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捻挫

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捻挫(ねんざ)の概要は?

おもな症状

 

外傷後の関節の腫れ・圧痛
動かした時の痛み

似ている病気

 

剥離骨折(はくりこっせつ)
関節内骨折
打撲

起こりやすい合併症

 

関節血腫(かんせつけっしゅ)
動揺関節(どうようかんせつ)
遷延(せんえん)する運動時痛


捻挫ってどんな病気?

たくさんの関節がある

 

イメージ画像 人の身体の中には、一般の人の想像をはるかに超える数の、多数の関節が存在します。
 四肢の関節の中には、肩、膝(ひざ)、足など、誰もが関節と認識するものがあります。この他にも、動きが小さいために目立たない関節が多数あります。背骨を構成するひとつひとつの椎骨(ついこつ)の間も、すべて関節になります。
 関節は、骨、骨と骨を繋ぐ靭帯、関節を包んでいる袋の関節包などの支持組織から構成されています。それぞれの関節は、形態や支持組織の構造によって決まっています。

靭帯によって支えられる関節

 

 関節がズレないように、骨と骨との間を繋ぎ止め、関節の動きをコントロールするとても重要な組織が靭帯(じんたい)です。
 大半の関節は、複数の靭帯によって、さまざまな方向から支えられています。

捻挫の重傷度

 

 捻挫の重傷度を左右するのは、靭帯の損傷の程度です。
 靭帯は、受けた外力の大きさ、方向によって、伸びたり、切れたりします。
 もっとも軽い捻挫は、靭帯を構成する線維の一部が切れたり、伸びたりするものです。重い捻挫では、複数の靭帯が完全に断裂するようなものもあります。
 重症例では、靭帯が断裂する際に必ず関節のズレをともなうので、○○○靭帯損傷という具体的な外傷名が付けられます。

骨折を伴わない靭帯損傷

   捻挫は、靭帯断裂まで至らない程度の、靭帯損傷がメインの外傷です。
 骨折をともなわないものとするのが一般的です。

捻挫の原因は?

ほとんどが外傷

 

イメージ画像 捻挫の原因のほとんどすべて、外傷によるものです。
 事故、スポーツ、下駄やハイヒールでの歩行中、階段を踏み外した時などに起こります。
 すべての関節に起こる可能性がありますが、捻挫をもっとも起こしやすい関節は、足関節(そくかんせつ)です。

捻挫・脱臼・亜脱臼

 

 関節が不自然な外力によって、本来動ける範囲を超えて曲げられたり、伸ばされたりした時に発症する靭帯や関節包(かんせつほう)の損傷が、捻挫(ねんざ)や、脱臼(だっきゅう)です。
 関節を構成している相互の骨と骨との間に、ズレのないもの、関節が正しい位置にとどまっているものをを捻挫と呼びます。
 関節の骨と骨が、多少なりともズレがしょうじているものを脱臼、もしくは亜脱臼(あだっきゅう)と呼びます。


捻挫の症状は?

関節の痛みと腫れ

 

イメージ画像 受傷した関節の種類、靭帯損傷の程度によって、症状は多様です。
 一般的には、関節の痛み、押すと痛い圧痛、腫れ・腫脹(しゅちょう)がみられます。これらの症状は、捻挫の重傷度(靭帯損傷の程度)に比例します。捻挫した方向に関節を動かすと、痛みが強まります。腫れ以外の変形はありません。
 ときには内出血が起こり、しばらくしてから関節周囲の腫れた部分が紫色になる皮下出血(ひかしゅっけつ)がみられます。
 皮下出血が顕著な場合、靭帯が断裂している可能性があるため、自己診断はせず、必ず専門医の診断を受けるようにしてください。

適切な治療を受けなかった時

 

 断裂した靭帯が修復されないまま経過すると、関節にゆるみが残ります。このため、続発症が出る可能性もあるので注意が必要です。


捻挫の診断は?

画像検査

 

イメージ画像 単純エックス線検査が有効です。骨折、関節のズレの有無を調べることができます。
 関節の不安定性の程度を検査するため、わざと負荷(ストレス)を加えてエックス線検査を行うこともあります。

MRI検査

 

 単純エックス線検査では靭帯そのものは映らないため、靭帯の損傷を調べるためにはMRI検査が必要になります。
 MRI検査は、近年になって多くの外傷や障害の補助診断に使用されるようになりました。特に、膝関節(ひざかんせつ)の靭帯損傷に対しては、必須とも言える検査です。


捻挫の治療法は?

手術を行わない保存的治療が基本

 

イメージ画像 捻挫の治療法は、原則として保存的療法・非手術的療法によって治療されます。

関節の動きを抑制

 

 治療法は捻挫の重傷度によって異なります。
 捻挫よりも重い靭帯の完全断裂に対する治療法は、受傷した関節、患者さんの年齢、職業、スポーツをするかどうかなど、さまざまな因子によって適切な治療法が選択されます。

保存的治療

 

 一般的には、弾力包帯、テーピング・絆創膏(ばんそうこう)、装具などによって関節の動きを制御することが基本となります。重傷度によって、必要な期間固定します。
 関節を固定することで、多くは痛みがなくなりますが、抗炎症鎮痛薬、抗腫脹薬も用いられます。関節血腫がある場合、針を刺して中の血液を取り除くこともあります。

ギプスによる固定

 

 ギプスによる完全な固定が必要になることもあります。しかし、長期にわたるギプス固定の適応は、限られています。
 長期にわたる関節の完全固定は、正常な靭帯の修復過程を阻害したり、関節軟骨にも悪影響を及ぼすという学説もあります。

固定期間終了後

 

 固定期間終了後は、積極的に機能訓練を行います。

スポーツ選手の場合

 

 損傷した靭帯の縫合術、再建術など、手術的治療が必要になることも多くあります。


捻挫かなと思ったら?

整形外科へ

 

イメージ画像 捻挫が疑われる時は、運動をただちにやめて、局所の安静を図ります。
 骨折や脱臼の可能性もあるので、整形外科か外科を受診し、適切な検査・診断と、計画的な治療を受けてください。
 素人判断をして適切な治療を受けずに経過すると、関節のゆるみなどが生じる場合があります。特に皮下出血が見られる場合、靭帯の断裂が考えられるため、必ず専門医の診察を受けてください。


捻挫の応急処置は?

RICE療法

 

イメージ画像 受傷直後は、腫れ・腫脹、内出血が高度になることを止め、関節痛を長引かせないために重要になります。頭文字をとって、RICE療法と呼ばれます。
 約20分間、氷嚢や保冷剤などを当てて、患部を冷やしてください。

RICE療法
局所の安静「Rest」
冷却「Icing」
圧迫「Compression」
患肢(かんし)の高挙(こうきょ)「Elevation」

 同時に、骨折の疑いがなくても、関節が動かないように副木(ふくぼく)などで固定してください。捻挫した方向とは逆方向に関節をやや曲げて固定し、伸縮包帯を巻いて関節を固定します。

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