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多指症


多指症ってどんな病気?

頻度の多い先天異常

 

イメージ画像 多指症とは、手足の指趾(しし)の数が6本以上になる病気です。発生の重複によって、過剰な指が形成されたものです。
 手の先天異常のうちでもっとも多くみられ、出生1000人に対して1人前後の頻度でみられます。先天異常の疾患の中でも、頻度の高い病気です。

日本人の特徴

 

 日本人では、軸前性多指症(じくぜんせいたししょう)と呼ばれる拇指(親指のこと)の重複がもっともおおくみられます。多指症の80%〜90%を占めます。次いで、小指(しょうし)、示指(じし)、中指(ちゅうし)と続きます。
 足では、小趾側の多趾が圧倒的に多く、軸後性多趾症(じくごせいたししょう)と呼ばれます。
 白人では、軸後性多指症(じくごせいたししょう)と呼ばれる小指の重複が多くみられます。
 人種的には、黒人に多くみられる病気です。
 中央列多指症(ちゅうおうれつたししょう)と呼ばれる、人差し指から薬指までの重複は、あまりみられません。

欠指

 

 指が少ない場合、欠指(けっし)と呼びます。


多指症の原因は?

他の先天異常と合併することが多い

 

イメージ画像 多指症は単独でみられることの少ない病気です。体の他の部分の先天異常を合併する場合が多くみられます。
 メッケル・グルーバー症候群、バーデット・ビードル症候群など、先天奇形症候群の部分症状として、多指症がみられることがあります。

遺伝的なもの

 

 手足の発生に関わる遺伝子の変異が関係すると考えられています。しかし、個々の患者さんで遺伝子検査を実施されたことはありません。
 染色体異常が原因のこともあります。
 一部の症候群では、HOXやGLIなど原因となった遺伝子の変異が発見されています。

胎生6週〜8週

 

 手や指が形作られるのは、胎生6週〜8週とされています。この時期に、喫煙などの環境因子との複合作用で発生異常が考えらています。
 しかし多くの場合、特定の原因は不明です。


多指症の症状は?

多様な症状

 

イメージ画像 生後すぐ、もしくは胎児期の超音波検査で指の数の異常が認められます。
 爪も持っていて、ほとんど完全な形態のものから、完全な指の形をしていない状態からまで、症状は多様です。痕跡的なものや、紐状の皮膚で繋がった浮遊状のものもあります。
 ほとんどの場合、過剰指は残すべき指より小さ目で、関節の部分で曲がっています。
 多合指症(たごうししょう)の場合、多指と合指が同時にみられます。


多指症の診断は?

出生時に判明

 

イメージ画像 胎児期に、超音波検査で判明することも少なくありません。
 通常は出生時の視診だけで、すぐにわかります。出生後は、まず体に他の異常が合併していないかどうか、小児科医の診察を受けます。
 その後、整形外科専門医の診察を受け、手術の可否、時期について検討します。

重要なレントゲン撮影

 

 過剰指に機能・働きがあるのかどうかを見極める必要があります。
 外見からおおよその診断はつきますが、骨の状態が重要なので、エックス線撮影で、より詳しい指骨の形態を行います。
 この結果によって、手術方法が決定されます。


多指症の治療法は?

1歳頃までに手術

 

イメージ画像 過剰な指は、完全な指としての形態を持つ場合から、単なる肉塊が細い茎で連続する場合まで、さまざまです。
 整形外科や形成外科で治療を行います。
 通常、1歳頃までに切除手術を行います。時期が早いと、構造が小さく、手術的に難しくなることがあります。

切除手術

 

 過剰指が完全な指としての形態を持つ場合、手術を行い過剰な指趾を切除します。
 大きさや機能が似たような指のいずれかを切除すべきか、判断が難しいこともあります。指の位置、大きさ、骨、関節、筋腱との関連を考慮して切断指趾を決めます。この場合、専門的な知識・経験が必要になります。
 拇指の多指症の場合、指先に近い関節部分から分岐していれば、小指側の大き目の指を残し、親指側の小さ目の指を切除します。
 過剰な指を切除するとともに、それに付着していた筋や腱を、残すべき隣の指に移動します。
 骨の変形を矯正(きょうせい)するため、骨切り術を行うこともあります。
 手術後は、多くの症例で、形や美容面、安定性や機能面での改善がみられます。機能的な問題があれば、リハビリテーションが必要になります。

簡単な手術が可能な場合

 

 過剰指が小さく、機能もしていなく、単なる肉塊のような状態ならば、茎部を絹糸で結紮(けっさつ)して壊死(えし)させ脱落させるか、ただ切除するだけの簡単な手術で治療できます。
 ただし、残した指が、将来変形してくる場合があります。

足の指

 

 足の指が多い多趾症の場合も、治療法は手と同じです。


多指症かなと思ったら?

整形外科へ

 

イメージ画像 生後、産科で気付かれることが多いので、専門医を紹介してもらいましょう。指趾以外にも内臓疾患の合併がないか、小児科でみてもらってください。
 過剰な指が大きく、結紮や切除で治療できない場合、小児の整形外科専門医・形成外科専門医の診察を受けるようにしてください。
 手術の時期は早ければ良いというものではなく、専門医が決定します。安易な切除は、機能障害を残す可能性があります。

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