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単純性腎嚢胞・腎嚢胞

単純性腎嚢胞ってどんな病気？

腎臓に嚢胞ができる病気

　腎臓の組織内に、嚢胞液（のうほうえき）と呼ばれる液体が貯まる袋が、1個、または2個〜3個、できる病気です。膿疱液が貯まる袋のことを、嚢胞と呼びます。
　漢字が難しいため、「のう胞」と記載されることが多いです。
　普通は、片側の腎臓に1個〜3個の嚢胞ができますが、両側の腎臓に多数の嚢胞ができることもあります。
　比較的、大きな嚢胞ができている場合、単純性腎嚢胞と診断されます。

無症状が多い

　普通は、無症状で、ほとんど問題になることはありません。孤立性の大きな嚢胞ができると、圧迫症状がみられます。
　嚢胞による圧迫症状、高血圧、水腎症（すいじんしょう）、血尿が起こるようなら、外科的処置が必要になることもあります。
　嚢胞液を穿刺吸引後、アルコールなどで固定する方法が一般的です。
　嚢胞の大きさは、数mm〜10cmを超えるものまであります。嚢胞は少しずつ大きくなりますが、腎実質への影響はほとんどありません。

単純性腎嚢胞の原因は？

ネフロン閉塞や小憩室の成長

　単純性腎嚢胞の原因としては、ネフロン閉塞、ネフロン閉塞に起因する嚢胞、遠位尿細管や集合管の小憩室が成長したものなどが考えられます。
　生まれつきのものとも考えられていますが、遺伝性はありません。
　原因の詳細については、まだわかっていない部分があります。

加齢とともに増加

　単発性、あるいは多発性の嚢胞は、加齢とともに発生頻度は増加する傾向があります。嚢胞性腎疾患の中では、もっとも頻度の高い病気です。
　60歳以上では、しばしばみられる病気です。50歳以上では、約20%の人にみられる病気です。
　小児では、比較的まれな病気です。

単純性腎嚢胞の症状は？

無症状が多い

　無症状のまま経過することが多く、腎不全に至ることはありません。

圧迫症状

　孤立性の大きな嚢胞ができた場合、圧迫症状が現れることがあります。
　圧迫によって、軽い胃腸症状を起こすことがあります。

腎機能障害

　腎盂（じんう）の近くにできた場合、水腎症を起こしやすくなります。
　水腎症を起こすと、尿が停滞し、腎盂は腫大して、嚢状（のうじょう）になります。
　腫大した腎盂によって腎実質が圧迫されると、次第に腎実質が薄くなり、腎機能障害を引き起こします。

単純性腎嚢胞の診断は？

腎ガンとの区別

　腎ガンが腎嚢胞に合併したり、腎ガンが嚢胞化することがあります。
　悪性腫瘍との診断を行うために、CT検査、超音波検査を行います。

MRIや組織診断

　静脈性尿路造営検査などで腎臓の腫瘤が疑われた時は、嚢胞か悪性腫瘍か見極める必要があります。MRI検査、血管造影検査、嚢胞に針を刺しす嚢胞穿刺による組織診断を行います。
　良性の単純性腎嚢胞と診断がつき、症状がないようなら、経過観察を行います。

単純性腎嚢胞の治療法は？

症状があれば治療

　嚢胞が大きくなって周囲の臓器を圧迫する圧迫症状、高血圧、尿路閉塞、悪性化の疑いがある場合などは、治療を行います。
　超音波検査の画像で嚢胞を見ながら、背中から細い針を刺し、カテーテルという特殊な管を入れます。嚢胞内の液体を抜き取り、代わりに無水エタノールを注入し、再び回収する方法が行われます。
　一過性の顔面紅潮（がんめんこうちょう）、針を刺した部位の痛み、発熱などが現れることがありますが、軽度の症状なので心配ありません。
　抜き取った嚢胞液が透明ではなかった場合、細胞診（さいぼうしん）など、液体の詳細な検査が必要になります。検査結果によっては、手術が必要になる場合もあります。

手術など

　外科的切除術、開窓術、腹腔鏡下嚢胞切除（ふくくうきょうかのうほうせつじょ）などの治療法があります。

単純性腎嚢胞かなと思ったら？

泌尿器科へ

　これといって症状がない場合が多く、健康診断、他の病気で医療機関を受診した時、偶然に発見されることが多い病気です。
　病期に気付いたら、泌尿器科の専門医を受診するようにしてください。

単純性腎嚢胞の有名人は？

有名人

　AKB48の峯岸みなみさんが、腎嚢胞の治療に専念するため、芸能活動を休止しました。