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水頭症


水頭症の概要は?

おもな症状

 

頭が大きい
大泉門が大きい
嘔吐
落陽現象

似ている病気

 

慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)
巨脳症

起こりやすい合併症

 

運動発達障害
脳性麻痺
精神遅滞
痙攣
てんかん


水頭症ってどんな病気?

頭蓋内圧の上昇

 

イメージ画像 頭蓋内(ずがいない)に脳脊髄液(のうせきずいえき)が過度に溜まることによって、脳そのものが圧迫を受けたり、頭蓋内の圧が高くなったりすることを水頭症と呼びます。


水頭症の原因は?

脳や血管の奇形

 

イメージ画像 脳脊髄液が過度に溜まる原因はふたつあります。
 ひとつは、脳脊髄液が過度に作られるか、吸収が悪いために起こります。多くは、脳そのものや、脳を取り巻く血管の奇形などによります。
 中脳水道狭窄症(ちゅうのうすいどうきょうさくしょう)、脊髄髄膜瘤に合併したキアリU型奇形、髄液の静脈洞への流入が障害される交通性水頭症、ダンディー・ウォーカー症候群、脳瘤(のうりゅう)などがあります。

脳腫瘍や脳出血による炎症

 

 もうひとつは、脳脊髄液の流れが損なわれるために起こります。脳腫瘍、細菌・ウイルス・寄生虫などの感染症による髄膜炎脳出血、脳動脈瘤の破裂、などによる炎症が原因となります。


髄液の生産と吸収のバランス

髄液のサイクル

 

イメージ画像 脳の中心部には、側脳室(そくのうしつ)、第三脳室、第四脳質と呼ばれる、合計30立方センチメートル〜50立方センチメートルの腔(くう)と呼ばれる空間があり、そこは髄液で満たされています。
 髄液は脳の組織液と、左右の側脳室と第四脳室にある脈絡叢(みゃくらくそう)から分泌され、1日に約500ミリリットル作られます。
 生産された髄液は側脳室から左右のモンロー孔を通って第三脳室に流れ込み、中脳水道(ちゅうのうすいどう)と呼ばれる細い管を通って第四脳室へと流れていきます。第四脳室へ入った髄液は、左右のルシュカ孔とマジャンディー孔と呼ばれる孔から、脳の表面と髄液を覆うくも膜下腔(くもまくかくう)に流出します。
 くも膜下腔を満たした髄液は、脳の表面にある太い静脈である静脈洞(じょうみゃくどう)に流れ込み、吸収されます。

脳と脊髄を守る髄液

 

 脳と脊髄は、髄液の中に浮いたような状態になっています。
 健康な人であれば、毎日、約500ミリリットルの髄液が生産され、すべて静脈洞に吸収されるので、髄液の生産量と吸収量のバランスが取れます。


水頭症の症状は?

乳幼児期(あかちゃん)の症状

 

イメージ画像 乳幼児期にもっとも多い症状は、頭のサイズの頭囲の異常な増加です。頭蓋内圧亢進(ずがいないあつこうしん)と呼ばれる、頭蓋の中の圧力が上がってきます。
 母子手帳の後ろに書いてある頭囲成長曲線の正常範囲を大きく外れていることで見付かることがあります。
 頭蓋骨の継ぎ目が開いたり、前頭部にある頭蓋骨の隙間の大泉門(だいせんもん)の皮膚がパンと張って外に張り出したりすることもあります。赤ちゃんにミルクを飲ませるときに大泉門を触れてみると、凹みがなく、ときには盛り上がって緊満しているか自分で調べることができます。頭の皮膚の静脈は怒張して膨らみます。
 繰り返し眼球が下転して黒目の下半分が下まぶたにかかり白目が目立つ落陽現象(落日現象)が起きるなどの症状もあります。
 頭蓋内圧亢進が急速に進むと、嘔吐、痙攣、不機嫌、嗜眠傾向(うとうと眠る状態)が現れ、頭痛のために赤ちゃんが甲高い声で繰り返し発作的に泣きます。
 頭蓋内圧亢進がゆっくりと進む場合は、症状は目立ちませんが、脳の発達が障害されるために、月齢、年齢にふさわしい発育がみられません。

幼児期以上の子供の症状

 

