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肺性心


肺性心の概要は?

おもな症状

 

咳(せき)
痰(たん)
息切れ・呼吸困難
チアノーゼ
浮腫・むくみ
意識障害

似ている病気

 

呼吸器の病気
心不全

起こりやすい合併症

 

呼吸器感染症(こきゅうきかんせんしょう)
右心不全(うしんふぜん)
呼吸不全(こきゅうふぜん)


急性肺性心ってどんな病気?

急激な右心室の機能不全

 

イメージ画像 通常、慢性に経過することの多い病気です。しかし、何らかの原因によって、肺の血液の循環が急激に悪くなると、肺へ血液を送り出す役目をになっている心臓の右心室に大きな負担がかかります。そして右心室の急激な機能不全が起こります。
 この状態を、急性肺性心といいます。


急性肺性心の原因は?

肺動脈の閉塞

 

イメージ画像 比較的大きな肺動脈の閉塞が原因となります。
 手術、分娩、外傷、骨折などで長期間絶対安静を続けていると、血栓が静脈内に生じます。その血栓がはがれて肺動脈に到達し、血液の流れを妨げてしまうことで起こります。
 健康な人でも、航空機や電車など、長時間同じ姿勢で座っていると、急性肺性心になる可能性があります。
家庭の医学:エコノミークラス症候群・肺血栓塞栓症とは?


急性肺性心の症状は?

突然死にいたることも

 

イメージ画像 急激な呼吸困難、チアノーゼ、胸部痛などを起こします。喀血(かっけつ)、失神をともなうこともあります。
 発熱が起こり、頻脈(ひんみゃく)になり、ショックや突然死になることも、めずらしくありません。
 急性肺性心と同時に、しばしば右心不全を合併しますが、その症状は急激にあらわれます。


急性肺性心の診断は?

心電図や超音波検査

 

イメージ画像 血液中の酸素飽和度がいちじるしく低下します。
 心電図では、右心負荷の所見を示します。
 心臓超音波検査では、多くの場合は右心室が拡大して、左心室を圧迫しているような所見がみられます。
 核医学検査では、肺の換気の状態が正常なのにもかかわらず、肺の血流の状態が手かしているような所見が認められれば、診断が確定します。


急性肺性心の治療法は?

急性肺性心を起こさせないことが重要

 

イメージ画像 血栓性静脈炎、静脈瘤(じょうみゃくりゅう)のある人は、急性肺性心を起こしやすい傾向があります。適切な治療による予防が必要です。
 長期の絶対安静が必要な人では、なるべく下肢を動かしたり、姿勢を変えたりして、静脈血栓ができないようにします。また手術後は、医師はなるべく早いうちに歩行を薦めますが、これも静脈血栓を避けるための処置ですので、必ず守るようにしましょう。早く病院から退院させようというための行為ではありません。

治療は緊急を要します

 

 急性肺性心を発病すると、人工呼吸管理、血栓を溶かしたり吸引したりするなど、救急の治療が必要となります。


慢性肺性心ってどんな病気?

右心室の壁の肥大

 

 肺気腫(はいきしゅ)、気管支拡張症(きかんしかくちょうしょう)、肺の動脈硬化などの病気が原因となり、肺動脈の血圧が上昇します。その結果、右心室は血液を肺へと送り出すために余計な力が必要となります。
 このため、右心室の壁が余分に働こうとして、肥大化していきます。

右心室の機能不全

 

 肥大した右心室が強い力で血液を肺へと送り込もうとするため、肺の血管の方でさらに抵抗を高めるような時に、肥大した右心室は負担に耐え切れなくなってしまいます。このため、右心室の慢性的な機能不全という状態に陥ります。
 この状態を、慢性肺性心と呼びます。
 もともとの心臓病ではなく、肺の病気が原因で心臓に異常が起きる病気です。


慢性肺性心の原因は?

肺気腫から

 

イメージ画像 肺気腫、気管支喘息肺結核、肺繊維症、慢性気管支炎、脊柱湾曲症(せきちゅうわんきょくしょう)、肺の血管の疾患が原因となります。
 この中でも、肺気腫による原因がもっとも多く、肺の細小動脈、毛細血管に閉塞ができ、肺動脈の血圧が高くなり、右心室・右心房に圧力の負荷が加わります。
 症状が進むと、右心不全になります。


慢性肺性心の症状は?

呼吸困難など

 

イメージ画像 動作時には呼吸困難があり、多量の痰をともなった咳が出ます。胸がゼーゼーする喘鳴(ぜんめい)、気管支喘息をともなうこともあります。呼吸は安静時でも激しく、多くの場合は胸部痛があり、喀血することがあります。酸素不足のため、唇や爪が紫色になるチアノーゼもみられます。
 症状が進むと、右心不全になり、失神、めまい、眠くてしかたがない状態となる嗜眠症(しみんしょう)などの脳障害、静脈の流れが悪くなるため肝臓がはれる肝腫大、末梢の浮腫・むくみ、頸静脈が膨れ上がる怒張(どちょう)、腹水などの症状があらわれます。


慢性肺性心の診断は?

肺に疾患があるか

 

イメージ画像 肺に病気があり、右心不全の症状があらわれたら、慢性肺性心が疑われます。
 心電図では右心負担の所見を示します。
 胸部エックス線画像では、右心室の拡大が認められます。MRI、心筋タリウムシンチグラフィでも右心室が大きくなっている様子がわかります。心臓超音波検査では、右心室が拡大し、重症化すると左心室よりも大きくなってしまいます。


慢性肺性心の治療法は?

肺疾患の治療と同時進行

 

イメージ画像 原因となっている肺疾患の治療を行いながら、利用剤、血管拡張剤を使って、右心不全の治療も同時に行います。
 低酸素血症は肺血管の抵抗を上昇させ、肺性心を悪化させる要因となるため、慢性呼吸不全を合併している患者さんには、在宅酸素療法を行います。ただし、不用意に多量の酸素吸入を行うと、血液中の二酸化炭素が溜まりすぎて呼吸が止まってしまうことがあるので、注意が必要です。
 痰を出して空気の出入りをよくすることも大切となります。
 右心不全に対しては、右心室にかかっている負担を軽くするために、フロセミドなどの余分な水分を尿として排泄させる利尿薬、ジゴキシンやジギトキシンなどの心臓の働きを強くする強心薬、マレイン酸エナラプリル(レニベース)、ロサルタンカリウム(ニューロタン)など、血管拡張薬を使用します。
 風邪や急性気管支炎が慢性肺性心の誘因となることもあるので、注意しましょう。


肺性心かなと思ったら?

定期的な受診を

 

イメージ画像 慢性の肺の病気がある人は、定期的に医療機関を受診し、医師の指導を受けるようにしましょう。
 肺性心は基礎になる肺の病気の末期像で、慢性閉塞性肺疾患の死因の1/4を占めます。右心不全が出現すると予後不良とされますが、在宅酸素療法は予後を改善するといわれています。
 基礎となる肺の病気がなく、突然の呼吸困難や意識消失を起こした場合は、急性肺血栓閉塞症などが疑われるので、救急車を呼びましょう。

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