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脳血管障害・脳卒中ってどんな病気? |
一般的には脳卒中 一般的に脳卒中と呼ばれますが、医学用語ではありません。 古くから知られている病気 脳卒中は中国から伝えられた言葉です。 患者さんは増加中 脳血管障害は、日本の国民病のひとつです。 患者さんの割合 日本国内における調査で、入院中、あるいは外来を訪れた148万人の脳血管障害の患者さんでは、約75%が脳梗塞、15%〜20%が脳出血、5%〜10%がくも膜下出血でした。 高齢者に多い心原性脳梗塞 脳血管障害は、一般的には高齢者の病気と考えられています。発症した人の平均年齢は、71歳です。 高齢者に少ない脳出血 高血圧性脳出血は、65歳以上では、65歳未満の約半分です。くも膜下出血は、65歳以上では、65歳未満の1/3です。 |
脳血管障害・脳卒中の症状は? |
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脳梗塞・脳出血・くも膜下出血 脳血管障害の代表的なものは、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の3つになります。 脳血管障害の分類
脳梗塞 脳の血管が、動脈硬化、他の部位から流されてきた栓子(せんし)によって塞がってしまうと、血液の流れが止まってしまいます。 脳出血・くも膜下出血 脳の深部の細い血管に、高血圧や加齢が原因で、小さなコブがたくさんできます。急に血圧が上昇すると、コブが破裂し、脳の中に血腫(けっしゅ)ができ、脳出血になります。 前兆症状 脳動脈の内腔が血栓によって詰まり、脳血管障害の症状が現れても、24時間以内に自然に症状が消えてしまう一過性脳虚血発作は、脳梗塞の前兆として、もっとも重要な症状です。多くの場合、20分以内に症状が消えてしまいます。 |
脳血管障害・脳卒中の局所症状 |
他の臓器とは大きく異なる働き 脳は部位によって、受け持っている機能が異なります。約1400gあり、同じくらいの重さを持つ臓器、肝臓とは大きく異なります。 脳は多くの酸素と栄養が必要 脳は、他の臓器よりも、たくさんの酸素と栄養分が必要とされています。そのため、血液の流れが少しでも滞ってしまう状態には、とても弱いわけです。 部位によって異なる障害 脳は部位によって、機能が異なります。脳梗塞や脳出血が起こると、その部位の機能に応じた障害が現れます。 |
脳血管障害・脳卒中の原因は? |
高血圧と加齢 最大の原因は、高血圧と加齢です。 脳出血とくも膜下出血 脳出血では、血液が固まりにくい出血性素因、動脈硬化などが、代表的な危険因子となっています。 脳梗塞 もっとも患者さんの数が多い脳梗塞では、原因は多様です。 |
脳血管障害・脳卒中の診断は? |
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危険因子の検査 危険因子の多くは、簡単な検査で調べることができます。 隠れ脳梗塞 脳ドックなどで行うMRI検査では、無症状の脳梗塞が、偶然に見付かることがあります。隠れ脳梗塞や、無症候性脳梗塞と呼ばれています。 動脈瘤が発見されることも 検査では、破裂する前の動脈瘤が見付かることもあります。 問診問診では、以下の項目を聞くことで、脳血管障害の種類、程度まで、おおよその見当をつけることができます。
意識障害、言語障害などにより、本人が医師に症状を伝えられない場合も多くあります。発作を起こした時に近くにいた家族、倒れているのを発見した人など、状況を良く知っている人が付き添い、医師に報告するのが最良です。 画像検査 脳血管障害が疑われた場合、画像検査を行います。 その他、多くの検査 全身状態を調べるために、尿検査、血液検査、胸部エックス線検査、腹部エックス線検査、心電図検査など、一般的な検査も同時に行います。 |
脳血管障害・脳卒中の治療法は? |
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基本は薬物療法 症状が軽いと思っても、放置せずに、すぐに治療を受けることが重要です。医師から入院を指示されたら、従うようにしてください。入院すれば、発病初期に大切な安静を正しく守ることができ、症状が急変しても適切な治療が受けられます。手術が必要な場合、安定期に入ってから手足の麻痺や言語障害などの後遺症に対するリハビリなども受けられます。 脳出血の治療 高血圧による脳出血は、大きな小脳出血、脳圧が高く脳室が大きくなっている閉塞性水頭症などを除き、内科的治療が原則となります。 脳梗塞の治療 脳梗塞でも、ほとんどが内科的治療を行います。内頸、中大脳、脳底動脈のような太い脳血管に血栓が詰まっても、6時間以内なら、カテーテルを血管内に挿入し、詰まった血栓を薬で溶かす治療が行われます。