いつもと変わらぬ風呂上り、何やら聞き慣れない動物の声が聞こえてきました。不思議に思った私は部屋を覗き込んでみると、愛犬とそっくりな顔をしたアヒルがいました。
とっても可愛い顔をしていて、とっても懐かしい感じがして、嬉しくて抱き締めてしまいました。どうしてアヒルを飼い始めたのか聞いてみたら、愛犬が死んでからずっと、塞ぎ込んでいる私の姿を見て、アヒルを飼うことにしたと言っていました。
その後もアヒルとたくさん遊び、遊んでいるうちに、顔も仕草も姿までも、愛犬そっくりに変わってきました。両親はアヒルらしく育てようとして、アヒルのポーズをさせて座らせたりしていましたが、もう完全に翼の生えたゴールデンレトリバーです。
一緒にベランダで過ごしていると、愛犬の姿をしたアヒルは、翼を大きく広げて空高く走って行ってしまいました。愛犬の姿は輝いていて、まるで天国へと昇っていく天使のようでした。また愛犬に戻ってきて欲しいと思って、愛犬を追い駆けるように自分もベランダから飛び立ちましたが、そのまま落下し足の骨を骨折してしまいました。
目が覚めた時、寂しくて、悲しくて、涙が止まりませんでした。
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