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凍傷


凍傷ってどんな病気?

皮膚の低温傷害

 

イメージ画像 高温の場合でなくとも、低温でも組織の障害が起こります。
 極端に寒冷による皮膚、皮下組織の障害を凍傷(とうしょう)と呼びます。凍傷も熱傷に類似した皮膚の物理化学的障害だといえます。
 その傷害の程度は、風力、湿度、曝露時間、服装などが関係してきます。風力が強い、湿度が高い、曝露時間が長い、服装が軽装の場合、凍傷になりやすくなります。また、栄養状態の悪い人、高齢者は凍傷になりやすく、アルコール、過労は発症を促進します。

手・足・鼻・耳に多い

 

 通常では、凍傷は寒冷地などで長時間低温にさらされることによって、組織が凍結し、さらに解凍することによって組織の傷害が起こります。
 このような場合には、皮膚のみでなく、皮下組織や血管など、深部組織にも傷害が及ぶのが一般的です。
 凍傷は体のどの部位にも起こりますが、手、足、鼻、耳が傷害を受けやすい部位となります。

冷たい金属との接触でも

 

 血液の凝固、血管の収縮・閉塞なども関係すると考えられています。冷たい金属との接触でも、部分的な凍傷を起こすことがあります。

しもやけ

 

 しもやけは、医学の世界では「凍瘡」(とうそう)と呼びます。凍傷は組織の凍結をともないますが、組織の凍結をともなわない場合には凍瘡と呼ばれます。
 広義には、凍瘡も凍傷に含まれます。


凍傷の症状は?

皮膚の温度

 

イメージ画像 組織が冷気にさらされると、まず血管が収縮します。
 皮膚の温度が25℃まで下がると、組織の活動に必要な酸素が不足してしまい、チアノーゼ(暗紫色)状態となります。
 皮膚の温度が15℃まで下がると、逆に肌の色はピンク色になります。このころから組織の傷害が始まります。
 皮膚の温度は-4℃まで下がると、凍傷が起こります。組織の水分が氷結し、シャーベット状になった状態といえます。

自覚症状

 

 自覚症状は、ピンや針など鋭利なもので突かれたような感覚から始まります。その後、しびれを感じるようになり、さらに進行すると皮膚は白色で蝋のような色になり、硬くなって、感覚がなくなります。
 この状態で傷害部を温めると、水疱・水ぶくれ・腫れが起こります。軽い凍傷の場合はそのまま回復しますが、多くの場合は傷害部分は赤色、青色、黒色に変色し、びらん、潰瘍、焼けるような痛みを感じるようになります。

4段階に分類

 

 凍傷は組織傷害深度によって4段階に分類されます。1度、2度の凍傷は表層性凍傷と呼び、3度、4度の凍傷は深部凍傷と呼びます。
 1度では、発赤、浮腫・むくみがあらわれます。
 2度では、発赤、水疱・水ぶくれ、びらんがあらわれます。
 3度では、壊死(えし)が起こります。
 4度では、四肢の先端の脱落がみられます。

分類 傷害組織 症状
1度 表皮 発赤、腫脹
2度 真皮まで 浮腫、水疱
3度 皮下組織まで 壊死、潰瘍
4度 骨まで 筋肉や骨の壊死

患部を切断することも

 

 傷害が皮膚とその下の皮下組織にとどまっていれば、治療によって完全に元の状態に回復させることができます。
 しかし、血管が傷害を受けてしまうと、傷害は不可逆的なものになり、壊疽(えそ)を起こして、患部を切断しなければならないこともあります。


凍傷の診断は?

重症度の検査

 

イメージ画像 -4℃以下の凍結温度に曝露されたか、あるいは慢性的な寒冷刺激に曝露されたかで、凍傷か凍瘡かの診断を行います。
 凍傷では、外表面から深部組織の傷害の程度を正確に診断することは困難です。ドプラー、レーザードプラーによる血流検査、サーモグラフィ、MRIなどの検査を行い、壊死組織の広がりや深度を検査します。
 できるだけ早く、40℃〜42℃程度のぬるま湯で患部を温める必要があります。壊死が起これば、除去手術や、四肢の切断の必要がある場合もあります。


凍傷の応急処置は?

ぬるま湯に浸す

 

イメージ画像 傷害部位を決して熱くないようにぬるま湯に浸します。15分〜30分ほど温め、温かいお湯を注ぎ足して、お湯の温度を保つようにします。
 耳、鼻、頬などの場合は、温かい布をあてがうようにします。
 傷害部位を擦ったり、マッサージ、動かして温めるようなことは、組織の損傷を生じるので行なわないようにします。

やがて焼けるような痛みを感じる

 

 1度、2度の凍傷では感染予防、血行回復に主眼をおきます。3度、4度の凍傷では、感染防止、血行回復のほか、適切な外科的処置が必要となります。
 温めているうちに、焼けるような痛み、腫れ、変色が始まります。強い痛みが生じるので、鎮痛薬を使用した方が良いでしょう。
 皮膚が軟らかくなり血色が戻ったら、温める必要はありません。

低体温の確認

 

 凍傷の場合では、通常は全身も冷えて、低体温の状態になっています。
 低体温かどうかを必ず確認するようにします。まず寒気を避けて温かい場所に移し、貴金属類、濡れた衣類はすべて取り除きます。全身を温める処置が必要となります。温かい飲み物を飲ませるのも効果があります。


凍傷かなと思ったら?

それぞれの専門

 

イメージ画像 凍傷では、外科が専門になります。
 凍瘡・しもやけは、内科、あるいは皮膚科が専門になります。
 全身性低体温だと思われる場合は、すぐに救急車を呼んで治療を受けてください。

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