日本の民間信仰で、庚申の日に神仏を祀って徹夜をする行事のことを庚申待、宵庚申、おさる待ちと言います。村単位などの集団で行われ、その集りのことを庚申講、庚申会、お日待ちなどと言います。
中国の道教の伝説に基づいています。
人間の頭と腹と足には三尸(さんし)の虫がいて、つねにその人の悪事を監視しているとされています。三尸の虫は庚申の日の夜の寝ている間、天に登って閻魔大王に日頃の行いを報告し、罪状によって寿命が縮められたり、死後に地獄・餓鬼・畜生の三悪道に堕とされると言われています。三尸の虫が天に登れないようにするため、この日の夜は村中の人達が集まって神々を祀り、囲炉裏を囲んで寝ずに酒盛りなどをして夜を明かしました。
60日に1回、庚申(かのえさる)の日が巡ってくるので、その日に行います。男性が中心になって行われる行事ですが、庚申様は月のモノや出産の汚れを嫌うとされているので、女性は食事の準備や片付けを行いました。
庚申待を3年18回続けた記念に建立されたのが庚申塔です。三浦半島では特に多く残っています。
本では平安時代から公家や僧侶によって行われ始め、すごろくや詩歌管弦を楽しんでいました。『枕草子』にも庚申待の話が登場する。
江戸時代になると、民間にも浸透していきました。
現在では庚申信仰は廃れてしまいましたが、今でも行っている地域もあります。
庚申待では徹夜で過ごさなければならないので、顔にスミを塗ったり、胡椒をかけたり、太鼓を叩いたりなども行っていました。籠城中の兵士達も庚申待を行っており、カフェインが入っている茶を飲んで眠らないようにしていました。
仏教では、庚申の本尊は青面金剛か帝釈天とされています。
神道では猿田彦神とされています。庚申の「申」が、猿田彦の猿と結び付けられたものと考えられています。また、猿は庚申の使いとされ、庚申塔には「見ざる、言わざる、聞かざる」の三猿が彫られています。山王信仰・三猿信仰は、ここから生まれました。
|