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原因の病気を治療 |
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治療の基本は、原因となる病態を改善し、腎機能が回復するまで、腎不全によって破綻した体内の内部環境を維持することです。
薬物療法で、臨床上、効果が証明されたものはありません。水と塩分の摂取は制限されます。
進行した急性腎不全には、血液浄化療法が必要です。 |
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脱水状態か溢水状態か |
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体液が減少して脱水状態にあるのか、体液が過剰で溢水状態(いっすいじょうたい)にあるのか判断します。
脱水による腎前性急性心不全では、電解質の数値を参考に、補液の内容を決定し早期に補液を試みます。
脱水が改善されたり、溢水の場合、フロセミドなどのループ利尿薬を静脈注射します。利尿反応を確認しながら20mg〜100mgまで増量し、その間に尿量が2倍になれば継続します。
ドーパミンの持続投与や心房性ナトリウム利尿ペプチドの投与も有効な場合があり、いずれも静脈投与します。これらは併用も可能です。 |
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利尿薬で効果が出ない場合 |
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治療効果が現れず溢水となった場合、肺水腫、脳神経症状の出現、高カリウム血症(6mEq/l以上)、BUNが80mg/dl以上、HCO3が15mEq/l以下の場合、透析療法が必要になります。
高カリウム血症は致命的な不整脈を誘発するので、透析を用意する間にも緊急の処置が必要です。 |
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回復期 |
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回復期には大量の尿が出るため、喪失分を考慮した水の補充、電解質補液を行い、脱水状態にならないように注意します。 |
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予後は? |
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急性腎不全の予後は、約50%が死亡してしまいます。
腎機能の不完全な回復が30%にみられ、そのうち腎機能が軽度低下していても安定した経過をたどる人は約25%です。腎機能が一時的に回復しても、徐々に低下する人が約5%にみられます。
完全回復は約15%です。腎機能が回復せず、慢性的に低下する人は約5%です。 |