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顎関節脱臼ってどんな病気? |
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顎が外れた |
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顎関節を構成する下顎の関節部分である下顎頭(かがくとう)は、口を開ける時に前下方に滑走運動します。
開口運動の末期から、下顎頭が元に戻れない状態に陥ることを顎関節脱臼と言います。一般的には、「顎が外れた」と表現されます。
顎が外れると、自己整復が不可能になります。
女性は男性に比べ下顎窩(かがくか)が浅いため、男性よりも脱臼しやすい傾向があります。 |
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習慣になりやすい |
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脱臼整復後も容易に再脱臼を繰り返すようになることがあり、これを習慣性顎関節脱臼、習慣性脱臼と呼びます。一般的には、「癖になりやすい」と表現します。
整復後に長期間の固定を行うことが困難なため、損傷した軟部組織が十分に治癒せず、脱臼が再発しやすくなってしまいます。 |
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顎関節脱臼の原因は? |
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骨の異常や口を大きく開けた時 |
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顎関節を構成する側頭骨(そくとうこつ)の形態に異常がある場合、顎が外れやすくなります。
長時間、または突然、大きく口を開けたことによって、関節周囲の関節包構造が緩んで、顎が外れることがあります。大きなあくびをしたり、歯医者での治療中に顎が外れることもあります。歯医者で治療中の場合、ほとんどの歯科医はその場で徒手整復する技術を持っています。 |
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顎関節脱臼の症状は? |
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開いた口が塞がらない |
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顎関節脱臼の多くは、下顎頭が前方に脱臼する前方脱臼です。
口を閉じることができない状態になり、脱臼関節の痛み、よだれ・流涎(りゅうぜん)がみられます。会話もできません。耳の前がくぼんで、頬骨の下に脱臼した下顎頭が膨らんで突出した状態になります。
時間の経過とともに閉口可能となりますが、著しい咬合異常(こうごういじょう)を示し、咀嚼(そしゃく)が困難になります。
片側性、または両側性に発生することがあります。 |
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後方脱臼や側方脱臼 |
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スポーツや交通事故などで、下顎に外的ショックを受けた時に発生するのが後方脱臼や、側方脱臼です。
日常生活上での発生頻度は少ないですが、顎関節周囲に骨折をともなうことが多く、前方脱臼に比べると重症化する傾向があります。 |
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顎関節脱臼の診断は? |
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臨床症状とエックス線検査 |
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臨床症状と単純エックス線検査で診断できます。
手術を前提とした慢性顎関節脱臼、習慣性顎関節脱臼に対しては、術前検査の一環としてCT検査などを行います。 |
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顎関節脱臼の治療法は? |
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徒手整復 |
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発生後の時間経過が短ければ容易に徒手整復が可能です。
整復は患者さんの頭位を安定させ、術者の拇指を患者さんの下顎臼歯部上に置き、押し下げつつ、患者さんの下顎を後方へ誘導します。
整復完了後は、再脱臼防止のため弾性包帯で固定などを行い、患者さんに顎運動の制限を指示し、数日間の経過観察を行います。
整復後は痛みもなくなり、顎も普通に動かすことができるようになりますが、習慣性脱臼を予防するため、10日間〜2週間程度は顎の運動を控えるようにします。 |
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手術が必要なことも |
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顎関節脱臼を放置して慢性化した場合、関節構造の器質的変化によって保存的整復は困難になります。このような場合は、手術などの外科的整復が必要になることもあります。
習慣性脱臼で脱臼を繰り返し、みずから整復してしまう人もいますが、手術が必要になる場合もあるので専門医の診察を受けるようにしてください。 |
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顎関節脱臼かなと思ったら? |
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口腔外科へ |
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早急に口腔外科専門医の診察を受けることが最良の選択肢です。耳鼻咽喉科、整形外科でも治療可能です。 |
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