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 乗り物酔い・動揺病

乗り物酔い・動揺病の概要は?
おもな症状
  頭重(ずじゅう)
生あくび
脱力
吐き気
嘔吐

乗り物酔い・動揺病ってどんな病気?
乗り物酔いとは
   乗り物に乗っている過程で、むかつき、冷や汗、顔面蒼白、吐き気が起こります。最終的には嘔吐にいたる状態をいいます。
 飛行機、電車、自動車、船舶、遊園地の遊具などで、乗り物の原因で内耳にある三半規管が体のバランスを取れなくなって体に諸症状があらわれます。
動揺病・加速度病
   一般的には「乗り物酔い」と呼ばれますが、医学的には動揺病、または加速度病と呼ばれます。

乗り物酔い・動揺病の原因は?
内耳のはたらき
   乗り物酔いには、内耳のはたらきが深く関係していることがわかったのは、比較的、近年になってからのことです。
連続的な揺れとその他の刺激
   船、自動車、電車、飛行機などに乗っていると、連続的な揺れ(加速度刺激)が内耳に加わります。この刺激と、眼に映る周囲の景色などの視覚刺激、体の筋肉で感じる知覚などとの調和がとれなくなります。その結果、感覚に混乱が生じて、乗り物酔いが起こると考えられています。
 乗り物の種類によって、船酔い、車酔い、飛行機酔い、宇宙酔いなどと呼ばれますが、原因はみな同じです。
4条件
   睡眠不足、空腹、急ブレーキ・急発進、読書の4条件が揃うと、大人でも多くの人が乗り物酔いを起こすといわれています。
 発症には内耳と視覚への刺激だけでなく、睡眠不足、胃腸障害、不安感などの心理的要因も内的因子として重要です。

耳石器・半規管とは?
平衡感覚を感知する器官
   耳には音を聞くはたらきのほかに、体のバランスをとる「平衡感覚」の役割があります。
 耳の平衡感覚を感知する器官として、耳石器(じせきき)、半規管(はんきかん)があります。
耳石器
   耳石器は2つあり、卵形嚢(らんけいのう)は水平、球形嚢(きゅうけいのう)は垂直に位置しており、この2つの袋の中に、リンパ液と炭酸カルシウムでできている耳石という小さな石が入っています。
 耳石器の内部は薄い膜で覆われていて、その奥に有毛細胞という細かい毛の生えた感覚細胞があります。耳石がリンパ液の中を動くと、有毛細胞の毛が刺激されて位置を感知することができます。卵形嚢は水平方向の動き、球形嚢は垂直方向の動きを感知します。
半規管
   半規管は、前半規管、後半規管、外側半規管の3つからなり、まとめて三半規管(さんはんきかん)と呼ばれます。
 半規管は3つの中空のリングから構成されており、内部は内リンパ液で満たされています。前庭の近くに膨大部(ぼうだいぶ)と呼ばれるふくらみがあり、そこには感覚毛を持った受容細胞があります。感覚毛の上にはクプラと呼ばれるゼラチン状のものが載っています。内リンパ液が動くことで、クプラが押され、感覚毛が曲がり、受容細胞が興奮します。頭部が回転すると、内リンパ液はしばらく静止したままなので、感覚毛が逆に曲がります。この情報と、視覚情報から、体が回転したと認識します。
 三半規管はそれぞれ別の面にあるため、あらゆる回転方向を認識することができます。これらの半規管はそれぞれ直角に交わっていて、X軸、Y軸、Z軸のように3次元空間の回転運動の位置感覚を感知します。

