強姦などの性的犯罪が関係した性器損傷の場合、警察の捜査や裁判の証拠として、カルテが使用されることがあります。そのため医師は、詳細かつ正確に記録を残す必要があります。性的犯罪被害者は、犯罪と診察によって、精神的に大きな傷を負ってしまいます。
性的犯罪の場合、性器だけにとどまらず、まず全身を観察し、打撲傷、点状出血・斑状出血の有無と部位をカルテに記載します。これらが見られる場合は、写真撮影を行うこともあります。
性器では裂傷部位の大きさ、状態を正確に観察して記載します。膣、子宮頸管(しきゅうけいかん)から分泌物を採取し、顕微鏡で精子の有無を観察します。通常では、性交後、膣内では8時間まで、精子は運動性を保っています。子宮頸管内では、2日間〜3日間、精子は運動性を保っています。
また、性病感染と妊娠などについても同時に診断を行います。
診察によって精子が確認できても、カルテには強姦や性的犯罪と断定した診断名は記載せず、あくまでも「疑い」として記載します。 |