そらいろネット > 家庭の医学 > 外傷・怪我 > こぶ・頭部軟部組織損傷
通称、コブ(瘤)、またはタンコブ。医学の世界では、頭部軟部組織損傷と呼びます。頭部の閉鎖性損傷と呼ぶこともあります。
頭部で重要な臓器は頭蓋骨で守られている脳です。頭蓋骨の外側である頭部軟部組織損傷は、基本的には手足の打撲とかわりません。 内出血、打撲による浮腫・むくみなどのために腫れてコブになります。通常は特に治療の必要もなく、数日でコブが消えるとともに痛みも引いてきます。
頭皮は血管が多いため、頭皮が破れて出血すると、しばした多量の出血となります。小児の場合は、出血性ショックになることもあるので注意が必要です。頭部CT検査で異常がなければ、傷の消毒と縫合で治療します。 受傷部位に泥や砂などの異物が混入している場合もあるため、清潔なタオルやハンカチで受傷部位を押さえて専門医の診察を受けるようにしましょう。 傷を受けた原因や傷の状態によって、挫創、切創、刺創、裂創などに分類されます。 頭蓋骨骨折を起こして脳実質と傷口とが繋がっている状態を、穿通性損傷と呼びます。
頭部の構造は、脳が頭蓋骨という入れ物に入っている状態と言えます。 頭蓋骨よりも外側を頭蓋外(ずがいがい)と呼び、頭部軟部組織が覆っています。頭蓋骨よりも内側を頭蓋内(ずがいない)と呼び、脳が髄膜に包まれた状態で存在します。 脳に対して影響を及ぼす頭蓋内の損傷の有無が、頭部外傷では問題になります。
髄膜は外側から、硬膜(こうまく)、くも膜、軟膜(なんまく)の3層構造になっています。 硬膜は頭蓋骨の内側にピッタリと張り付いていて、厚紙のようにしっかりとした膜です。くも膜は薄くて弱い膜で、ピンセットでつまむだけで破れてしまいます。軟膜は脳の表面そのもので、剥がすことはできません。 くも膜よりも内側は、無色透明の脳脊髄液(のうせきずいえき)で満たされています。
頭皮は外側から順に皮膚、皮下組織、帽状腱膜、骨膜からなり、その下には頭蓋骨があります。 血腫が存在する部位によって皮下血腫、帽状腱膜下血腫、骨膜下血腫に分類することができます。普通のこぶは皮下血腫で、帽状腱膜下血腫や骨膜下血腫は特殊なこぶです。 皮下血腫は小さい場合が多く、帽状腱膜下血腫、骨膜下血腫は大きく、触診するとブヨブヨしています。 触るとその部分が陥没しているように感じることもありますが、頭蓋骨陥没骨折ではありません。
骨膜は頭蓋骨の縫合部で強く癒着しています。そのため、骨膜下血腫が頭蓋骨縫合部を超えることはありません。そのため、頭蓋骨縫合部を超える帽状腱膜下血腫と区別することができます。 骨膜下血腫は出産時に生じることもあり、この場合は頭瘤(とうりゅう)と呼ばれ、ときに石灰化する場合もあります。
激しい頭痛
繰り返す嘔吐 (1回〜2回の嘔吐なら、その後元気であれば問題ない)
元気がなく、ウトウトしてしまう (泣き疲れて寝てしまうような子供は、15分〜30分毎に起こして変事があれば問題ない)
手足の動きや話し方の異常
痙攣発作 (手足をガクガク動かす、手足をピーンと突っ張る、話しかけても反応がない)
小さな皮下血腫の場合、数日で消失するので、経過観察のみで良いと考えられます。
帽状腱膜下血腫、骨膜下血腫の場合は吸収されるのに時間が必要です。特に骨膜下血腫の場合、石灰化の傾向も認められるため、専門医の診察を受ける必要があります。 脳神経外科で細い針を刺して血腫を抜き、圧迫して血が溜まらないようにする処置が必要になることがあります。この処置は、数回、繰り返す必要がある場合もあります。
受傷直後は、冷たいタオルなどで冷やした方が、腫れ・こぶが軽くなることがあります。また、痛みも軽くなることがあります。 腫れや痛みがある間は、スポーツは控え、入浴は短時間で済ませます。