 成人だけでなく、子供にも頭蓋内圧亢進が生じ、そのため頭痛、嘔吐が頻繁に起こるようになります。
 頭痛は明け方に現れやすく、嘔吐は吐き気をともなわないで急に起こります。また、注意力、集中力の低下を招き、健常な日常生活が損なわれます。
 頭蓋内圧亢進がしだいに悪化すると、刺激を与えないと眠ってしまう傾眠傾向となり、ついには意識障害が起こります。さらに、歩行障害などの手足の運動障害、眼球運動障害も起こってきます。

正常圧水頭症の症状

   正常圧水頭症(せいじょうあつすいとうしょう)は高齢者に起こります。
 認知症などの精神機能障害、歩行障害、尿失禁が起こりますが、これら3つの症状が揃わないケースもまれではありません。
 正常圧水頭症は、原因となった病気を明らかにすることができないのが普通で、このような場合は特発性正常圧水頭症と呼ばれています。

水頭症の診断は?

検査と診断

 

イメージ画像 体を診察し、頭囲成長曲線を作ってみて、水頭症が強く疑われるかどうかが検討されます。
 頭部CT検査、MRI検査などで診断されます。これらの検査で、原因となった病気がわかる場合も多いのですが、脳の形態異常に合併した水頭症では、原因を明らかにできないことが少なくありません。
 痙攣を合併する子供の水頭症は、小児神経学の専門家の診察と脳波検査が必要です。


水頭症の治療法は?

多くは外科治療

 

イメージ画像 水頭症を起こしている原因によって治療法は異なります。ですが多くの場合、外科的治療が必要になります。
 脳腫瘍が原因で水頭症を起こしている場合は、腫瘍の摘出を含めて、腫瘍そのものに対する治療を行います。
 その他の原因による場合は、シャント術(短絡手術)が多く行われます。水頭症の程度に応じて、頭の中にチューブを入れて、溜まった過度な髄液をチューブを通して腹部などに流し脳への圧迫を除くという手術です。
 細菌感染などが原因で髄膜炎が起こっているときは、脳室などから髄液を体外に流し出し、感染が治った時点でシャント術を行います。
 中脳水道が閉塞して水頭症になっている場合や、第四脳質に腫瘍があって脳室内の髄液の流れが障害されている場合は、脳室鏡(のうしつきょう)を用いて第三脳室と脳底のくも膜下腔に交通をつける第三脳室底開窓術が行われます。この場合は、シャント(短絡管)の設置は必要ありません。

手術後も定期的な診察が必要

 

 シャント術(短絡手術)は、技術的には難しい手術ではありません。
 シャントそのものはシリコン製のチューブ(短絡管)で、体に悪影響はなく、半永久的に使用することができます。皮下に埋め込み、脳室と腹腔や胸膜腔、脊髄のくも膜下腔と腹腔や胸膜腔とを繋ぎます。
 ただし、正常に機能しているかどうか定期的なチェックが必要になります。


水頭症かなと思ったら?

小児科か小児神経科

 

イメージ画像 小児科、もしくは小児神経科の外来を受診するようにしましょう。水頭症が強く疑われるかどうか診察を受けます。
 必要に応じて脳神経外科を受診し、原因や治療方針について十分な検討を行います。体や心の発達に影響を与える病気なので、発達についての適切な援助が受けられる医療機関を選ぶと良いでしょう。
 治療を受けた人は、定期的な脳神経外科医の診察を受ける必要があります。病気の管理が良好であれば、通常の生活を送ることが可能です。


水頭症に関係する病気は?

水頭症性無脳症

 

イメージ画像 出生前に何らかの理由で脳に障害が加わったことにより、大脳全体が壊れてなくなってしまい、そこがすべて脳脊髄駅で満たされた状態になることがあります。
 水頭症性無脳症、または水無脳症と呼ばれる病気です。
 水頭症とは異なる病気ですが、症状は似ているため、シャント術による治療が必要になることがあります。

脊髄髄膜瘤

 

 脊柱・脊髄の先天的な奇形です。脊椎の背中側の一部が開放し、脊髄などの神経組織や髄膜の一部が骨の外に露出してしまった状態のことです。
 脳脊髄液の循環を妨げるので、水頭症の原因となります。
 脳神経外科での治療が必要となります。

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