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 再生不良性貧血

再生不良性貧血の概要は?
おもな症状
  皮下の点状出血斑
鼻出血
歯肉出血
月経過多
発熱
貧血の一般症状としての顔面不良、息切れ、めまい、耳鳴り、動悸、倦怠感

再生不良性貧血ってどんな病気?
すべての血球が減少
  イメージ画像 再生不良性貧血(さいせいふりょうせいひんけつ)とは、骨髄(こつずい)にある血液細胞の種にあたる細胞である造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)が何らかの原因によって減少するため、赤血球、白血球、血小板のすべての血球が減少してしまう病気です。
 同様に血球が減少してしまう病気はいくつかありますが、その中でも骨髄細胞の密度が低く、白血病細胞(はっけつびょうさいぼう)のような異常細胞を示す疾患を除くことで、診断が下されます。
まれな病気
   年間の患者さんの発生数は、人口100万人あたり約5人のまれな病気です。
 年齢別の患者数では、20代と、50代〜60代にピークがあります。
 再生不良貧血の患者さんのうち、80%以上は原因不明です。一部では、抗生剤・鎮痛剤などによる薬物投与、ウイルス感染、原因不明の肝炎などに続いて起こります。
診断基準
   再生不良性貧血の治療方針や予後は、重症度によって大きく異なります。診断時の血球減少の程度によって、重症度が分類されます。
 好中球数(こうちゅうきゅう)が500/μl以下、血小板数が20,000/μl以下、網状赤血球数(もうじょうせっけっきゅう)が20,000/μl以下のうち、2項目以上に該当する場合を重症とします。これらを満たさない状態を中等症、または軽症の3群に分類されます。
一般的な予後
   検診で発見されるような自覚症状のほとんどない場合は、治療の効果も期待でき、予後も良好です。
 しかし、動悸(どうき)、息切れ、出血、発熱などが急にあらわれた患者さんの場合では、診断時の血球減少の程度が比較的軽くても、治療が難しくなる傾向があります。
 中等症〜重症の場合、治療を受けないでいると致死的な経過をとります。

再生不良性貧血の原因は?
造血幹細胞の変化
  イメージ画像 再生不良性貧血の原因は、何らかの未知のウイルス感染、薬剤投与、大量の放射線、環境因子などにさらされることが引き金となります。その結果、造血幹細胞自体の異常、造血幹細胞に対する免疫反応が誘導され、造血幹細胞が増殖できなくなった結果、再生不良性貧血が発症すると考えられています。
造血幹細胞の免疫反応
   造血幹細胞に対する免疫反応が存在することは、再生不良性貧血の患者さんの多くが、抗ヒト胸腺細胞免疫グロブリン(ATG)、シクロスポリン(CSA)などの免疫抑制薬によって改善することから想像されています。
遺伝子の異常
   ファンコニー貧血と呼ばれる先天性の再生不良性貧血の場合、造血幹細胞の遺伝子の異常が検出されます。

再生不良性貧血の症状は?
おもな症状
  イメージ画像 再生不良性貧血のおもな症状は、顔面の蒼白、息切れ、動悸、めまいなどの貧血による症状。皮下出血斑、歯肉出血、鼻出血などの出血傾向です。
 好中球減少の程度が強い場合は、感染症を併発して発熱がみられる場合もあります。
無症状のことも
   貧血が高度であっても進行が遅い場合には、症状がなく、検診によって異常を指摘されて、初めて検査を受けて診断される患者さんもいます。