乗り物酔い・動揺病の症状は?
気持ち悪くなる
   最初は生あくびなどの症状から始まります。次第に気分が悪くなり、顔面が蒼白になり、冷や汗をかき、生唾(なまつば)が多くなり、吐き気がして吐いてしまうなど、自律神経症状がおもな症状です。頭痛、めまいも起こります。
 嘔吐を繰り返してしまい、脱水に陥ってしまったら、点滴による輸液の必要があります。
 高齢者、3歳以上の小さい幼児では、乗り物酔いになりにくいという特徴があります。男女を比べると、女性の方が酔いやすい傾向があります。
症状の現われ方
   小児期の場合、酔うというよりも、頭痛やバランスの障害の方が強くあらわれます。
 思春期を超えるころから、バランスの障害が弱くなる代わりに、酔いの程度が強くなります。
 乗り物酔いを嫌い、学童期の遠足が憂鬱になる子供も少なくありません(私も同じく憂鬱だったー)。
 また、初めて経験する乗り物の方が、良いやすい傾向があります。ですが、訓練された宇宙飛行士でも、宇宙酔いを起こします。学習効果もあり、バスの排気ガス、車内の匂いをかぐ、暖気に当てられるだけで乗り物酔い様症状があらわれる人もいます(私は車内の匂いだけで酔います)。
新しいタイプの乗り物酔い
   最近では、体は振動しなくても視覚的な刺激だけで酔ってしまう、ことがあることもわかりました。一般的には「3D酔い」などと呼ばれ、3Dのゲーム画面で視覚と三半規管の感覚が不一致を起こすため、乗り物酔いと同じ症状があらわれます。
 ニンテンドー64の007ゴールデンアイ、プレイステーションのキングスフィールドでは、多くのゲーマーが犠牲となりました。

乗り物酔い・動揺病の予防法は?
一般的防止法
   一般的な乗り物酔いの防止には、以下のようなものが効果的です。
 前日には睡眠をしっかりとる。
 服装はゆったりとしたものにする。厚着、ネクタイ、ベルト、体を圧迫する下着は避ける。
 乗り物に乗っている間は、頭を動かさず背もたれに頭をつけるようにする。
 近くのものを注視していると酔いやすいので、眼をつぶる、遠くをぼんやりと見るようにする。読書やゲームは避ける。
 早朝の出発の際は2時間〜3時間前から起きて、頭をスッキリとさせておく。
 出発前に腹八分目程度までの軽い食事をとる。
 揺れの少ない座席を選んで、深く座る。
 悪臭、高温、高湿度は避け、できるだけ窓を開けて風にあたる。
 歌をうたうなどして、乗り物酔いから気分をそらす。酔うことに意識を集中しない。
 自信を持ち、自己暗示をかける。
 酔いやすい人は、あらかじめ酔い止め薬(抗ヒスタミン薬)を飲んでおく。
電車・バスでの予防法
   電車、バスの場合、席が空いていれば、進行方向に向かうように座ります。
 座れなかった場合は、進行方向に向いて立ち、体を安定させるようにします。つり革の使用は、あまり良くありません。
飛行機の予防法
   飛行機の場合、外が良く見えないため、酔いやすい人はあらかじめ酔い止め薬を飲んでおくのがよいでしょう。成人では、少しアルコールを飲んで、寝てしまうのもひとつの手段です。
船舶の場合の予防法
   船の場合、キャビンの中にいるのは良くありません。船首に近いデッキに出て、遠方の水平方向を見るようにするとよいでしょう。
 しけの時は諦めて、酔い止め薬を飲んで寝るようにします。
自家用車の場合の予防法
   車の場合には、シートは固いものにして、後部座席に座り、シートベルトをしっかりと締めます。

乗り物酔い・動揺病の治療法は?
酔い止め薬の服用
   乗り物酔いで具合が悪くなってしまった場合、横になって頭を動かさないようにします。冷たい風に当たって、ベルトや衣類をゆるめ、安静にします。
 酔い止め薬があれば、それを飲んで寝てしまうのが最善の治療法です。
 症状が重い時には、乗り物から降りる以外に治療法はありません。予後は良好で、後遺症もありません。

乗り物酔い・動揺病の克服法は?
内耳を鍛える
   乗り物酔いを克服するためには、普段から運動をして、内耳が乗り物の動揺に対して強くなるように鍛えるしかありません。乗り物酔いを起こす乗り物に乗る機会を増やして、耐性をつけます。
 ブランコ、鉄棒、マット上での回転運動、ダンスなどのように、頭や体を激しく動かし、内耳を強く刺激するのが効果的です。
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