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 無痛性甲状腺炎

無痛性甲状腺炎ってどんな病気?
一過性の甲状腺機能亢進症
  イメージ画像 なんらかの原因によって甲状腺が壊れ、中に蓄えられていた甲状腺ホルモンが血液中に漏れ出し、一過性の甲状腺機能亢進症を起こす病気です。
 亜急性甲状腺炎と異なり、甲状腺に痛みがないため、「無痛性甲状腺炎」と呼ばれています。

甲状腺とは?
甲状腺の形
  イメージ画像 甲状腺という名前は、西洋の盾のような形をしていることに由来します。
 ちょうど蝶が羽を広げたような形をしており、蝶の羽にあたる部分は右葉(うよう)と左葉(さよう)と呼ばれます。蝶の胴体にあたる部分は、峡部(きょうぶ)と呼ばれます。
甲状腺の場所
   峡部は靭帯(じんたい)で、気管の前面に固定されています。左葉と右葉が、気管を取り囲んでいます。
 甲状腺は首の前にありますが、男性と女性では位置が違います。男性の方が女性よりも低い位置にあります。男性の半数くらいでは、甲状腺の位置が低く、胸骨の下に入っており、首に触っただけではわかりません。その際は、嚥下運動(えんげうんどう)をしてもらうと、気管と一緒に甲状腺が上がってくるので、指で甲状腺を触れるようになり、甲状腺腫が見付ることもあります。
ツバを飲み込んでください
   医師が首の診察をしているとき、患者さんに「ツバを飲み込んでください」とお願いすることがあります。これは、ツバを飲み込むことによって、甲状腺を指で触れるようになるためです。
 正常な大きさの甲状腺の場合、外から触ることはできませんし、見えることもありません。

無痛性甲状腺炎の原因は?
原因不明も妊娠がきっかけに
  イメージ画像 出産をきっかけにして起こることが良く知られています。ストレスなどがきっかけとなり、一過性の甲状腺炎を起こすこともあります。しかし、特に誘因がなく発症する場合もあります。
 無痛性甲状腺炎は、慢性甲状腺炎に起こりやすいと言われています。
 甲状腺機能亢進症になる仕組み・機序は現在でも不明です。

無痛性甲状腺炎の症状は?
短期間に現れる症状
  イメージ画像 甲状腺ホルモンの増加が軽い場合、自覚症状もなく、気が付かずに治ってしまうこともあります。
 動悸、暑がり、体重減少などの甲状腺機能亢進症の症状が、比較的短期間に現れ、受診するケースが多いです。
 甲状腺機能亢進症の患者さんの5%〜10%が、無痛性甲状腺炎です。
バセドウ病と無痛性甲状腺炎
   症状が比較的軽いこと、病気の症状で悩む期間が短いこと、眼球突出などの眼症状がないことがバセドウ病との違いですが、症状が似通っており紛らわしいため、しばしば誤診されてしまうこともあります。
 バセドウ病は治療しないと甲状腺ホルモンは低下しないのに対して、無痛性甲状腺炎の甲状腺機能亢進症は一過性で治療しなくても正常化するため、治療法は全く異なります。バセドウ病と無痛性甲状腺炎の区別は、重要になります。

妊娠と出産後の甲状腺の変化
妊娠により大きくなる甲状腺
  イメージ画像 妊娠時は甲状腺が少し大きくなります。
 甲状腺ホルモンを結合する蛋白が増えるため、チロキシン濃度は2倍に増加します。しかし甲状腺の機能を示す遊離チロキシン濃度は妊娠初期にわずかに増加し、後期には非妊娠時の正常範囲の下限となる程度のわずかな変化しかありません。妊娠した時は、遊離チロキシン濃度で甲状腺の機能を評価することが重要になります。
出産後の変化
   出産後は約25%の人に甲状腺機能の変化が認められます。この多くが無痛性甲状腺炎であることがわかっています。
 かつては「産後のひだちが悪い」と言われていたもののうち、かなりの人が無痛性甲状腺炎だったのだろうと考えられています。
バセドウ病と妊娠
   バセドウ病は妊娠中に良くなっても、出産後に急に悪くなることが多い病気です。甲状腺疾患のある患者さんは、妊娠前後の時期は甲状腺専門医の管理をきちんと受けることが重要です。
 専門医に診てもらうことで、バセドウ病治療中であっても、一律に妊娠・授乳は禁止ということはありません。

無痛性甲状腺炎の診断は?
抗TSHレセプター
  イメージ画像 バセドウ病では抗TSHレセプター抗体が陽性になるため、甲状腺機能亢進症であって抗TSHレセプター抗体が陰性であれば、無痛性甲状腺炎の可能性が大きくなります。
放射性ヨード摂取率
   亜急性甲状腺炎の診断と同様に放射性ヨード摂取率を測定すると、バセドウ病では高値になりますが、無痛性甲状腺炎ではきわめて低値になるため区別することができます。
 放射性ヨード摂取率の測定はどの病院でもできる検査ではないので、自覚症状が強くない場合、無痛性甲状腺炎と考えて治療を行わずに経過を見ることもあります。
甲状腺ホルモン
   無痛性甲状腺炎の場合、最初は甲状腺組織が破壊されるため、濾胞(ろほう)に蓄えられた甲状腺ホルモンが血液中に漏れ出してきて、甲状腺ホルモンが高くなります。
 無痛性甲状腺炎はバセドウ病と異なり、ホルモンが過剰に作られるわけではありません。そのため1ヶ月〜2ヶ月経過すると、甲状腺ホルモンは低下していき、反対に甲状腺機能低下症になります。甲状腺機能低下症は2ヶ月〜3ヶ月で治り、普通は元の正常な甲状腺機能に戻ります。
 無痛性甲状腺炎の患者さんの約20%で、永続的な甲状腺機能低下症になるので、最後まできちんと経過をみることが大切になります。
繰り返す無痛性甲状腺炎
   一部の症例では、毎年同じ時期に無痛性甲状腺炎を繰り返すことがあります。
 経過は亜急性甲状腺炎と似ていますが、前頸部(ぜんけいぶ)の痛み、発熱、赤沈の亢進などの炎症症状がないので、区別は比較的容易です。

無痛性甲状腺炎の治療法は?
経過観察と対症療法
  イメージ画像 甲状腺から血液中に漏れ出してしまった甲状腺ホルモンを減らす治療法は、残念ながらありません。
 動悸や手の震えなどの症状が強い場合、対症療法としてβ遮断薬を服用します。
 過労は避けるようにして、甲状腺ホルモンが低下するのを待ちます。

無痛性甲状腺炎かなと思ったら?
自然に治癒します
  イメージ画像 通常は1ヶ月〜2ヶ月で症状は治まり、甲状腺機能も正常に戻ります。無痛性甲状腺炎と診断されても、心配する必要はありません。
 しかし、亜急性甲状腺炎と違って繰り返すことがあるので、1年に1回〜2回程度、検査を受けた方が良いでしょう。
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