家庭の医学：精索捻転症・精巣捻転症とは？

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精索捻転症・精巣捻転症

精索捻転症（せいさくねんてんしょう）ってどんな病気？

	呼び名
	一般的には精索捻転症と呼ばれています。　他にも、精巣捻転症（せいそうねんてんしょう）、睾丸捻転症（こうがんねんてんしょう）、睾丸回転症（こうがんかいてんしょう）などと呼ばれることもあります。
	精索がねじれる病気
	精巣そのものがねじれるのではなく、腹部と精巣を繋げる精索と呼ばれるヒモ状の部分がねじれる病気です。回転の方向は時計回りと、反時計回りがあり、重症の場合では2回転、3回転していることもあります。　精索には精巣に出入りする血管と、精液の通り路になる精管が入っています。この部分がねじれると精巣に血液が通わなくなり、大変な痛みをともないます。　また、放っておくと精巣が腐って壊死してしまいます。

精索捻転症・精巣捻転症の原因は？

新生児期～思春期

　新生児期～思春期に多い病気です。成人にもみられます。
　新生児では精巣が陰嚢（いんのう）の中で十分に固定されておらず、回転しやすいことが原因となっています。
　思春期には第二次性徴といって、精巣の容積が急激に5倍～6倍に増えますが、この時期に周囲の支持組織が十分でないことが原因と考えられています。

精索捻転症・精巣捻転症の症状は？

	下腹部の急激な痛み
	精巣から下腹部にかけての、何の前触れもなく急激な痛みがあらわれます。　発熱をともなうことはほとんどありませんが、吐き気をともなう場合があります。　陰嚢部は次第に膨らんできて、触るとひどく痛みます。腫れ上がってくると発赤し、急性精巣上体炎（急性副睾丸炎）との区別が困難になります。
	新生児では
	新生児では疼痛がなく、むずかったりするだけで明らかな症状が出ないため、診断が遅れがちになります。

精索捻転症・精巣捻転症の診断は？

	超音波検査など
	まず、血液検査、尿検査で感染症が疑われるような異常がないことを確認します。　触診だけで診断することは困難ですが、陰嚢を上方に持ち上げたときに痛みが強まるプレーン徴候があり、反対に痛みの和らぐ精巣上体炎との区別を行ないますが、はっきりとしない場合も多いです。　精巣の血液の流れを確認するため、ドップラー超音波検査を行い、血流が確認できないことで診断がより確実になります。　懐中電灯で陰嚢を照らしても、光の透過性はありません。　シンチグラフィー検査も有効ですが、高価で時間もかかってしまいます。
	鑑別診断
	もっとも間違えられやすい病気に、急性精巣上体炎があります。成人、とくに高齢者に多く、下腹部の不快感や発熱などの前駆症状をともないます。　精巣捻転症は思春期に多く、発熱はなく、急激に発症します。　ほかにも、鼠形ヘルニアの嵌頓、精巣腫瘍との鑑別も大切となります。

精索捻転症・精巣捻転症に似ている病気？

	精巣垂と精巣上体垂
	精巣には精巣垂（せいそうすい）、精巣上体には精巣上体垂（せいそうじょうたいすい）と呼ばれる、2mm～3mmの突起が上部についています。　精巣垂・精巣上体垂は胎児期の遺物で機能はなく、不必要な器官とされています。
	精索捻転症に似ている症状
	精巣垂や精巣上体垂がねじれて、精索捻転症と同様の症状を示すことがあります。　特に幼少期で多くみられる症状です。
	診断が困難
	陰嚢の一部に青く腫れ上がった精巣垂、精巣上体垂が透けて見えるブルードットサインがあります。　痛みは次第におさまるので、診断が確定すれば様子をみてもかまいません。しかし多くの場合、精巣捻転症との区別が困難で、手術して初めてわかることが多々あります。
	精巣垂・精巣上体垂の切除
	精巣垂、精巣上体垂が捻転していた場合は、必要ない器官なので切除してしまいます。切除することによって、後遺症が残るようなことはありません。

精索捻転症・精巣捻転症の治療法は？

	12時間以上経過すると精巣摘出
	精索のねじれ具合にもよりますが、血液の流れが12時間以上遮断されると、精巣の障害は元に戻らなくなり、摘出せざるをえなくなります。24時間以上経過すると、確実に精巣は壊死し、摘出しなければなりません。壊死した精巣をそのまま残すと、健康な精巣の機能も低下するとする説があります。　6時間がタイムリミットとする意見もあるので、できる限り早期に陰嚢を切開して、精索のねじれを元に戻す必要があります。　症状があらわれてから6時間を経過している場合は手遅れのことが多く、数ヶ月後には精巣は萎縮し、大豆くらいの大きさになってしまいます。
	陰嚢の手術
	陰嚢を切開しねじれを元に戻し、精巣の血流が再開されて綺麗な色に戻れば、精巣はそのまま陰嚢の中に戻します。二度と捻転が起こらないように、精巣を周囲の組織に縫い付けます。　反対側の精巣もねじれやすく精巣捻転症を起こしやすいと考えられるので、予防のため同様に固定します。
	精巣摘出手術
	ねじれが強かったり、時間が経過しすぎていて精巣への血液の流れが回復せずに壊死してしまった場合は、そのままにしておくと反対側の精巣にも悪影響を及ぼしてしまいます。そのため、精巣は摘出せざるをえません。　小児では全身麻酔、中学生以上なら下半身麻酔で手術を行います。約1時間でできる簡単な手術です。

精索捻転症・精巣捻転症かなと思ったら？

	すぐに診察を
	発症から精巣の壊死まで、6時間というタイムリミットがあります。　少しでも精索捻転症が疑われる場合は、泌尿器科のある総合病院を一刻も早く受診するようにしましょう。