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疥癬


疥癬の概要は?

おもな症状

 

激しいかゆみをともなう紅色丘疹
睡眠障害

似ている病気

 

虫刺され
掻痒性皮膚疾患


疥癬(かいせん)ってどんな病気?

ヒゼンダニの感染

 

イメージ画像 疥癬はヒゼンダニと呼ばれる疥癬虫が皮膚の角質層に寄生して起こる感染症です。
 人肌を介して感染するため、性行為をともなう感染が多くを占めています。感染力が高く、家庭内感染、診療所や病院内の入院患者間、医療従事者にも容易に感染してしまいます。
 しかし近年では、寝たきりの高齢者などの介護行為を介して感染し、流行することで問題となっています。寝具などを通じて感染し、集団で発症することも少なくありません。

現在でも流行

 

 日本では第二次大戦後に大流行しましたが、その時は殺虫剤による徹底的な治療によって数年間のうちに消滅しました。
 しかし昭和42年頃から、海外旅行者によって日本国内に持ち込まれ、再び流行しました。現在でもなお全国的に、病院、診療所、一般家庭に蔓延し、撲滅の兆しはみえません。


疥癬の原因は?

ヒゼンダニ

 

イメージ画像 ヒゼンダニは体長0.2mm〜0.4mmのとても小さなヒゼンダニ科の節足動物です。
 胴は扁平な円形で、表面に無数のシワ状構造があります。背面の前部に1対の長毛、中央部と後部付近に多くの円錐状の短い棘、側縁と後縁に長毛があります。
 脚は短く、第1脚、第2脚の末端には長い柄を持った肉質盤があります。第3脚、第4脚末端には、長毛があります。
 世界各地に分布し、人の皮膚内に孔道を作って増殖し、疥癬の原因となります。卵、幼虫、若虫、成虫のいずれも、皮膚上に見出されます。

布団から感染

 

 ヒゼンダニはとても小さなダニなので、肉眼ではほとんど確認することができません。
 雌の成虫は皮膚の角質層内に潜り込んで、長さ数mm〜10mmの疥癬トンネルと呼ばれる坑道を作り、その中で産卵します。卵は孵化(ふか)して幼虫、若虫をへて、約2週間で成虫になり、雌雄は皮膚で交尾します。
 成虫は人肌を離れると短時間で死滅しますが、疥癬の患者さんが使用した寝具類を1日以内に使用すると、感染する可能性があります。


疥癬の症状は?

激しいかゆみ

 

イメージ画像 ヒゼンダニに寄生されてから約1ヶ月間の無症状期間をへて、脇の周囲、腹部、陰部、指の間などの皮膚の軟らかい部分にかゆみやブツブツ、陰部の小さなしこりが現れます。ブツブツは紅色〜暗赤色の小結節(丘疹)です。女性では乳房下部にも好発します。
 夜になると強くなる激しいかゆみが特徴です。このため、かき壊してしまうことが多く、細菌による二次感染も併発してきます。
 手首、手指の間には、疥癬トンネルと呼ばれる細くて灰白色で長さ数mmの線状の皮疹がみられます。

強い感染力

 

 治療が遅れたり、抵抗力が低下している人では、全身が赤くなったり、厚いかさぶたをともなう重症型疥癬、痂皮型疥癬(かひがたかいせん)、ノルウェー疥癬になります。
 感染力がとても強いので、注意が必要です。


疥癬の診断は?

皮膚の検査

 

イメージ画像 特徴的な症状のほかにも、角質が数mmにわたって隆起した疥癬トンネルも診断の参考になります。集団で発症していることも診断の目安となります。
 皮膚科で小丘疹や小水疱を採取し、顕微鏡下でヒゼンダニの虫卵、虫体が見付かれば確定診断です。

疥癬の治療法は?

クロタミトン軟膏

 

イメージ画像 外用薬が有効です。クロタミトン軟膏・オイラックス軟膏、硫酸サリチルアントール軟膏・アストール軟膏を顔面以外の全身にくまなく毎日塗ります。乳幼児では、頭、首も含めて全身に塗ります。
 駆除薬のフェノトリン製剤・スミスリンパウダー散布も有効です。
 通常なら1週間〜2週間でヒゼンダニを全滅させることができますが、かゆみが残ることもあります。
 内服薬としては、イベルメクチンがあります。空腹時に1回服用し、症状が改善しなければ1週間後にもう1回服用します。乳幼児、妊婦、授乳婦、肝臓に障害のある人は使用することができません。
 イオウ外用薬を塗ったり、イオウ入浴剤・ムトーハップを併用する方法もあります。
 重症例では、安息香酸ベンジル、γ-BHCを外用することもあります。

入浴や身の回り

 

 毎日必ず入浴するようにし、体を良く洗うようにします。入浴できない場合は、清拭を徹底し、衣類や寝具を清潔にすることが大切です。
 疥癬は家族内感染を起こすので、同居者全員が治療を受けるようにします。


疥癬かなと思ったら?

皮膚科へ受診を

 

イメージ画像 市販薬で自己治療せずに、皮膚科を受診して治療を受けるようにしましょう。
 寝たきり老人、重症の患者さん、免疫不全を起こした患者さんなどでは難治の場合が多いものです。
 また、生活を共にしている家族や同僚などに同じ症状が出ていないかどうか確認し、感染の拡大を防ぐことが大切です。
 患者さんに接したあとは、手洗いを励行し、衣服の清潔を保ち、感染の拡大を防ぐように心がけましょう。

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