再生不良性貧血の診断は?
血液と骨髄の検査
  イメージ画像 すべての血球が減少している汎血球減少(はんけっきゅうげんしょう)と同時に、骨髄の細胞密度を検査する必要があります。骨髄密度は、骨髄穿刺(こつずいせんし)といって、針を刺して採取し骨髄生検と呼ばれる検査を行います。
 一般的には、測定される血液は、赤血球、白血球、血小板の3つです。骨髄の働きを調べる場合には、さらに網状赤血球という未熟な赤血球の数を調べる検査を行います。
MRI検査
   骨髄を検査できる骨は、胸骨という胸の中心に位置する骨と、腸骨という骨盤の骨に限られます。
 全身の骨髄の状態を検査するためには、MRI検査を行います。MRI検査の結果、胸部や腰部の脊椎骨(せきついこつ)の骨髄密度が低ければ、骨髄低形成の診断は確実となります。
似ている病気
   再生不良性貧血との区別が特に難しく、高度な専門的知識が必要な病気が存在します。
 骨髄異形成症候群(こつずいいけいせいしょうこうぐん)のうち、骨髄中の芽球(がきゅう)と呼ばれる白血病細胞に似た幼弱な細胞の割合が5%未満の不応性貧血(ふおうせいひんけつ)です。
 不応性貧血では、細胞の形に異常がみられますが、再生不良性貧血でも軽度の異形成が見られるため、両者の区別には専門的な判断が必要となります。

再生不良性貧血の治療法は?
免疫抑制療法と同種骨髄移植
  イメージ画像 再生不良性貧血の治療法には、大きく二本の柱があります。ひとつは免疫抑制療法で、もうひとつがヒト白血球抗原(HLA)が一致する血縁ドナーからの同種骨髄移植です。
 45歳以下の若年の患者さんでは、ヒト白血球抗原(HLA)が一致する血縁ドナーが得られた場合は、同種骨髄移植が適応されます。骨髄移植とは、患者さんの骨髄をいったん破壊して、そこに健常なドナーの骨髄幹細胞を移植し、育ってもらうというものです。
 45歳以上の患者さんでは、移植にともなう合併症によって生存率が低下するため、免疫抑制療法が第一選択の治療法となります。
20歳以下の患者さん
   免疫抑制療法では、年齢に関わらず80%〜90%の長期生存率を得ることができます。
 ただし、免疫抑制療法後の長期生存例の中には、骨髄異形成症候群や、急性骨髄性白血病へ移行する患者さんが10%〜15%存在します。
 そのため、20歳以下の患者さんには、骨髄移植療法を優先します。
20歳〜45歳の患者さん
   20歳〜45歳の患者さんに対しては、骨髄移植と免疫抑制療法のそれぞれのメリット・デメリットを詳しく説明した上で、患者さんの希望に応じた治療法を選ぶことになります。
非血縁者からの骨髄移植
   非血縁ドナーからの骨髄移植は、拒絶反応、移植片対宿主病(いしょくへんたいしゅくしゅびょう、GVHD)などによる早期死亡の頻度が高く、10歳以下の小児を除いて長期生存率も低いため、免疫抑制療法に効果のない患者さんのみに限定されます。
軽症の場合
   軽症の場合は、治療を必要としないケースがほとんどです。ですが、検査時には軽症でも、数年後に中等症、重症に悪化する可能性もあるので、経過観察が必要となります。

再生不良性貧血の治療方針は?
重症
中等症・軽症
    45歳未満  
45歳以上  輸血が必要     │
    │
輸血不要  
       ┌───
   │   
──

-┴-
─┐
 │
┌────
────┴────

───┐
   ↓
 
    同胞ドナー      │   汎血球減少の進行  
あり
なし  │
 │

あり    │
   │
なし
 ┌─
 │
──

───┴───

──

─┐
 │
 │
 │

    ┌───
    │
───┴────

────┐
    │
 │
 ↓
┌─
───────
症例ごとに判断
─┐
 ↓
 │
 ↓
 │
 ↓

    │
    ↓
      │
    ↓
骨髄移植
   
ATG+シクロスボリン
無効
←────
蛋白同化ホルモン
or
シクロスポリン
 
無治療で経過観察
 ↑
 │
 └─


──


───────
    │
    │
────┤無効
    ↓
       
     
蛋白同化ホルモン
       
          │
    │無効
    ↓
       
     
非血縁者間骨髄移植
       

再生不良性貧血かなと思ったら?
治りにくい病気ではなくなった
  イメージ画像 かつては、再生不良性貧血は治りにくい血液疾患の代表と考えられてきました。しかし現在では、医学の進歩によって治療法も進歩し、血液疾患の中ではもっとも改善しやすい病気となっています。
 再生不良性貧血が疑われたとしても、悲観する必要はありません。
 まずは、一日でも早く専門医を受診して、治療を始めましょう。
役立つサイト
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