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 糖尿病

糖尿病ってどんな病気?
インスリンの作用不足
   インスリンの作用不足によって起こる病気です。
体の中の機構がうまく働かない
  イメージ画像 インスリンと呼ばれるホルモンは、膵臓(すいぞう)の中に散らばっているランゲルハンス島という内分泌組織のβ細胞で作られ、β顆粒の中に貯えられます。血液中の糖分の上昇などがあると、インスリンが分泌されて、血液の中に流れ込みます。
 インスリンは血流に乗って、肝臓、筋肉、脂肪組織などに達し、その細胞のインスリン受容体に結合し、その信号を細胞内に伝え、インスリン作用を現します。
 インスリンが少ししか作られなくても、インスリン受容体の働き具合が悪くても、インスリンの作用が不足になります。この作用不足のため、体の中のエネルギーを作る機構や、たんぱく質や脂肪を作る機構がうまく働かなくなってくるのが糖尿病です。
インスリンを作る量と受容体の働きの低下
   いろいろな原因があると考えられていますが、多くの場合は、インスリンを作る機能と、インスリン受容体の働きの両方が少しずつ悪くなり、その結果、インスリンに作用不足をきたして、糖尿病になります。

糖尿病の原因は?
実はまだ原因がわかっていない
   糖尿病そのものの原因は、まだわかっていません。
遺伝による要素
  イメージ画像 家族内に出ることが多く、一卵性双生児では、片方が糖尿病になると、他方も糖尿病になることが多いなど、遺伝が関係していると考えられています。
 糖尿病になる素質が、病気になる最大の原因であると予想されています。
糖尿病1型
   インスリン依存型と呼ばれる糖尿病です。
 一卵性双生児で片方が糖尿病になった場合の他方も糖尿病になる確立は40%〜50%と高く、ランゲルハンス島の破壊にウイルス感染や免疫学的異常が関係していることがわかってきました。
 遺伝と環境との相互作用によって発症すること考えられています。
糖尿病2型
   インスリン非依存型と呼ばれる糖尿病です。糖尿病の大部分を占めるのが2型です。
 肥満、運動不足、ストレスなどが発病の原因としてとても重要です。肥満になるとインスリン受容体が減り、痩せるとインスリン受容体が増加します。
 発症には、環境と遺伝が、複雑に絡み合っていると考えられています。

糖尿病1型の症状は?
症状は突然あらわれます
   症状は突然あらわれます。
 急に元気がなくなり、ぐったりして、次第に意識を失い、放っておくと死亡してしまいます。ケトアシドーシス、あるいは糖尿病性昏睡などと呼ばれています。
 子供でも発症することがあります。
健康な人でも一時的にみられる症状
   インスリン注射が必要になりますが、この糖尿病性昏睡は治療を始めていても、その治療が不十分の時、または一度うまくいった治療が再びなんらかの理由によってうまくいかなくなったときにあらわれます。

糖尿病2型の症状は?
自覚症状はほとんどありません
   糖尿病2型は、ほとんど自覚症状のない病気です。
健康な人でも一時的にみられる症状
  イメージ画像 注意してみると、喉が渇く、尿がたくさん出る、だるい、痩せたなどのわずかな変化に気が付きます。健康な人でも、一時的にみられる状態です。
 これらの症状は、膵臓から出るインスリンの作用が不足しているために、体内の物質の流れ、エネルギーの生産がうまくいかずに、血液中のブドウ糖濃度が上がりすぎて起こります。
 糖尿病は、発熱や痛みといったはっきりとした症状を示す他の病気とは非常に異なっています。
自分ではなかなか気が付きません
   気が付かないうちに始まり、たまたま尿検査で糖が出ていることを発見されて気が付くことが多いです。
 物が見えにくくなったなどの合併症によって病気が発見される場合は、その後の経過が大変悪くなります。

糖尿病の起こりやすい合併症は?
網膜症
   長く続くと、全身の細い血管に異常が起きます。
 眼の網膜の血管が出血したり、血管が詰まって血が流れなくなったりする状態を糖尿病性網膜症といいます。
腎症
   腎臓で尿を作っている糸球体の血管に変化が起こると、尿を作る機能が低下します。また、大量のたんぱく質が尿に出るようになります。
 これを糖尿病性腎症といいます。
神経障害
   神経にも障害が起こります。
 足がしびれたり、痛みを感じなくなったりします。逆に、痛くて我慢できなくなったりもします。
 自律神経に変化が起こると、胃、腸の働きが悪くなり、寝たり起きたりすると血圧が激しく変化することもあります。
 神経が麻痺しているため、知らないうちに足などに大きな火傷(やけど)を受け、それが原因で脱疽(だっそ)や壊疽(えそ)になったりすることもあります。
感染症
  イメージ画像 細菌に対する抵抗力が低下し、結核や、いろいろなカビ等による亜急性、慢性感染症も少なくありません。
動脈硬化
   動脈硬化が若い時期から強く起こり、心筋梗塞や脳卒中を起こすこともあります。

