そらいろネット > プロフィール > 小説 > 突然の使者
 突然の使者
mixiチェック このエントリーをはてなブックマークに追加
小説のようなモノ

 「おーい、村長はいるかー。」
 どこか遠くから聞きなれない叫び声が聞こえてくる。
 「おーい、誰もいないのかー。」
 農作業をしていた近くにいた村の女が、渋々と見慣れない男のもとに向かっていった。

 その夜、隣に住んでいるミナミがいつものように元気な声で僕の家にやってきた。
 「こんばんは。」
 「あら、いらっしゃい。ほら、ちーず、お隣のミナミちゃんが遊びにきたよ。」
 ミナミは小さく首を振り、母親に話を続けた。
 「ううん、今日は違うの。ムラオサが村の集会場に集まれだって。それで呼びに来たの。」
 「そうだったの、ありがとう、ミナミちゃん。同い年だっていうのに、うちの息子ときたら、ほら、あのとおり。」
 そういって二人は同時に僕のほうに目線を向けた。それにつられて、父親と姉も、僕のほうに目線を向けた。僕は黙々と土をこねていたのだが、とっさに後ろに隠してしまった。
 僕はなにもいえず、うつむいていた。ちーずはこの村では、まだ一人前の男として認められていなかった。この村では、ムラオサから畑を与えられ、それを耕し、一定以上の収穫に成功し、そして初めて一人前だと認められる。しかし、ちーずは病弱であるため農作業のできる日が少なく、ムラオサから畑を与えられてはいなかった。父親が与えられた畑の一部を借り、花を育てていた。村の誰よりも大きく鮮やかな花を咲かせるため、村の女や、贈答品に使おうとする村の男からはとても評判が良かった。
 僕の顔を覗き込むようして、ミナミが一言、
 「ねえ、ちーず。私、先に行って待ってるからね。」
 そういって、集会場に小走りで向かっていった。きっと、家族は先に集会場に向かっているのだろう。

 「ほら、行くわよ。」
 と、母親がすぐに立ち上がり集会場へ向かおうとしていた。
 「う、うん。着替えるから・・・」
 そういって、もぞもぞと着替え始めるが、そこで姉がきつくいってきた。
 「なにやってんの。着替えたって同じでしょ。」
 「う、うん。」
 僕は急いでズボンを履き替えた。人から見ればどちらもボロボロのズボンだったが、室内用と、外出用とで、使い分けていた。
 着替えていた僕を置いて家族は先に行ってしまったので、僕も急いで集会場へ向かった。
メインコンテンツ
 ・家庭の医学
 ・身近な植物図鑑
 ・身近な昆虫図鑑
 ・身近な野鳥図鑑
 ・身近な貝殻図鑑
 ・身近な生き物図鑑
 ・ベランダ園芸
 ・三浦半島観光地図
 ・大人の塗り絵
 ・ゲーム情報局
 ・日記
 ・コミュニティー
スポンサードリンク


  プロフィール-小説のようなモノ  
時代背景・登場人物 そらいろネット 村の集会
Copyright そらいろネット(ちーず。) All right reserved