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腹部腫瘤(ふくぶしゅりゅう) 眼球突出 貧血 発熱 やせ 元気がない
ウイルムス腫瘍 白血病 慢性関節リウマチ
神経芽細胞腫は、子供のガンの中では、白血病に次いで多い病気です。日本では年間約150人の患者さんが発生しています。 ほとんどが5歳以下で発症し、そのうち2歳以下の小児が半数を占めます。 交感神経細胞のガンで、おもに腎臓の上にある副腎(ふくじん)とその近くで背骨の両側にある交感神経節から発生します。ですが胸や首の交感神経節からできることもあります。
副腎にできたときは、おなかの奥の方に固いしこりが触れるところで見付かります。しかし、おなかの奥の方なので、しこりが小さい時は触っても気が付きません。 背骨の両側にできたものは、脊髄(せきずい)の神経を圧迫して両足の麻痺が起こります。この症状が、神経芽細胞腫を発見する手がかりとなります。
神経芽細胞腫は、進行が早いのが特徴です。 骨、骨髄(こつずい)、肝臓、皮膚などに転移しやすいです。頭の骨に転移して骨が腫れたり、目が飛び出したり、まぶたが腫れたりします。骨髄に転移して、血球の生産がおかされ貧血を起こしたりします。転移により、肝臓が腫れたり、皮膚にしこりができたりすることもあります。
初期の段階では、なんとなく元気がない、食欲がない、ときどき腹痛を訴える程度の軽い症状しかありません。 よくわからない発熱が続く、貧血がある、やせてくる、おなかのしこり、頻尿(ひんにょう)、足の麻痺、呼吸困難などの特徴的な症状があらわれはじめたら、かなり進行して、転移も起こっています。 小さな小児のおなかのガンでは、ウイルムス腫瘍とともに多い病気です。奥の方に固くゴツゴツとした感じで触れる特徴があります。胸の中、首に出ることもあります。
神経芽細胞腫は、カテコールアミンというアドレナリン系の物質を作り出すため、アドレナリン系の物質が尿中に大量に排出されます。そのため、早期発見の手掛かりとして、生後6ヶ月の赤ちゃんを対象に集団スクリーニングによる尿検査が行われてきました。 最近では、海外での集団スクリーニングの有効性について疑問があるとの報告がありました。生児の場合、そのままガンが縮小してなくなるケースもあり、過剰な治療を行ってしまうとの批判から、現在では集団スクリーニングは休止されています。
早期に見付かれば、手術でガンを取り除くことが可能ですが、はっきりとした症状がなく、気が付きにくいのが特徴です。 抗ガン薬で先に治療を始めてから、ガンが小さくなった時点で、手術を行います。 神経芽細胞腫が進行していれば、手術後に抗ガン薬が使われますが、場合によっては放射線を照射するなどの治療法が組み合わされます。
集団スクリーニングで見付かるような乳児期のタイプは、多くの場合、ガンの性質が悪くないのでほとんどが治癒します。 しかし、1歳以後で進行したタイプは、強い治療を行っても、その結果がまだ十分に出るとはいえません。
赤ちゃんのおむつ替え、お風呂に入れた時など、ときどきおなかの様子を観察してあげてください。 おなかに固いしこりやふくらみ、尿の回数が増えたなどを感じた場合、すぐに小児科を受診してください。顔色が悪い、食欲がない、元気がないといった症状が、神経芽細胞腫でみられることもあるので、その際には、小児科の医師に良く調べてもらいましょう。
神経芽細胞腫は進行が早く、全身に転移しやすいガンです。初期のうちに発見し、一刻も早く治療を始めることが必要です。