糖尿病と症状が似ている病気は?
喉が渇く
   糖尿病になると喉が渇くようになります。
 健康な人でも、塩分を摂りすぎたり、気温の高いところにいたり、汗をかいたりすれば喉が乾きます。
尿崩症
   尿がたくさん出る尿崩症という病気もあります。
 抗利尿ホルモンの不足によって起きる病気で、非常に薄い尿を大量に出す病気です。
脊椎の変形やウイルスによる炎症
   末梢神経の変化は脊椎の変形や、ウイルスによる末梢神経の炎症でも起こります。
早期診断で
   以上に上げた病気と、糖尿病を区別することは、専門医にとっては難しくありません。
 大人でも、子供でも、意識を失うことは、何か重大な病気を意味しますので、そのような時はすぐに診断・治療をすることが大切です。 
糖尿病か低血糖か
   糖尿病性の昏睡か、低血糖症による昏睡か、医師のみでなく家族の人たちも頭の片隅に入れておくことが大切です。
 血糖値を測り、早期診断と早期治療をすることが大切な病気です。

糖尿病の診断は?
尿検査
   多くの場合、尿検査をしたり、健康診断のときに見付かります。
 特徴は血中ブドウ糖濃度が慢性的に高くなることで、診断は血中ブドウ糖を測定することによって行われます。
胃の手術後は一時的に血糖値が高くなる
   胃の手術をした人では、食後にかなり血糖値が高くなったり、尿糖も出たりしますが、一時的なもので、糖尿病ではありません。
血糖値による診断
   何度か測定した血糖値が1dl中200mgを超えていれば、糖尿病といって良いと考えられます。
 朝の空腹時に測定して、血糖値が1dl中126mgを超えていることが複数回あれば、糖尿病といって良いと考えられます。
 75gのブドウ糖を飲んで、2時間後の血糖値が1dl中200mgを超えることが複数回あれば、糖尿病と診断されます。
境界型
   糖尿病でない人と、糖尿病の人との間には境界型という分類があります。
 糖尿病の前段階、予備軍という考え方がありますが、全部が全部そうだとは言い切れません。
合併症にも注意
   体内では、糖質だけでなく、脂質、たんぱく質の働きにも大きな変化があり、全身の代謝をおかす大変な病気です。
 自覚症状が軽いので放っておかれることが少なくありませんが、発見されてから何もしないで放置して、5年、10年たってから診察を受けると、すでに網膜に変化をきたしていたり、尿に蛋白が出ているなどの合併症が見付かります。
 糖尿病と言われたら、すぐに受診し、きちんとした指導を受けましょう。

糖尿病の治療法は?
食事療法
   性別、年齢、肥満度、活動量、血糖値、合併症の有無などを考慮し、1日のエネルギー摂取量を決めます。
 決められたエネルギー摂取量内で糖質、蛋白質、脂質のバランスを取り、ビタミン、ミネラルも摂取して、栄養素の過不足ない状態にします。食事は朝、昼、夕ほぼ同じカロリーを摂取します。
運動療法
   散歩では1回15分〜30分間、1日2回が適当です。1日7000歩を目指しましょう。
薬物療法
  SU剤(スルフォニル尿素剤)
     ランゲルハンス島のβ細胞からのインスリン分泌促進作用があります。
  速効性インスリン分泌促進薬
     SU剤と同様にβ細胞からインスリン分泌を促進しますが、速効性があります。食後の高血糖の改善に有効です。比較的発症早期に効きめがあります。
  BG剤(ビグアナイド剤)
     消化管から糖吸収の抑制、末梢組織でのインスリン感受性の改善などにより血糖低下作用を発揮します。
  α-グルコシダーゼ阻害剤
     腸管からの糖吸収抑制作用により食後高血糖い効果を発揮します。
  インスリン抵抗改善剤
     インスリンの抵抗性を改善します。
  インスリン
     ペン型注射器の開発によって、インスリンが使用しやすくなりました。
緊急時の治療法
   糖尿病性昏睡(ケトアシドーシス性昏睡)、非ケトン性高浸透圧性昏睡は糖尿病患者が治療中に発熱、下痢、嘔吐などをしたり、食欲不振で食事ができない時に起こることがあります。こうした時はすぐに主治医の指示を受ける必要があります。持続インスリン注入、大量輸液などが必要になります。
 低血糖時は砂糖や糖分を含んだものを摂取します。経口摂取が不可能の場合は砂糖を歯肉の間に塗りつけ、なるべく早く病院に行ってグルコース注射を受けます。場合によっては家族にグルカゴンの筋肉注射をしてもらうこともあります。

糖尿病かなと思ったら?
頻尿
   夜中、トイレに何回も起き、そのたびに大量の尿が出るのは、糖尿病を疑いましょう。
 疲れやすい、痩せるということは他の病気でもあります。しかし、喉の渇きと一緒に出てきた時は糖尿病が疑われます。
中年太り
   中年太りの人に、糖尿病が現れることは少なくありません。
 若い頃はスマートだったのに、少し腹が出てきたと感じたり、20歳頃よりも10kg以上も太ってきた時は注意が必要です。
糖尿病の家系は定期チェック
   糖尿病は遺伝が関係してきますので、家族の中に糖尿病の人がいる場合は、定期的に血糖値の検査を受けましょう。
日本人の4人に1人
   日本では4人に1人の人が、糖尿病にかかる素質を持っていると推定されています。
 現在、大変な勢いで増加している疾患で、高血圧、ガンなどと共に、最大の国民病の1つとなっています。
1型は少ない
   突然の昏睡で始まる1型糖尿病は、日本では少ないです。欧米の10分の1〜40分の1程度です。
早期発見、早期治療がもっとも大切
   糖尿病の治療には、早期発見、早期治療がもっとも大切です。そして、継続治療が大切です。

糖尿病参考サイト
参考ページ
  家庭の医学:子供の糖尿病とは?
家庭の医学:糖尿病網膜症とは?
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