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アナフィラキシーショック


アナフィラキシーショックってどんな病気?

アナフィラキシーの概念

 

どんな病気 リチェットとポーチャーによってアナフィラキシー(Anaphylaxis)という概念が提唱されました。
 「イソギンチャクの触手に含まれる毒素をイヌに注射し、2週〜3週後に同じ毒素を再び注射すると、動物は嘔吐、出血性下痢などのショック症状を示し、しばしば死亡した」とあります。

アナフィラキシーと命名

 

 免疫とは反対の意味を持つ現象だと考えられ、防衛状態(phylaxis)とは反対(ana)の状態という意味で、アナフィラキシー(ana-phylaxis)と命名されました。
 もっとも重篤な状態がショックのため、アナフィラキシーとアナフィラキシーショックは同義語のように使われています。

IgE抗体の働きによる分類

 

 臨床的には、特定の起因物質によって引き起こされた全身性のアレルギー反応のことを指します。
 おもに、IgE抗体を介するT型アレルギー反応によるものと、IgE抗体を介さず起因物質が直接種々の化学伝達物質を遊離・活性化することによって引き起こされるものとに分類できます。

死亡することもあり得る

 

 即時型アレルギーの症状が複数の臓器にみられる病態のため、急激に前身の拡張をきたすショックとなって、時には死に至ることもあります。


アナフィラキシーショックの原因は?

さまざまなアレルゲン

 

原因 原因抗原は食べ物、昆虫の毒、薬剤など多岐にわたります。
 患者本人が認識しないほどの極微量の抗原の侵入でも、重篤なアナフィラキシー症状を引き起こすことも少なくありません。

原因となるもの

 

 ペニシリン系やセフェム系などの抗生物質、解熱鎮痛薬、破傷風やジフテリアなどの抗血清、ACTH、減感作療法の抗原液の注射などによって引き起こされることもあります。
 レントゲン検査に使用する造影剤の静脈内注射、局所麻酔の注射、内服薬、点眼薬も原因となることがあります。
 ハチに刺される、ヘビに咬まれる、卵白、エビ、カニ、ピーナツ、ソバなども原因となります。


アナフィラキシーショックの症状は?

さまざまなショック症状

 

症状 アナフィラキシーショックは、血管が拡張して血漿成分(けっしょうせいぶん)が漏れ出ることによります。
 それに加えて、他のショックと異なり、気道の平滑筋(へいかつきん)が収縮したり、気道のむくみを起こしたり、分泌物が増加することによる閉塞、血管運動性のむくみ、蕁麻疹などのT型アレルギーの症状が現れます。

初期症状・自覚症状

 

 前駆症状は、口内異常感、口唇のしびれ、のどが詰まった感じ、嚥下困難感、両手足末端のしびれ、心悸亢進(しんきこうしん)、悪心(おしん)、耳鳴、めまい、胸部不快感、目の前が暗くなた感じ、、虚脱感(きょだつかん)、四肢の冷感、腹痛、尿意、便意などです。

他覚症状

 

 初期の他覚症状として、くしゃみ、反射性咳発作、約半数に皮膚紅潮、蕁麻疹、まぶたや口唇のむくみなどが見られます。
 さらに、急激な血圧低下による意識消失、循環不全をともなう意識障害、気道が狭くなることによる呼吸困難、チアノーゼ(動脈血の酸素不足で皮膚や粘膜が青白くなる反応)が現れます。
 ときには、気道狭窄(きどうきょうさく)による窒息も現れることがあります。


食物依存性運動誘発アナフィラキシーってどんな病気?

