや薬物が誘因となって、全身のミトコンドリアが機能障害を起こし、脳浮腫、高アンモニア血症、低血糖、脂肪の沈着が起きると考えられています。


ライ症候群の症状は?

インフルエンザの回復期など

 

イメージ画像 風邪症状に引き続いて起こることが多いとされています。インフルエンザ、下痢の回復期に、急性脳症の症状が現れます。
 下痢、嘔吐に引き続き、痙攣(けいれん)、意識障害が急速に進行します。発熱はないか、あっても軽微です。

死亡することも

 

 重症例では、上肢を曲げ下肢を伸ばす除皮質(じょひしつ)、四肢を伸ばし反り返る除脳(じょのう)の姿勢をとります。
 数日で死亡することもある、重篤な病気です。
 治癒しても神経系の後遺症を残すことが多いため、予後は良好とは言えません。成人の場合は、2週間程度の治療で回復し、予後は良好です。


ライ症候群の診断は?

血液検査

 

イメージ画像 臨床症状に加えて、血液所見では肝機能の異常、アンモニアの上昇、低血糖、乳酸の上昇、低ケトン血症、凝固障害などが認められます。
 一部の先天代謝異常症など、類似した病気を除外することで診断します。

さまざまな検査を行う

 

 髄液(ずいえき)の検査では、細胞数の増加はありません。
 肝臓の生検では、脂肪滴を確認することが診断につながります。
 肝臓の所見は、発症して3日以内でないと認められないと言われています。
 頭部CT、MRIでは、著しい脳の腫れ・脳浮腫(のうふしゅ)が認められます。


ライ症候群の治療法は?

ライ症候群に対する治療法はない

 

イメージ画像 ライ症候群に対する特異的な治療法はありません。入院しながら、全身管理を行います。
 ブドウ糖液を点滴で投与しながら、急性脳症に対する脳浮腫対策が中心になります。輸液制限、マンニトール点滴を行います。抗けいれん薬も使用します。
 高アンモニア血症にはラクツロース(モニラック)、凝固障害にはビタミンKや新鮮凍結血漿、低血糖にはブドウ糖捕液で治療します。
 肝臓や腎臓の機能異常に対する治療も必要になります。
 脂肪酸の代謝異常に対しては、L-カルニチンが投与されることがありますが、発症早期でないと効果は低いとされています。


ライ症候群かなと思ったら?

救急車で小児科へ

 

イメージ画像 急激に発症することが多く、緊急に入院施設のある小児科への搬送が必要になります。急性脳症の初期症状がみられたら、救急車を呼んでください。


ライ症候群の予防法は?

解熱鎮痛薬の服用に注意

 

イメージ画像 すべてのライ症候群を予防することはできません。
 インフルエンザ水痘・みずぼうそうにかかった時は、アスピリンなどのサリチル酸系解熱鎮痛薬を15歳未満の患者さんに投与しないことになっています。子供の解熱薬は、アセトアミノフェンが使用されています。
 自宅で急な発熱の際に、ほかの人に処方されていた解熱薬や大人用の解熱薬は、絶対に使わないように注意が必要です。解熱薬の中に、アスピリンなどのサリチル酸解熱鎮痛薬の成分が含まれていることがあるためです。

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