発症から3時間以内なら、血栓溶解薬t-PAを静脈注射します。 急性期の治療 脳血管障害を起こしてから2週間以内は、急性期と呼ばれます。 全身管理 十分に食事がとれないため、脱水状態になりやすくなります。点滴で水分と栄養を補給し、必要な薬剤も同時に注入します。傾眠や昏睡で意識状態が悪かったり、嚥下障害などで飲食物がとれない場合、チューブを鼻腔から胃に通して、栄養(経鼻経管栄養物)や薬剤を注入します。 薬物療法 急性期には程度の差はあっても脳がむくむ脳浮腫で、脳圧が高くなります。脳圧降下薬・浸透圧利尿薬を使用します。意識状態が悪い、頭痛や嘔吐が続く、CTで脳圧が高いことがわかった場合、すぐに脳圧降下薬を使います。 慢性期の治療 発症から2週間以上経過すれば、症状は安定します。再発や合併症がなく、発症後4週間以上経過すれば、症状が悪化しない慢性期に移行します。 薬物療法 再発を予防するため、必要に応じて血小板凝集抑制薬、凝固薬を使います。脳梗塞で血管が詰まった部位、脳出血で血腫ができた部位、その周辺は、血流量が減少しているため、血流量を増加させる脳循環改善薬を使います。 原因疾患の治療 高血圧、糖尿病、心臓病、脂質異常症、多血症など、原因となった病気の治療をします。再発を予防するために、大切な治療です。 後遺症の治療 脳血管障害直後で、意識がないような場合、現代医薬が優先されます。
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脳血管障害・脳卒中のリハビリは? |
後遺症の回復 手足の麻痺やしびれと言った運動障害や感覚障害、言語障害、高次脳機能障害などが起こります。発症後数週間〜数ヶ月間に、傷付いた脳の自然回復に伴って軽減することもあります。しかし多くの患者さんでは、後遺症のため、日常生活動作、移動や歩行、コミュニケーションが以前のようにできなくなってしまいます。 急性期のリハビリ 廃用症候群の予防が目的で、理学療法士、看護婦が行います。 回復期のリハビリ 理学療法士、作業療法士のほか、必要に応じて言語聴覚士が行います。 維持期のリハビリ 回復期のリハビリには訓練期間の制限があり、通常は3ヶ月〜6ヶ月です。 失語症のリハビリ 車椅子に座って、食事がとれるようになってから開始します。 構音障害のリハビリ 頬筋、口唇筋、咽頭筋、舌筋など構語筋の運動訓練と、呼吸筋の訓練をします。重症の構音障害では、大きな声が出ない、声がかすれるなどの発声障害、嚥下障害がみられます。 失行症のリハビリ 発病初期に見られることが多く、時間の経過に従って消失していきます。 失認症のリハビリ 失認症には、多くのタイプがあります。 |
脳血管障害・脳卒中かなと思ったら? |
すぐに受診を 軽い症状であっても、脳血管障害かもしれないと思ったら、1分1秒でも早く、専門医のいる病院へ行くことが重要です。 早期治療が効果大 脳血管障害は怖い病気ですが、1分1秒でも早く、施設が整った専門医のいる病院を受診すれば、死を免れたり、後遺症を軽くすることが可能です。 |
脳血管障害・脳卒中の応急手当は? |
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呼び掛け意識状態の確認 医師や救急車が来るまでに、適切な手当てを行うことも重要です。手当てをせずに放置したり、誤った手当てをすると、症状が悪化してしまうことがありるので、本人の名前を呼んだり、話し掛けたりして、意識状態を確認して病状を把握してください。
中等症・重症の応急手当救急車を呼び、1分1秒でも早く脳卒中の専門医のいる病院に搬送することが重要ですが、救急隊員が来るまでの間、できることはやっておきましょう。 安全に寝かせられる場所へ運ぶ トイレ、風呂場、玄関、道路などで倒れているのを発見したら、安全に寝かせられる場所へ運んでください。 やや硬めの布団に肩枕をして寝かせる 室内に運んだら、身体が沈まない程度の硬さの布団に、仰向けに寝かせ、衣服を緩めます。 嘔吐に備えて顔は横向き 発症時に嘔吐をともなうことも多く、意識状態が悪いと、吐いた物を気管に詰まらせて窒息してしまうことがあります。 痙攣していたら柔らかい物を口に噛ませる 痙攣を起こし、歯を食いしばっている場合、舌や唇を噛んでしまうことがあります。 尿失禁に備え腰の下にビニールを敷く 意識状態が悪い場合、尿を漏らしてしまうことがあります。 部屋に直射日光が入らないようにする 直射日光が当たったり、風通しが悪く暑い部屋では、脱水状態になります。 軽症の応急手当 心を落ち着かせてあげることが、重要になります。 応急手当の基本は同じ 軽症の場合も、中等症〜重症の応急手当と同じです。 |
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