そらいろネット > 家庭の医学 > 皮膚の病気 > アナフィラクトイド紫斑
両下肢に左右対称性、散在性に見られる紫斑をともなった紅斑(こうはん)や丘疹(きゅうしん)
単純性紫斑 血小板減少性紫斑
腎臓の障害 腸重積症 腸管穿孔
シェーンライン・ヘノッホ紫斑とも呼ばれています。 小児に多い疾患で、若い人にも見られます。成人では慢性化することがあります。 感染症が先行して発症し、下肢に点状の紫斑が多発します。 腎炎を併発するのが特徴です。 発熱、腹部症状、関節症状をともないます。
薬にアレルギー、ウイルス感染、細菌感染が原因となります。 小児では上気道感染に続いて発症することが多く、溶連菌との関連が指摘されています。 成人の場合、原因不明のことが多いです。
免疫学的検査では、IgA(免疫グロブリン)が関係する免疫複合体の血管壁への沈着がわかっています。
下肢や臀部に、出血斑が出ます。 紫斑は点状ですが、しこりをともなう紫斑、一度にたくさん出てくるとくっつきあって大きくなる紫斑、赤紫色の出血性紅斑が見られます。 一過性に顔面、陰嚢、足の甲に浮腫(ふしゅ、むくみのコト)が現れることがあります。
発熱、関節痛、腹痛、嘔吐(おうと)、吐血(とけつ)、血便、蛋白尿、血尿などがみられます。 消化器出血では、便が黒くなることがあります。 腸重積症や腸管穿孔など、重篤な合併症が見られることもあります。 30%〜40%の患者さんに腎臓に障害が起こるので、血尿、蛋白尿がみられます。ネフローゼ症候群を起こすこともあります。
ヘノッホ型では、消化管粘膜に出血し、激しい腹痛をともないます。 シェーンライン型では、関節内や関節周囲に出血して、膝や足首に関節痛をともないます。 半分くらいの患者さんは、蛋白尿、血尿が見られます。
白血球数の増加、炎症反応が陽性になります。 血小板数、血液凝固検査では異常は見られません。 出血が自然に固まって止まるまでの時間を測る出血時間検査も、多くの場合は正常範囲で、ときに延長することがある程度です。 毛細血管抵抗試験は、陽性になることがあります。 腹部症状の強い症例などでは、血液凝固第]V因子の低下が見られます。
尿所見の異常には、注意を払う必要があります。腎炎が起こると、尿に蛋白が出ます。 腎生検では、糸球体腎炎像を示し、微小変化郡から半月体形成をともなうび漫性増殖性腎炎像までさまざまです。 メサンギウム領域(メサンギウム細胞周囲の間質部分)へのIgAやC3を中心とした免疫複合体が、び漫性に沈着します。
特異的な治療法はなく、対症療法を行います。 全身症状がなくても、安静を保つことがもっとも大切になります。 多くの場合、2週間〜5週間くらいで軽快します。 軽症であれば、血管強化薬、止血薬の投与を行います。 腎機能低下などの全身症状が強い場合、副腎皮質ステロイド薬の内服が必要になります。入院が必要になることもあります。 腹部症状があり、第]V因子が低下している場合、第]V因子濃縮製剤を投与します。
腎障害は今後の生活を大きく左右し、ときには生命にかかわることもあります。 治癒後も半年間は定期的な尿検査を受けるよう似てください。
重い合併症を予防するため、何かあったときには早急に対応してもらうためにも、入院施設のある皮膚科や小児科の専門医の受診を受けるようにしましょう。