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痒みをともなう種々の大きさの円形・環状・地図状に盛り上がった紅色の皮疹
虫刺症 薬疹 多形滲出性紅斑 中毒疹
出血 穿孔(せんこう) 狭窄(きょうさく)
皮膚に生じる一種のアレルギー反応で、赤い発疹が現れる病気です。 皮膚の中のマスト細胞から、ヒスタミンという物質が出るために起こります。皮膚の血管から水分が漏れて浮腫・むくみを形成する結果、痒みをともなった紅斑・膨疹(ぼうしん)が出没します。 重症では、全身症状をともないます。
普通は半日以内に発疹は治まる、急性蕁麻疹です。 約20%の人が、一生のうち一度は経験する病気です。
発疹から4週以上にわたって繰り返し続く場合、慢性蕁麻疹と呼ばれます。
蕁麻疹の原因は、食べ物、食べ物の添加物、薬剤(ペニシリンなどの抗菌薬、アスピリンなどの解熱鎮痛薬などによるアスピリン過敏症)、細菌感染、ウイルス感染、血液疾患、物理的刺激、虫刺症、精神的ストレス、悪性腫瘍、自己の成分に対する反応など、さまざまなものがあります。
食べ物や薬剤が原因となる場合、アレルギー性のことが多く、原因となる食べ物や薬剤を摂取すると、繰り返し症状が現れます。 食べ物や薬剤以外の場合は、蕁麻疹が出る仕組みはまだはっきりとわかっていません。
物理的刺激が原因となる場合、軽度の圧迫、摩擦(機械的刺激)、温熱、寒冷、日光、発汗などによって起こります。 神経の末端からアセチルコリンが分泌されて生じるコリン性蕁麻疹は、青年に多くみられ、温熱や運動などによって現れます。
慢性蕁麻疹では、原因がはっきりしない場合がほとんどです。 マスト細胞に作用してヒスタミンを分泌させる自己抗体が原因になる場合があることが、最近になってわかってきました。
突然、強い痒みと共に身体の各所に赤い発疹が現れます。痒みの強い境界がはっきりした紅斑や膨疹が突然現れ、数時間で消えたり、位置が移動したりします。 痒みのために掻くと、引っかいた部分がみみずばれのようになることもあります。 症状は通常は一過性で、半日以内には痕(あと)を残さずに治まってしまいます。 次々に新しい発疹が生じて数日間続くことがあり、また、慢性化することもあります。
発疹は周辺に赤味をともなう扁平に隆起した円形、楕円形、地図状の膨疹で、しばしば中央部が消退して環状となります。 コリン性蕁麻疹では、数mmの白色の膨疹が体幹にみられます。
蕁麻疹が重症になると、腹痛、顔面の腫れ、喉が詰まる感じ、呼吸困難がみられ、さらにショック状態になります。
顔面、口唇、四肢などが腫れ、数日で治まるものは、クインケ浮腫と呼ばれます。
蕁麻疹が出るとき、あるいは出る前の状況を詳しく記録します。アレルギー性が疑われる時は、それらの検査を行います。原因を明らかにすることが重要となります。 発疹が一過性のもので、痕を残さず消えることが診断のポイントとなります。 原因を調べるために、血液検査、皮膚テストを行います。
物理的刺激が原因になる蕁麻疹は、機械的刺激、温熱・寒冷などの温度変化、日光などによって誘発されるので、そのどれに該当するかを確認します。 一般的に信じられているほど、肝臓など内臓異常の頻度は高くありません。
可能な限り原因を解明して、対処することが必要です。 症状に対しては、抗ヒスタミン薬が用いられます。抗ヒスタミン薬で効果がない場合、重症の場合には、少量のステロイド薬を内服すると効果的です。 すぐに痒みを止めたい場合には注射をしますが、通常は内服薬で治療します。皮膚に痒み止めの薬を使うこともあります。
自己抗体が原因となる慢性蕁麻疹では、ステロイド注射薬、免疫抑制薬で治療することもあります。
1時間程度で消失する場合は、様子をみてもよいでしょう。 それ以上続く場合、消失しても繰り返しみられる場合、かゆみが強い場合は治療を受けるようにしましょう。 薬剤が疑われる場合は、医師に相談します。食べ物が疑われる場合は、食物日誌をつけて蕁麻疹が出た時に摂取した物を記録しておきます。ソバアレルギーなど、症状が重症になるものは少量でも摂取しないようにします。
かゆみをともなう赤い発疹があった場合、虫刺され、湿疹である可能性もあります。 蕁麻疹と虫刺症・ムシ刺され、湿疹とでは、治療法が異なります。きちんと皮膚科専門医の診断を受けることが大切です。
コリン性蕁麻疹は次第に現れなくなることが多く、それまで激しい運動や長時間の入浴は控えるようにします。 寒冷蕁麻疹は、冷たいプールなどにいきなり飛び込まないようにしましょう。
蕁麻疹は、夕方〜夜間に突然生じる場合も良くあります。 こうした場合、夜間救急診療を行っている医療機関を受診した方が良いです。