そらいろネット > 家庭の医学 > 循環器の病気 > 急性心不全・心臓喘息
激しい呼吸困難が急に起こり、横になることができなくなり、唇が紫色になる 多量の泡状の痰 桃色、あるいは錆色の痰が出る 咳き込んでゼーゼーする(心臓喘息) 頸の静脈が怒張する
気管支喘息 呼吸器感染症
不整脈 急死
心臓のポンプとしての働きが急速に低下し、全身の血液の流れが滞りうっ血した状態のことをいいます。
心臓のポンプ機能のうち、肺から血液を吸い上げる力が低下することで、肺胞(はいほう)の中に液体がしみ出してたまり、血液がうっ血します。こうなると酸素交換が悪くなることから、呼吸困難になります。 同時に、全身に血液を送り出す機能が低下するので、唇や皮膚が紫色に変色するチアノーゼが起こります。
血圧が低下する状態は、心原性ショック(しんげんせいしょっく)と呼ばれ、適切に治療をしないと生命の維持が困難になります。
もっとも多い原因疾患は、急性心筋梗塞(きゅうせいしんきんこうそく)などの虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん)です。 そのほかの原因としては、拡張型心筋症(かくちょうがたしんきんしょう)、心臓弁膜症(しんぞうべんまくしょう)、高血圧性心疾患、先天性心疾患、甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)などがあります。
急性心筋梗塞では、突然に発症することが多いです。 そのほかの病気では、慢性に続いている心不全が急速に悪化して、急性心不全になることがあります。これは、慢性心不全の急性増悪(きゅうせいぞうあく)と呼ばれます。 このような場合、心不全を悪化させる誘因が働きます。
誘因として多いのは、風邪などの感染症、不整脈、肉体的・精神的ストレス、過剰な飲水・飲食、薬の飲み忘れ、不適切な薬の投与などです。 甲状腺機能亢進症、貧血、妊娠などが誘因になることもしばしばあります。
激しい呼吸困難で発症します。 同時に、咳と痰が出ます。泡のような痰で、ときにピンク色になることもあります。
呼吸困難は、上半身を起こした半座位(はんざい)の姿勢で楽になります。仰向けの仰臥位(ぎょうがい)で悪化します。 唇が紫色になり、手足は冷たく、全身に冷や汗をかきます。脈拍が速くなり、動悸を訴えることもあります。 このような状態が急速に出現し、悪化していくのが、急性心不全の一般的な症状です。
急性心筋梗塞では、胸痛、胸部圧迫感があらわれます。
心臓喘息は、急性心不全のひとつです。ゼーゼーと咳き込む症状が現れます。 肺うっ血のため、気管支が圧迫されることが原因で、喘息と良く似た症状が現れます。
急性心不全の治療は一刻を争うため、診断と治療が同時に並行して行われます。 まず、胸部X線検査、心電図、心エコー(超音波)、血液検査が行われます。
まず、半座位をとります。 酸素吸入を始め、利尿薬、血管拡張薬、強心薬を投与します。
呼吸の状態が非常に悪い場合は、気管内挿管をして、人工呼吸を行います。利尿と共に、呼吸は楽になります。 同時に、原因となる急性心筋梗塞、不整脈(ふせいみゃく)などに対する治療が行われます。
一刻も早く、専門医のいる救急病院に入院する必要があります。 呼吸の状態が悪い場合は、迷わず救急車を呼び、搬送を依頼しましょう。
退院後、再発予防のために、塩分と水分の過剰摂取を避けます。また、飲酒は避け、過食にも注意します。 休養と睡眠は十分にとりましょう。
医師の指示に従って安静を守り、内服薬による治療を継続します。 また、医師と相談して、可能な範囲で応急処置の準備をしておくとよいでしょう。