植込み型除細動器(ICD)
植込み型除細動器は、命に関わる重症の不整脈を治療するための体内植込み型治療装置です。植込み型除細動器は、一般的には英語の頭文字をとってICDと呼ばれています。
この機械は不整脈そのものの発生を予防するものではありません。常に患者さんの心臓の動きを監視し、重症の心室性不整脈(心室頻拍・心室細動)が発生した時、素早く反応して電気治療を行ないます。こうして発作が死を招くことを予防します。
植込み型除細動器の機能
植込み型除細動器の機械は、約80gの本体と、それに繋がるリード線から構成されています。本体には、電池とコンピュータが搭載されたチタン製の容器で作られています。
普通は、左前胸部の皮下に本体を植え込みます。リード線は静脈を通って心臓に留置します。リード線には心電図を植込み型除細動器の本体に送信し、常に心臓の動きを監視する働きと、不整脈が起こった時に本体から電気治療を心臓に伝える働きがあります。
心室頻拍の治療
植込み型除細動器は、あらかじめプログラムされた方法で心室細動と、心室頻拍を止めます。
心室頻拍が起こった場合、通常のペースメーカーのような刺激で頻拍より少し速くペーシングをすることで治療を行ないます。数回、この電気治療を行なっても心室頻拍が止まらない場合、弱い電気ショックによる治療を行ないます。これをカルディオバージョンといいます。
最初に弱い電気ショック治療を行い、それでも止まらない場合にもう少し強いエネルギーを出すというプログラムを組むこともできます。この治療には不意に胸を叩かれたような感じになります。
心室細動発作が起こった場合、意識が消失し一刻の猶予もないため、ただちに強い電気ショックによる治療が行なわれるようになっています。
今後の治療や投薬に役立てる機能
植込み型除細動器本体内に内蔵されたコンピュータには、生じた不整脈発作や治療の記録が保存されるようになっています。そのデータを担当医師がコンピュータで読み取って確認することができます。
このデータをもとにして、患者さんの病状に合うように、電気治療のプログラムを変更したり、服薬内容を変更したりすることもできます。
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