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ギラン・バレー症候群


ギラン・バレー症候群の概要は?

おもな症状

 

手足に起こるほぼ対称的な運動麻痺
比較的軽度な感覚障害

似ている病気

 

急性間欠型ポルフィリン症(きゅうせいかんけつがたぽるふぃりんしょう)
ジフテリア
ポリオ
ボツリヌス菌食中毒
中毒性ニューロパチー(有機溶剤、有機リン化合物、鉛など)

起こりやすい合併症

 

心臓や電解質の異常
呼吸筋肉の麻痺
肺炎
寝たきり
関節の固縮


ギラン・バレー症候群ってどんな病気?

病名は発見者の名前から

 

イメージ画像 フランスのギラン氏とバレー氏らによって、1916年に報告された病気です。発見者の名前から、ギラン・バレー症候群と呼ばれています。
 別名を、「急性炎症性脱髄性多発神経炎」といいます。日本では特定疾患に認定された指定難病です。

突然発症する筋力低下

 

 急速に発症する左右対称性の四肢筋力の低下と、腱反射(けんはんしゃ)の消失がおもな症状の病気です。
 人口10万人あたり、年間で1人〜2人の発症例があります。年齢別にみると、幼児や学童、若年成人、高齢者に発症のピークが存在します。


ギラン・バレー症候群の原因は?

ウイルス・細菌感染が原因

 

イメージ画像 発症の1週間〜3週間前に、咳、発熱、咽頭痛、頭痛、下痢などの風邪と同じ感冒(かんせん)症状があらわれることが多いです。
 そこで、各種ウイルスや細菌による感染が引き金となり、自己免疫的機序を介して発症する病気だと考えられています。

神経細胞の軸索に障害

 

 神経細胞には、軸索(じくさく)と呼ばれる長い枝の部分があります。ギラン・バレー症候群では、おもに軸索のまわりを取り囲む髄鞘(ずいしょう)と呼ばれる部分に障害があらわれます。
 組織像では、末梢神経の髄鞘が壊れ、炎症細胞が増えています。
 髄鞘の障害には、感染の結果できた自己抗体が関与していると考えられています。


ギラン・バレー症候群の症状は?

風邪のあとの筋力低下

 

イメージ画像 風邪のような感冒症状や、下痢のあと、約10後に両側の足の知覚障害があらわれます。1週間〜3週間後に、急速に四肢の筋力低下が現われます。この範囲は、足から太ももへと上行し、胴体へ及ぶと呼吸筋が麻痺し、脳神経へ達すると発音、嚥下、表情、眼の動きにも障害があらわれます。普通は、2週間目〜4週間目でピークを迎え、進行は停止します。
 進行停止後は少しずつ快方へ向かい、運動麻痺は進行の方向とは逆向きで改善を始め、3ヶ月〜6ヶ月でほぼ完治します。しかし、10%〜20%の患者さんには、後遺症が残ってしまいます。
 運動障害にくらべて、感覚障害の症状は軽いのが特徴です。

その他の症状

 

 患者さんのうち約50%では、顔面の筋力低下もみられます。
 舌、嚥下筋の支配神経に障害が出て、喋りにくい、食べ物を飲み込みにくいなどの症状があらわれます。外眼筋支配神経(がいがんきんしはいしんけい)に障害があらわれ、複視といって物が二重に見えることもあります。
 患者さんのうち約10%〜20%では、呼吸筋の麻痺があらわれます。
 また、頻脈(ひんみゃく)、不整脈起立性低血圧、高血圧など、自律神経が損なわれた症状があらわれることもあります。

後遺症が残る場合

 

 以下のような場合、症状の回復が悪いことがあります。

 60歳以上の高齢者
 細菌の一種であるキャンピロバクター・ジェジュニに先行感染している場合
 口咽頭筋麻痺(こういんとうきんまひ)がある場合
 人口呼吸器が必要な場合
 電気生理学的に軸索障害の所見、または複合筋活動電位振幅の消失がある場合
 発症から治療開始までに2週間以上を経過している場合

ギラン・バレー症候群の診断は?

髄液検査、筋電図、末梢神経伝導検査

 

イメージ画像 髄液検査(ずいえきけんさ)を行うと、発症から1週目を過ぎると蛋白量が上昇します。この場合、髄膜炎(ずいまくえん)のように、髄液の細胞数が同時に増えるようなことはなく、蛋白と細胞の所見が解離することがギラン・バレー症候群の特徴といえます。
 また、筋電図検査、末梢神経伝導検査を行うと、神経伝導速度の遅延などの異常がみられます。


脳脊髄液・脊髄液の検査法

髄膜炎・脳炎の診断

 

 脳、脊髄になんらかの障害が生じた場合、直接的、あるいは間接的に、髄液所見に反映される可能性が大きくなります。
 髄液の異常は、髄膜炎・脳炎の診断と鑑別・見分けのために行ないます。

腰椎穿刺

 

イメージ画像 一般的に針を刺して行なう腰椎穿刺(ようついせんし)によって行なわれます。
 患者さんは側臥位となり、両手で膝を頭に抱え込むような体位をとります。もし介助するときは、この姿勢をきちんと保つことが重要です。
 穿刺部位は、左右の腸骨綾上縁を結ぶヤコビー線と、脊柱が交差する点を目標にして、第3腰椎〜第4腰椎間か、第4腰椎〜第5腰椎間で行ないます。皮膚消毒と局所麻酔後、棘間靭帯(きょくかんじんたい)、硬膜(こうまく)、くも膜下腔へと針を入れていきます。
 外観の観察、初圧および終圧、細胞数、蛋白、糖、血糖値の測定を行い、疑われる疾患に応じて種々の検査を追加します。

怖かった・・・

 

 僕も何度か脊髄液検査を受けたことがあります。
 背中で行なわれているために、何をやっているのか見えませんが、膝を抱えて横になって寝たまま動いてはいけないという姿勢が、とても不安で心細かったです。
 とても怖い経験でした。


ギラン・バレー症候群の治療法は?

免疫グロブリン大量静注療法、血漿交換療法

 

イメージ画像 治療は入院して行われます。
 免疫グロブリンの大量静注療法、または血漿交換療法が有効な治療法で、後遺症を軽くするために有効です。
 免疫グロブリン大量静注療法では、400mg/kgの用量で、5日間行います。血漿交換療法では、症状の程度によって異なりますが、5m以上歩ける軽症例では隔日で2回、自分で立つことができず中等度例や、人工呼吸器を装着されている重症例では、隔日で4回くらい行われます。

リハビリ

 

 治療と並行して、筋力回復のためのリハビリテーションを行うことも大切です。


ギラン・バレー症候群かなと思ったら?

内科・神経内科へ診察を

 

イメージ画像 風邪のような症状のあと、両足に痛みやしびれなどの知覚障害、または筋力低下などの運動障害がみられた場合、内科か神経内科を受診してください。
 めずらしい病気で見逃されやすいので、診察の際には、正確に症状を伝えるようにしましょう。


ギラン・バレー症候群の有名人?

女優の大原麗子さんで有名になった病気

 

イメージ画像 最近、女優の大原麗子さんが罹患して有名になった病気です。
 ほかにも、俳優の安岡力也さん、国会議員の川口順子さん、サッカー選手の佐藤寿人さん、福永泰さんもギラン・バレー症候群を罹患した経験があります。
 意外と知られていませんが、コードネーム「ゴルゴ13」のデューク・東郷もギラン・バレー症候群の持病を持っています。突発的に右腕がしびれて動かなくなり、台湾の漢方医が調合した薬を服用しています。

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