食べ物の摂取後に発現

 

食物依存性運動誘発アナフィラキシー 食べ物の摂取後に運動すると、全身の蕁麻疹、顔の腫れ、のどが詰まる感じ、呼吸困難、下痢などの症状が現れます。
 時には血圧が低下し、ショックになることもあります。

原因

 

 小麦、エビ、カニなどの食物アレルギーが運動で誘発され、血液中に肥満細胞からヒスタミンが放出されるために起こると考えられています。
 検査では原因食物に対する免疫グロブリンE(IgE)抗体が血液中に見られます。
 原因食物によるブリックテストも陽性になります。

食後の運動は避ける

 

 食後の運動を避けると予防できます。しかし、運動だけではなく、食後の入浴、精神的ストレス、アスピリンなどの解熱鎮痛薬の服用でも症状が現れることがあります。
 小児・若年成人に多く見られますが、中年以降でも起こることがあります。


アナフィラキシーショックの診断は?

食べ物

 

診断 食べ物が原因の場合、患者さんは複数の食材を摂取しているのが普通なので、原因の食品はすぐには特定できません。
 食物依存性運動誘発アナフィラキシーでは、原因となる食べ物を摂取しただけでは症状は現れず、運動などの二次的要素が加わって初めて発症するため、原因食品の同定には時間がかかります。

抗原の同定

 

 原因抗原の同定には、まずは詳しく問診をする必要があります。
 問診に基づいて皮膚テスト、血液検査で抗原と反応するIgE抗体ができていることを確認します。
 これらの検査は完璧ではないので、問診と合わせて診断を行います。


アナフィラキシーショックの治療法は?

呼吸と循環の確保

 

治療 発症が非常に急激で、気道の閉塞をともないます。
 気道が狭くなることによる呼吸困難で死亡するのは、初期の1時間〜2時間に起こります。多くの場合、喉頭のむくみや不整脈による心停止などが原因となります。
 重篤な酸素欠乏症、血圧低下も起こります。
 このため、治療の目的は呼吸と循環を緊急に改善することになります。

まずは気道の確保

 

 エピネフリンの筋肉内注射とともに、気道確保、輸液と薬剤の投与をするための静脈確保を行います。
 症状の長期化予防のため、ステロイド静脈内投与が併用されます。

すぐに治療できれば

 

 すみやかに処置することができれば、比較的短時間で症状は軽快していきます。

アナフィラキシーショックのかなと思ったら?

ただちに病院へ

 

病気かなと思ったら アナフィラキシーショックの治療には、1分1秒を争うことになります。
 注射などによって起こった場合、病院内にいることが多いためすぐに治療を開始することができます。薬物の服用後、ハチなどの刺傷を受けた後などの皮膚症状や鼻咽頭症状があれば、すぐに救急車を呼び病院を受診するようにしてください。
 治療を開始するまでの間、頭に向かう血液量を増やすため、頭を低くして、両足を上げた姿勢を確保してください。
 アナフィラキシーショックの多くは、異種蛋白、薬物などを非経口的(注射など)に生体内に取り込んだ時に発症しやすくなります。原因物質に強く感作されている場合、経口、経皮、気道から原因物質が入れば発症することがあります。

発症はあっという間

 

 アナフィラキシー症状の出現時間は、個体の感作状態、原因アレルゲンまたは起因物質の量、投与経路によって異なります。
 典型的な全身性アナフィラキシーの場合、アレルゲンや起因物質の注射後、5分〜10分以内に始まります。もっとも早い場合、30秒以内に始まるので注意が必要です。

早く症状が現れるほど重篤化しやすい

 

 症状の出現が早ければ早いほど重篤化し、遅ければ軽い傾向にあります。しかし、症状は進行性であることも多いです。
 ただし、症状の発症まで30分以上かかることはまれです。

自己注射キット

 

 エピネフリン(アドレナリン)の自己注射キットを持っている場合、大腿部に使用してください。
 その後、医療機関を受診してください。


アナフィラキシーショックの予防法は?

予防が最も大切

 

予防 根本的な治療が確保されていないため、予防が最も大切になります。原因を突き止め、避けることが必要になります。
 薬物の投与時には、過去のアレルギー疾患歴や薬物に対する反応性などを十分に知っておくことが重要です。
 アレルギー症状の既往歴があれば、その薬を再使用しないように自己管理をしっかりと行いましょう。

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